条件が何もかも変わった
容量と速度だけで考えると失敗するビッグデータ時代のストレージ
保険会社IAGが保有するデータは、1年間で80TBから2PBに増加した。この間に、データの量だけでなくストレージシステム、管理方法、クラウドなども大きく変化した。ストレージ戦略を見直すべき時がきたのだ。
大手保険会社Insurance Australia Group(IAG)が1年前に保管していたデータは80TB余りにすぎなかった。だがその量は毎月14TBずつ増加し、同社が管理するデータは2P(ペタ)Bバイトに達した。
Computer Weekly日本語版 12月6日号無料ダウンロード
本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 12月6日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。
なお、同コンテンツのEPUB版およびKindle(MOBI)版も提供しています。
IAGのデータは文書、顧客との通話記録、無秩序な広がりを見せるモノのインターネット(IoT)ネットワークのデータや自動運転のテストデータなどで構成されている。これはまさにデータの「Volume(量)、Variety(多様性)、Velocity(発生速度や更新頻度)」の典型といえる。
Cisco Systemsの最新調査によると、全世界の年間インターネットトラフィック量は2016年には1.2Z(ゼタ)Bバイトだったが、2021年には3.3ZBに到達するという。個人の単位では、2016年は1カ月当たり13GBだったが、2021年にはこれが35GBに達すると見込まれている。
当然、こうしたデータの多くはコンシューマーデバイスやクラウドサービスに保管される。とはいえ、この調査が明らかにしている兆候はデータの増加速度だ。
ストレージを見直す
IAGでデータおよび生産エンジニアリングとデータ運用の部門を率いるエディ・サタリー氏によると、使用方法や収集場所といったデータの性質も変化しているという。その結果、同氏がIAGで勤務した16カ月の間に、ストレージへのアプローチが大きく変化した。
「当社は、レガシーのストレージエリアネットワーク(SAN)を、商用/非商用のオープンソースストレージに移行した」とサタリー氏は言う。さらに、コモディティストレージとコンバージドストレージをソフトウェア定義ネットワーク(SDN)で利用することで、データプールの稼働速度が大幅に上がったとも補足する。
こうした速度や柔軟性の向上は、イノベーションだけでなく、突如急増する需要に対処するためにも不可欠だ。台風などの大きな天候異変が発生すると、平常時の4~5倍のストレージ容量が必要になる場合があるとサタリー氏は説明する。こうした変動には、低コストで瞬時に対応できることが非常に重要になる。
パフォーマンス、データ量の増加、コストのバランスをうまく取ることも必要だ。同社はこうしたバランスを取るために、複数のホスティングプロバイダーを利用するOpenStackの共有クラスタを導入している。複数の層からなるストレージメディアを利用し、最上層にはフラッシュストレージを配置している。また、8TBのアーカイブ用ストレージもある。
「ストレージ環境にはバースティングを可能にするため25%のオーバーヘッドを見込んでいる。これは、四半期ごとに見直しを行う」とサタリー氏は言う。さらに、ストレージアーキテクチャを改良して、「完全な柔軟性を得た上で、5分の1のコストで4倍のパフォーマンス」を実現している。
高度テクノロジー
調査会社Gartnerでストレージインフラとコンバージドテクノロジーの調査部長を務めるジュリア・パーマー氏は、ストレージサプライヤーが行うハイレベルなイノベーションにより、ストレージの問題が高度化していると指摘する。
だがこうしたイノベーションに伴い、プライマリーストレージとセカンダリーストレージに使用するテクノロジーや、さまざまな種類のデータに使用するテクノロジーが多様化し、複雑性も増している。その上、CIO(最高情報責任者)が求めるのはパフォーマンスを低下させずにデータの増加をサポートするテクノロジーだ。
基盤となるストレージメディアについては、パフォーマンスを重視する多くの企業がソリッドステートドライブ(SSD)を検討している。だが、サプライヤーの主張はともかく、ビジネスクリティカルなアプリケーションを実行できるほどSSDが安定しているかどうかは慎重に検討する必要がある。
オールフラッシュとSSDの売り上げは2020年まで毎年31%ずつ増加すると予測される。だが、一般的にレガシーアプリケーションの設計では、高速ストレージに対応するのはキャッシュソリューションぐらいだ。こうした設計がフラッシュ導入の妨げとなる。
パーマー氏は、依然として、「オールフラッシュ用にソフトウェアスタックを設計するのは大仕事」であることを挙げ、「フラッシュの導入はいまだに時期尚早だ」と言う。
Dell EMCのCTO(最高技術責任者)アーロン・パターソン氏は、さらに課題を挙げた。
続きはComputer Weekly日本語版 12月6日号にて
本記事は抄訳版です。全文は、以下でダウンロード(無料)できます。
■Computer Weekly日本語版 最近のバックナンバー
Computer Weekly日本語版 11月15日号 モバイル端末管理最新トレンド
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
9
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
10
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー