深刻な欠陥か成長過程の困難か
Slackで本当に大丈夫? 大規模障害で高まる信頼性への懸念
2018年6月、「Slack」に障害が発生した。ビジネス上のコミュニケーションを目的とするツールに発生した障害は、企業からの信用を揺るがしかねないと懸念するアナリストもいる。
Slackが運営するコラボレーションツール「Slack」で2018年6月に3時間以上の障害が発生した。これまでの一連の障害を受け、同サイトの稼働率に関する問題を不安視する企業顧客がSlackから離れるのではないかと懸念するアナリストもいる。
アナリストは、Slackの障害が続くと、ライバル企業であるMicrosoftやCisco Systemsらが、この急成長スタートアップ企業から顧客を遠ざけるために、これを利用する可能性があると警告する。
8件の大きな障害が発生
「最近のSlackの障害は、競争相手がSlackを批判する糸口になるのは間違いない。さらに、ビジネスにおけるコミュニケーション手段として信頼できるアプリかどうかを警戒する顧客や潜在顧客が増えるだろう」と懸念するのは、Nemertes Researchでアナリストを務めるアーウィン・ラザール氏だ。
Slackの障害が、同社のテクノロジーの深刻な欠陥ではなく単なる成長過程の困難なのかは、それぞれの障害の正確な原因を詳しく調べてみなければ判断は難しい。Slackは、今回の障害の原因を「データのオフラインバッチ処理に含まれるバグ」と発表している。
2018年5月の同社発表では、2017年5月以降に発生した大きな障害はわずか4件だったとしていた。だが、今回の障害が発生した翌日に再確認したところ、同社の新たな見直しにより、同期間内に発生した大きな障害は8件だったと同社広報担当者が明らかにした。
障害リストには、2017年10月31日の2時間以上の停止、2018年1月9日の約1時間の停止、2018年5月21日の約2時間半の停止、2018年5月23日の約20分間の停止が含まれている。こうした障害があるにもかかわらず、Slackの稼働率改善に向けて2018年3月に編成された同社のセーフティエンジニアリングチームの責任者はまだ発表されていない。
2018年5月にTechTargetがSlackの担当者にインタビューを行ったところ、その担当者は同社の成長が急激なあまり、対応が追い付いていないことを認めている。2015年1月から現在まで、同社の1日当たりのユーザー数は110万人から800万人に急増している。
Slackのインフラエンジニアリング部門のシニアディレクターを務めるジュリア・グレース氏は「率直に言って、当社は運営しながら学び続けている。成長への対応はソフトウェアの実に複雑な部分だ。当社は世界規模で運営している。学び、進化し、成長する中でサービスを向上させている」と話す。
Slackのパフォーマンスがサービス開始当初より大幅に低下していると指摘するアナリストもいる。Forrester Researchでアナリストを務めるマイケル・ファセミア氏は「かなり昔、ごくごく初期のころ、Slackは拡張できないモデルに基づいて構築された。最近の障害は、昔の(Slack)の停止を思い起こさせる。当時は我慢できないほど長時間の停止をしたものだ」と語る。
とはいえ、競争相手となるテクノロジー大手のCiscoやMicrosoftを前にして、Slackはもはやこれ以上弱みを見せることはできない。稼働率の記録が競争相手より大幅に低いコラボレーションベンダーが標準になる可能性は低い。
「Slackが稼働停止の深刻さを十分認識しているのは明らかだ。とはいえ、Slackを使おうとしたら、この問題を見過ごすことはできない。この種のコラボレーションツールは、コミュニケーションの主要チャネルになっている」と話すのは、Gartnerでアナリストを務めるラリー・キャネル氏だ。
ある企業の広報担当者は、Slackが最近更新した稼働状況ページがシンプルで分かりやすくなったと話している。そのページに掲載されている障害のみが、サービスに接続できない状態を表すようになった。ここからは、Slackが接続の一部の問題を「Incident」や「Notice」と再定義することになった様子が見て取れる。
この分類手法を使うと、Slackがこれまで報告した障害の件数は2016年の9件から2017年には38件に急増することになる。2018年はこのままのペースで障害が発生すると24件に達することになる。ただし、障害報告に関する最近の変更によって、2018年の障害件数を過去の件数を比べるのが難しくなっている。
Slackの広報担当者は次のように話している。「信頼性の高いサービスの提供は、当社の顧客に提供する最も重要な責務だ。当社は今回のようなインシデントを非常に深刻に受け止めている。当社は、綿密な事後分析プロセスを通じて障害から学び続けている。そのため、サービスの可用性、信頼性、安定性はこれからもさらに改善できる」
Slackは、このアプリの稼働率を毎月オンラインで公開している。本稿執筆時点までの12カ月間で最も数値が低かったのは、2017年10月の99.75%だ。2018年6月は99.82%だった。アプリの月間稼働率が99.9%を下回ったのは、2013年以降4回目だ。
Microsoftの「Office 365」の全世界の稼働率で2016年以降に最も低かったのは、2017年第2四半期の99.97%だった。
IDCでアナリストを務めるウェイン・カーツマン氏は「クラウドへの依存度が強まるにつれ、稼働率99.8%でも十分ではなくなる。Slackのユーザーはソーシャルメディアや『Reddit』で非常に活発に発言する。そのため、Slackのあらゆる障害が特に目立つことになる」と語る。
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