目標復旧時間と目標復旧地点は人それぞれ
「ランサムウェア」対策に有効なバックアップ、どこまでやれば安心か
身代金要求型マルウェア「ランサムウェア」は脅威だが、適切なバックアップの戦略を立てれば、ランサムウェアの攻撃を受けてもデータを復元できる。ただしどの時点まで復旧すれば満足かの目標はビジネスごとに違う。
身代金要求型マルウェア「ランサムウェア」による攻撃は、ハッカーが企業のデータやコンピュータシステムを人質にして身代金(ランサム)を要求するという比較的新しい現象だ。ハッカーがステルスモードで企業のITシステムにアクセスし、サーバにマルウェアをインストールしてデータを暗号化し、企業のアプリケーションを利用できないようにするのが、この攻撃の典型的な手法である。IT部門が身代金を払えば、ハッカーから暗号化キーが提供され、ハッキングされた企業はデータへのアクセス権を取り戻すことができる。
ネットワークのセキュリティを確保するなど、ウイルスの進入を防いだり、最小限に抑えたりする方法もある。だが、実際に攻撃を受けた場合は、バックアップがランサムウェアから回復するための重要な手段となる。全てのバックアップはデータの回復を目的として保存される特定時点のデータだ。私たちIT担当者は複数のバックアップを保存している。バックアップは、データが意図的あるいは誤って変更された場合に、アプリケーションや個々のファイルを変更が実施される前の特定の時点まで復旧するために作成している。定期的にバックアップを取得するときには、アプリケーションごとに適切な時間を選んでいるはずだ。
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例えば、電子メールシステムや注文システムは、終業後にバックアップを取るだろう。復旧までの時間を短縮したり、より最新のデータを復旧できるようにしたり、比較的頻繁にバックアップを実施するアプリケーションもある。バックアップに伴う決定は、求められるサービスレベルに基づいており、アプリケーションのオーナーとの話し合いで決定した目標復旧時間と目標復旧地点(RPO)の両方に左右される。
RPOに基づいてアプリケーションを最新のバックアップ状態までロールバックまたは復旧するからこそ、バックアップは企業がランサムウェアによる攻撃から回復するのに役立つ。適切にバックアップを取っていれば、バックアップ取得前のアプリケーションのイメージまで回復するのに伴う影響を最小限に抑えられる。ハードウェアやアプリケーションエラーからの回復とランサムウェアからの回復に伴う影響に差はないはずである。
全てのバックアップアプローチを調査して機能を評価する
ランサムウェアによる攻撃から復旧する目的でバックアップシステムを実装する場合、管理者は次の2点を考慮する必要がある。
- アプリケーション全体または各種アプリケーションをどのように復旧するか
- どれくらいの頻度でバックアップを作成すれば、アプリケーション全体をバックアップ前の特定の時点の状態まで戻さなくてはならない場合に、適切なサービスレベルの範囲内まで回復できるか。アプリケーション全体が被害を受けたときの回復についての考え方は、経営者によって異なる可能性がある。
もちろん、全てのバックアップ手法があらゆるアプリケーションの復旧をタイミング良くできるわけではない。通常、サイトエラーといった事象からの復旧には、同期または非同期のデータレプリケーションなどの処理が利用される。このようなテクノロジーは暗号化されたデータも正確に複製するため、ランサムウェアによる攻撃からの回復には適していない。結果的に、データ保護の方法を見直して、より頻繁なバックアップに対応できるプロセスの実装を検討することが必要かもしれない。これは、ハイパーバイザーやストレージの機能との融合を伴う可能性もある。
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