大企業だけでなく中堅・中小企業にもメリット
会計ソフトウェアの「5つの選定ポイント」(2/2 ページ)
部門と子会社
企業におけるエンタープライズ会計ソフトウェアの必要有無を決める要因はもう1つある。それは、会社が同一国内か複数の国で複数の部門を運営しているかどうかだ。
しっかりとした会計システムでは同一国内にある複数の部門や子会社をサポートする機能が用意されている。これには部門間や企業間の取引が含まれる。
一部の小規模企業でも、複数の部門を運営していたり、別の企業名で業務を実施したりすることがある。そのため、企業顧客用の会計ソフトウェアでは、別の企業としてではなくユーザーとして各部門や事業体にアクセスできる必要がある。そのようにして、企業は複数の企業や部門を同じシステム内で運営し、同一会計の一部として管理できる。
エンタープライズ会計ソフトウェアの価格とROI
当然、ROIと価格も重要な検討事項だ。
だが特に、急成長を遂げている企業や、変化が非常に激しい市場で操業している企業では会計ソフトウェアのメリット数値化が難しい。詳細については後述するが、考慮すべき事項としてはソフトウェアの自動化機能やエラー削減によって節約される時間がある。潜在的な不履行の問題に伴うコストも考慮する。さらに、正式なROIの計算には含まれていないが、新しいソフトウェアによる従業員の満足度向上も重要な検討事項になる。他の主要なIT関連の購入と同じように、エンタープライズ会計ソフトウェアの導入に向けたビジネス事例を作成するのも一考だ。
会計ソフトウェアのメリット
企業顧客は、会計ソフトウェアに多数のメリットがあることを期待する。
会計ソフトウェアのメリットには、財務記録や財務報告の信頼性が高まることなどがある。古かったり制約の多かったりする会計ソフトウェアを使う企業では、正確性を欠いた財務計算や報告につながるエラーが生じるリスクがある。また、手作業の会計処理がある場合もそうなることは確実だ。その結果、会計、法律、規制の問題を引き起こし、罰金が科される恐れがある。さらには、顧客、サプライヤーなどのビジネスパートナーとの不和にもつながりかねない。
多くのベンダーは洗練された役割ベースの報告機能を提供している。これらの機能により、経営者は注文や支払いなどの記録をリアルタイムで簡単に確認できる。経理担当者、管理者、在庫管理者、調達責任者なども、関係性のある財務記録を素早く表示できる。
会計ソフトウェアのもう1つのメリットは全体的な可視性が向上することだ。全ての会計取引やその他の財務データに対する可視性があることは、収益力が高く効率的なビジネスを営む上で欠かせない。
エンタープライズ会計ソフトウェア基盤は、企業全体に対する完全な可視性を提供する。それにより、権限のある経営者や幹部が財務情報にアクセスし、確認できるようになる。事前に構成した役割に基づいてアクセス権が設定されるソフトウェアもある。また、BI(ビジネスインテリジェンス)の分析指標(メトリクス)がダッシュボードにグラフィカルに表示されるものもある。規制順守要件を満たすには、会計データに対してこのレベルの可視性を用意することが不可欠だ。
可視性は事業業績の領域にも及ぶ。会計ソフトウェアを使用すると、企業はさまざまなメトリクスに対して財務実績を評価できる。また、幹部による確認用にこうしたデータを表示することもできる。
ユーザーは収益、顧客ロイヤルティー、顧客維持率、調達コスト、人件費などのメトリクスをある期間にわたって追跡できる。それにより企業業績を見極めることが可能だ。他のメトリクスには運転資本比率や、製品、地域別の売り上げなどがある。
また別のメリットとして予測の強化がある。企業は財務計画や財務分析用のアプリケーションを利用できる。これらのアプリケーションは総勘定元帳、売掛金、買掛金などの会計記録からのデータに一部基づいている。
最後に、エンタープライズ会計ソフトウェアでは、企業に欠かせない全ての主要な会計機能の自動化を提供する。あまり進歩していない会計システムや手作業のプロセスを使用すると、決算などのタスクを完了するのに非常に長い時間がかかる。これは、納税期限やその他の報告期限を守る上で重要な問題になる恐れがある。
報告、統合、支払い、現金管理などの領域の自動化機能は、計算や見積もりといった会計に不可欠な財務機能でのエラーが減ることを意味する。
エンタープライズ会計ソフトウェアは、大手企業だけのためにあるわけではない。中堅企業や小規模ながら成長中の企業も、できるだけ効率的に企業を運営するには会計プロセスを最適化する必要がある。
会計ソフトウェアのメリットには有無をいわせぬ魅力がある。そのため、企業がいずれかの判断要素を満たすなら、この市場のオプションを調査することに意味があるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー