事例で分かる、中堅・中小企業のセキュリティ対策【第12回】
実は危険な“無料Wi-Fiスポット”、カフェでのモバイルワークに必須のセキュリティとは(2/2 ページ)
Wi-Fiスポット利用を想定したセキュリティ対策とは
だからといって、これほど便利な無線LANを「利用しない」という選択肢はないでしょう。今後も活用していくために、無線LANサービスを社内や顧客に提供する「運営側」と、無線LANサービスを利用する「利用者側」の両方ともセキュリティリテラシーを高め、然るべき対策を施す必要があります。
運営側のセキュリティ対策
まずは運営側(サービス提供側)の無線LANセキュリティ対策です。次のような内容をチェックしてみてください。
- セキュリティプロトコルとしてWEPを使わず、よりセキュリティ強度が高いWPA2などを使う
- ステルス設定によりSSID(アクセスポイントの識別名)を表示させない
- 無線LAN利用者が決まっている場合は、MACアドレスフィルタリングを掛ける
- 無線LAN利用者が決まっている場合、管理者は無線LANの接続状況を監視し、不審なアクセスがないかどうかを常に確認する
- ping(ネットワークの疎通確認コマンド)などのコマンドを受け付けない
- Webブラウザなどでデフォルトゲートウェイ(異なるネットワークへ接続する際のパケット送信先)アドレスを入力したときに、特定の端末(管理PCなど)以外から管理画面(ログイン画面)が表示されないようにする
- 無線LANルーターやアクセスポイントなどのIDとパスワードを初期設定のままにしない。特にパスワードは複雑な設定にする
- ディレクトリサーバ「Active Directory」などのID/パスワード認証の仕組みと連携させ、業務で利用しているLANには入り込めないようにする
- 自社施設(オフィスや店舗)への来訪客用に無料のWi-Fiスポットを提供する場合、社内のネットワーク環境とは物理的に分離する
利用者側のセキュリティ対策
次は利用する側の対策です。対策を施すというよりも、セキュリティリテラシーを高めることが対策の第一歩といえるでしょう。
- そもそも無料のWi-Fiスポットを使わない。スマートフォンのデザリングやモバイルルーターを利用する
- 無料のWi-Fiスポットを利用する場合は以下の点に注意する
- SSIDを偽装されている可能性を考慮する(注3)
- 暗号化の形態を確認する。アクセスポイントとPC間が暗号化されていない、あるいはセキュリティプロトコルとしてWEPが使われている場合は利用を避ける
- 無料のWi-Fiスポットを使わざるを得ないときは、ネットバンキングサービスなどを利用したお金のやりとりをしない
- WebブラウザでSSL暗号化通信が有効(「https:xxx……」)になっていない場合は情報の入力(個人情報やお金に関する情報など)やデータの送受信をしない
- 無料のWi-Fiスポットでメールサーバからのメールの取得(POPなどを利用)はしない
- PCを利用している場合は、OS、Webブラウザ、Javaなどを最新状態にしておく
- PC側では共有フォルダ設定を解除する
- ホテルなどで無料のWi-Fiスポットを利用する場合、Webブラウザの画面にJavaのアップデート(ダウンロード)を促す案内が表示されるケースがある。アップデートと称してマルウェアをインストールさせる手口もあるため、インストールは避ける
注3:一般的に利用されているWi-Fiスポットと似たような名前でSSIDを偽装しているケースがあります。例えば、成田空港の正規のWi-Fiスポット(FreeWiFi-NARITA)を偽装して「FreeWiFi-NARITAA」(Aが1つ多い)や「FreeWiFi-NARITA2」(後ろに2がついている)などです(これは、あくまでも例えです)。
無線LANはとても便利な仕組みですが、扱いを間違えると情報漏えいのきっかけにもなり得ます。そのことを念頭に置きながら、対策を検討することをお勧めします。
まとめ:セキュリティ担当者は、こんなふうに上司を説得しよう
- 時代の流れからも、無線LANの利用は避けて通れない。従業員全員にセキュリティ教育を実施し、リテラシー向上に努めよう
- 無料のWi-Fiスポットの利用は情報漏えいの入り口となるため、会社としてのルール決めが必要(使わせない、ということも含めて)。場合によってはスマートフォンのテザリング機能や、モバイルルーターの導入も考えよう
- 無線LANの利用に当たっては、運営側、利用者側の両面からセキュリティ対策を検討する必要がある。上記を参考に、最低限取り組むべき対策を実行しよう
那須慎二(なす・しんじ)
大手情報機器メーカーを経て船井総合研究所に入社。ネットワークセキュリティの安全対策と解決策に詳しい。「日本一分かりやすいセキュリティ」をモットーに、中小企業を対象にしたサイバーセキュリティ問題や、対策に関する啓発活動を実施。実際に、全国の地域各社で年間100回以上開催する講演は「今まで聞いた中で一番分かりやすい!」と好評を得ている。著書「小さな会社のIT担当者のためのセキュリティの常識」(ソシム)がある。
参考リンク
「小さな会社のIT担当者のためのセキュリティの常識」(Amazon.co.jp)
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事例で分かる、中堅・中小企業のセキュリティ対策
情報セキュリティ対策をしたくても、ITに詳しい人が社内外にいなくて困っている中堅・中小企業は多いのではないでしょうか。「知識不足」と「ヒト、モノ、カネ不足」の問題が目の前にあっても、対策は待ったなしの状況。予算を握る上司を説得するために、サイバー攻撃の事例を紹介しながら、その効果的な対策につながる情報セキュリティ製品を分かりやすく解説します。
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