ビッグデータ、Eコマース、VDIも?
HCIは万能ではない 失敗するユースケースとその対処法
ハイパーコンバージドインフラ(HCI)の導入はとどまるところを知らない。だが、データセンターのあらゆるワークロードにとってこのテクノロジーが最善の選択肢とは限らない。
ハイパーコンバージドインフラ(HCI)は、データセンターでは普及しつつある。だが、全てのユースケースに適切だとはいえない。
HCIの最大のデメリットは、柔軟性の不足にある。ベンダーは、サーバ、ストレージ、ネットワークの典型的な要件をサポートするシステムを事前に構成する。だが、全てのシステムが均等にリソースを消費するわけではない。
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既製アプライアンスが満足できなければ自前もできる
大容量のストレージが必要なアプリケーションもあれば、大量のネットワーク帯域幅を使うアプリケーションもある。また、HCIは仮想化に依存している。仮想化によって、複数のアプリケーションが同じ限られた量のリソースを共有できるためだ。
そのためIT担当者は、HCIのユースケースを評価する際、キャパシティープランニング(容量設計)とそのスケーラビリティ(拡張性)のニーズに細心の注意を払わなければならない。特に、ビッグデータを使うアプリケーションや仮想デスクトップインフラ(VDI)には注意が必要だ。
HCIユースケースの経済学
調査会社であるIDCの報告によると、HCIの全世界の収益は2017年第3四半期に前年比68%の成長を遂げ、10億ドルを売り上げたという。
こうしたシステムが魅力的なのは、サーバ、ストレージ、ネットワークハードウェアを仮想化ソフトウェアと統合しており、導入が容易な“事前構成済み”のバンドルであるためだ。IT部門は、その後、自社のネットワークにその製品を接続し、そこでアプリケーションを実行すればよい。データセンターの管理者は、デバイスの構成に時間をかける必要はほとんどない。こうした構成は、従来、多くの時間を必要とするプロセスだった。
「HCIを利用すれば、企業のIT部門はクラウドのような方式で新しいシステムを導入できる」と調査会社Technology Business Researchでアナリストを務めるステファニー・ロング氏は話している。
ただし、HCIのユースケースの中には、それほど魅力的な結果が得られないものもある。具体的には、ワークロード(システム稼働)が1つの特定のコンポーネントを重点的に利用しているシナリオがこれに当たる。例えばビッグデータは、HCIが必ずしも適切ではない分野の1つだ。ビッグデータアプリケーションは大量のデータを格納するため、サーバの処理能力よりもストレージの方が多く必要になる。
「企業は『Apache Hadoop』や『SAP HANA』のような動的ワークロードはHCIでは適切に機能しないことを認識している」と調査会社の451 Researchでリサーチマネジャーを務めるクリスチャン・ペリー氏は話す。
VDIでも同様の問題が起きる可能性がある。VDIは当初HCI最大のユースケースだった。だが、Technology Business Researchの調査によると、VDIは最も代表的な5つのHCIワークロードには含まれなくなったという。仮想デスクトップがサーバのCPUに高い負荷をかけてしまうことが主な理由だという。
同社でマネジャーを務めるスタンリー・スティーブンズ氏は次のように話す。「VDIの導入によってスケーリングの問題が発生した企業もある。こうした企業はHCIではなく、グラフィックプロセッシングユニット(GPU)でVDIワークロードを処理することに注目している」
仮想デスクトップに処理能力を追加する必要がある場合、ハイパーコンバージドシステムを追加購入したり、ストレージやネットワークに不要な料金を負担したりするよりも、GPUを使って機能拡張(スケールアップ)するほうが簡単だ。
HCIベンダーは、インフラの変化に対応できるシステムにすることに努め、他のコンポーネントを追加する必要なく、1つの必要な要素を購入できるようにしようとしている。
仮想化の制限
HCIは、まさにその性質上、仮想化されたシステムになる。仮想化では、1台のサーバで複数のアプリケーションを実行することでサーバの処理能力を最大限に生かすことができる。だが、高パフォーマンスのワークロードは他のワークロードのリソースを奪う問題を引き起こすとペリー氏は話す。
例えば、中断なく動作するEコマースソフトウェアを求める企業があるとする。だが、適切なキャパシティープランニングを行わずにこのソフトウェアを仮想サーバで運用すると、他のアプリケーションがその仮想サーバのリソースを利用し、それが原因で速度の低下やクラッシュ(障害)が起こる恐れがある。これは仮想化の導入に潜む落とし穴だ。HCIのユースケースだけにまつわるリスクではない。
ただし、こうした問題を避けるため、HCIにこだわる必要はない。特定のアプリケーションだけHCIではなく物理サーバで運用しても構わないだろう。
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