今までなかったものを作り上げるために
人工知能(AI)導入では、壮大な夢ではなく堅実な目標を立てよ
人工知能(AI)技術の領域ではホットな話題に事欠かない。しかしAI導入プロジェクトでは、こうした熱狂的ブームに惑わされることなく、合理的かつ実現可能な目標を見据えよ、と専門家はアドバイスする。
2018年5月5~8日に開催した「Gartner Data & Analytics Summit」は、データ分析のリーダーに向けて規範的なアドバイスが満載だった。驚くことでもないが、こうしたアドバイスの多くは企業向け人工知能(AI)の最新トピックが中心だった。企業が使用する分析プログラムがAIテクノロジーによって根本から覆されようとしていることに注目したアドバイスもあった。こうしたAIテクノロジーは自然言語生成から深層ニューラルネットワークまで多岐にわたる。
参加した最高情報責任者(CIO)に向けられたこうした新たな現実への対応方法を考えるだけで、筆者は報道記者として冷や汗が出る。この種のことに責任を負う企業のリーダーが感じるに違いない重圧は計り知れない。だが、このイベントの参加者にとって幸いだったのは、Gartnerの著名なアナリスト、ウィット・アンドリュー氏によるセッションが開かれたことだ。このセッションには、AI戦略を練り始めたばかりのデジタルリーダーの懸念を和らげる狙いがあった。
GartnerのAIに関する取り組みについて議題を定めるアンドリュー氏は、まず、Gartnerとは異なる簡単なAIの定義を紹介した。同氏はこれを「出発点」の定義と呼ぶ。
「AIプロジェクトは、従業員単独では成し得ない方法で分類と予測を行う強大な力を企業にもたらす」(アンドリュー氏)
企業内でAI戦略を推し進める場合、デジタルリーダーはこの定義が最も重要であることを肝に銘じる必要がある。そうすれば、分かりきったことをやり直すためではなく、今までなかったものを作り上げるためにAIを利用すべきだということを忘れないだろう。
アンドリュー氏は聴衆に対し、AI戦略に関する「本当の真実」を知るように求めた。こうした真実は、絶え間ない興奮や熱狂にかき消されかねない。このようなイベントや際限のない報道の中で示唆される事実とは異なり、AIに関して企業が現実に後れを取っていることは恐らくない。CIOを対象としたGartnerの調査では、所属企業でAIを採用していると答えたのは25人のCIOのうち1人しかいなかったことを同氏は指摘する。さらに、AIについて短期計画段階にあるか、積極的にテストしていると答えたCIOは5人だけだったという。AIに関して中期から長期にわたる計画段階にあると回答したCIOでさえ、25人中6人しかいないのが現実だ。
当然、CIOやデジタルリーダーはまだAI戦略の策定と導入に取り掛からくてもよいと言っているわけではない。アンドリュー氏によると、企業がまず取り組むべきなのは「過去の願望」を追求することだという。つまり、既に試みている何かにAIを使って対処することだ。「最も成功するAIのユースケースは、壮大な夢に取り組むのではなく、まずは合理的かつ実現可能な目標に狙いを定めることだ」と同氏は付け加える。
一般に、AIに着手する企業はごく「難易度の低い」成果を目指すべきだとアンドリュー氏は主張する。例えば、プロセス、顧客満足度、製品、財務ベンチマークの改善などだ。
「真の投資対効果(ROI)を計算するのは難しい。そのことがAIのテストを妨げている可能性がある」(アンドリュー氏)
AI戦略の具体化を目指すデジタルリーダーに向けて、アンドリュー氏は他にも以下のようなアドバイスを送った。
- AIに関する知識を外部のサービスプロバイダーやベンダーから企業のIT担当者やビジネス担当者に伝える計画を練る。
- AIによる意思決定を追跡して明らかになった手段を備えたAI製品を選ぶ。具体的には、結果を視覚化または明確化する行動監査証跡やそうした機能を使用できるものを選択する。
- リソースや社内の従業員基盤に不足している課題を解決するために、AIを導入する。
- トレーニングを通じて改善できるアプリケーションを詳細に記録する。
- ROIのためではなく、純粋な学習目的で一部のAIテクノロジーや製品を試してみる。
- AI機能を構築するためにトレーニング、採用、調達について今後3年間の計画を立てる。
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