企業版振り込め詐欺「ビジネスメール詐欺」の脅威と対策【第3回】
国内でも高額被害 「ビジネスメール詐欺」(BEC)を食い止めるための対策とは?(1/2 ページ)
国内でも日本航空(JAL)が約3億8000万円の被害を受けた「ビジネスメール詐欺」(BEC)。実害を防ぐために、企業はどのような対策を取ればよいのか。技術面、組織面の両面から探る。
第2回「“社長からのメール”は疑うべき? 『ビジネスメール詐欺』(BEC)の巧妙な手口」まで、新たなサイバー犯罪「ビジネスメール詐欺」(以下、BEC)の特徴や被害状況、手口の詳細について解説してきました。最終回の今回は、企業が実践すべきBECの対策について詳しく解説します。
BECは、サイバー犯罪者が企業の業務メールを盗み見て得た情報を基に、従業員宛てに巧妙な「なりすましメール」を送り、不正送金、情報窃取といった詐欺をするサイバー犯罪です。サイバー犯罪者は業務メールを盗み見るために、メールアカウントの認証情報を窃取したり、メールサーバへ不正アクセスしたりします。そのための手段はさまざまで、デバイスの入力情報を監視・窃取する「キーロガー」などの不正プログラム(マルウェア)を感染させたり、正規のWebサイトを模倣した「フィッシングサイト」を用いたりします。
サイバー犯罪者はこうした攻撃によって窃取した情報を基に、標的に対して、取引先や経営幹部になりすましたメールを送信します。人の心の隙を突くソーシャルエンジニアリング攻撃を仕掛けることにより、従業員を巧みにだまし、情報を窃取したり、不正送金をさせたりするのです。
BECでは、従業員や企業の送金処理プロセスの欠陥などが原因となって、標的企業が実害を被ることが少なくありません。企業はセキュリティ製品による技術的対策に加え、従業員のセキュリティ意識向上、不正送金の被害を防ぐための仕組み作りなど、組織的対策に取り組むことも重要となります。
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BECの技術的対策
サイバー犯罪者による業務メールの盗み見を防ぎ、なりすましメールを検知するために、企業では次のような技術的対策が有効です。
- マルウェア感染を防ぐ対策
- フィッシングサイトへのアクセスを防止する対策
- 情報窃取を目的とする通信の早期検知
- メールサーバの不正アクセス対策
- ソーシャルエンジニアリング攻撃を検知するメールセキュリティ対策
それぞれの対策について、以下で詳しく確認します。
マルウェア感染を防ぐ対策
BECを仕掛けるサイバー犯罪者は、キーロガーをはじめとするマルウェアを用いることで、メールアカウントの認証情報だけでなく、標的企業の内部情報なども入手可能になります。
マルウェアの存在を検知し、サイバー犯罪者による業務メールの盗み見を未然に防ぐためには、業務端末へのセキュリティソフトウェアの導入や、マルウェアが添付されたなりすましメールを検知するメールセキュリティ対策が有効です。
フィッシングサイトへのアクセスを防止する対策
最近では、業務メールシステムとしてクラウドメールサービスを利用している企業が少なくありません。こうした企業は、フィッシングサイトから従業員のメールアカウントの認証情報を窃取する手口に警戒が必要です。
仮に従業員がフィッシングサイトへアクセスしようとした場合でも、そのアクセスをブロックできる「URLフィルタリング」の導入が有効です。最近では、ドメインが利用されている期間や、スパムメールへの使用実績といった情報を基に、Webサイトの安全性を判断する技術(「Webレピュテーション」などの名称)を備えたURLフィルタリング製品/機能が登場しています。
情報窃取を目的とする通信の早期検知
キーロガーなどの情報窃取を目的としたマルウェアは、従業員のクライアントデバイスに感染すると、情報を外部に持ち出すために通信をします。社内LANを監視し、こうした不正な通信を早期に検知して遮断するといった対策をすることで、業務メール盗み見までの初期段階でBECを食い止めることができます。
重要な対策となるのが、社内LANを監視する「ネットワーク監視」の導入です。ネットワーク監視はマルウェアによる通信だけでなく、標的型サイバー攻撃やランサムウェア(身代金要求型マルウェア)感染の検知にも役立つので、投資対効果の面で非常に有効なセキュリティ対策だと言えます。
メールサーバの不正アクセス対策
サイバー犯罪者は業務メールを盗み見るために、常に従業員のメールアカウントの認証情報を窃取するとは限りません。BECでは、サイバー犯罪者がメールサーバへ不正アクセスして業務メールを直接盗み見たり、経営幹部の業務メールを外部のサイバー犯罪者宛てに転送するよう設定したりするケースも想定できます。
メールサーバへの不正アクセスを防ぐためには「アクセス制御」「脆弱(ぜいじゃく)性対策」「改ざん検知」「不正ログイン検知」などによるメールサーバのセキュリティ強化が重要です。
ソーシャルエンジニアリング攻撃を検知するメールセキュリティ対策
BECを仕掛けるサイバー犯罪者は、従業員宛てに巧妙ななりすましメールを送ります。なりすましメールは、偽の送金指示や従業員の情報窃取を目的としたものです。サイバー犯罪者はソーシャルエンジニアリングの手口を用いて、従業員を巧みにだまそうとします。例えば正規のドメインに類似した偽のドメインを用いてなりすましメールを送る手口や、なりすましメールの件名に「転送メール」や「返信メール」であることを示すタグを付与し、メールの受信者に「やりとりの続きだ」と思い込ませる手口などがあります。
細工されたなりすましメールを技術的に検知できるメールセキュリティ製品の導入が有効です。単体製品に加え、統合型のメールセキュリティ製品が1機能として搭載していたり、メールシステムが標準またはオプション機能として提供していたりします。
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企業版振り込め詐欺「ビジネスメール詐欺」の脅威と対策
ソーシャルエンジニアリングやキーロガーなどの手段を駆使して通常の業務のやりとりを模倣し、不正に送金処理をさせる「ビジネスメール詐欺(BEC)」。海外を中心に被害が広がり、国内企業にも拡大する可能性がある。BECとはそもそも何なのか。企業にどのような被害をもたらすのか。具体的な対策はあるのか。詳しく解説する。
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