Product 360、IICSはどのような効果があったのか
三越伊勢丹、クックパッド 効率的なデータ管理のための基盤づくりを語る
インフォマティカのデータ管理システムを使ったデータの連携や統合について、三越伊勢丹グループ、クックパッドの事例を紹介する。
インフォマティカは2018年8月29日、年次イベント「Informatica World Tour 2018」を開催した。データ管理システムによるサービス間のデータ連携や、商品マスター管理プロセスの効率化、マスターデータの品質向上について、ユーザー企業の三越伊勢丹システム・ソリューションズ、クックパッドが講演した。
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三越伊勢丹:商品登録作業の効率化で人員コストを半減
三越伊勢丹グループは、百貨店部門がグループ売り上げの9割を占める。百貨店で販売する商品マスターの登録変更作業を効率化するため、インフォマティカの商品情報管理(PIM)システム「Product 360」を導入した。
同グループの百貨店部門は、840万点以上の商品を管理している。商品の入れ替わりが激しく、商品マスター登録にはスピーディーさが求められる。ファストファッション業界やオンラインストア業界との競争が激しくなる中で、勝ち残りに向けた販売チャネル拡充のためのデータ利活用も課題だった。
三越伊勢丹グループのIT構築を担う三越伊勢丹システム・ソリューションズの事業推進部に所属する栗並千尋氏によると、Product 360の導入以前は、PIMシステムや発注・在庫管理システムなど複数のサブシステムで基幹業務システムであるMD(マーチャンダイジング)システムを構成していたという。商品マスターを変更すると全てのサブシステムと同期する必要が出ることや、登録システムの分散により、項目ごとに異なる担当者がマスター登録する必要が生じるなど人的コストがかかることが課題だった。そのためPIMシステムをMDシステムから切り離し、PIMシステムの機能である売価や素材などの商品マスター管理・登録機能はProduct 360に集約、在庫や売り上げはMDシステムで管理するように機能配置を見直した(写真1)。
Product 360の導入により、固定されていた商品マスター登録の項目に、個別の商品ごとの項目追加が可能になった。加えていままで販売担当者が登録できず、仕入れ担当者が追加登録していた情報を、一括して販売担当者が登録できるようになったため、商品マスター登録の人員コストを削減できた。Product 360を用いたMDシステムとPIMシステムの分離によって、各サブシステムを個別要件に沿って構築できるようになった。
栗並氏は導入後の課題として、Product 360の国内有識者が少なく、公式マニュアルが完全に日本語化されていないことを挙げた。エンドユーザーが利用しやすくするために、自社独自のマニュアルを製作して共有したという。
今後は、まだ完了していないギフト商品の商品マスター化、Product 360を扱える人材の育成、ワークフローを実行管理する「Business Process Management」(BPM)機能やデータ品質管理機能の導入、本製品を他のクラウドサービスと連携するためのAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)活用をしたいという。
クックパッド:データドリブンの基盤づくり
2016年に経営戦略を変更したクックパッドは、海外事業に注力し始めたことを機に、クラウド型データ統合エンジン「Informatica Intelligent Cloud Services(IICS)」を導入した。
クックパッドのコーポレートエンジニアリング部部長 中野 仁氏によると、同社のシステム構成は国内での利用を前提としており、Salesforce.comの「Sales Cloud」「Service Cloud」「Marketing Cloud」やGoogleの「G Suite」などのさまざまなSaaS(Software as a Service)とデータが分断、分散している状態だった。そのため、サービス間のデータ連携に手作業が多く発生しており、海外進出に伴う経営判断で必要なヒト、モノの情報伝達にタイムラグがある状態だったという。
一番大きな問題は従業員・組織マスターがシステムごとに存在していたことだ。「国内外の従業員数が正確に把握できなかった。どの部署にどの職種の人が在籍しているかという問いに答えようとすると、従業員のデータ定義から始めなければいけなかった」(中野氏)
このような問題を解消するため、クックパッドは2017年からの2年計画で社内システムを刷新している最中だ。ERP(統合業務)システムで扱う財務、人事、フロントオフィス(顧客、営業)の情報は、それぞれ人事会計SaaSの「Workday」とCRM(顧客関係管理)に用いるSalesforceの各SaaSに集約した。ERPシステムで扱わない社内PC管理台帳や備品手配などのワークフローのデータは、ITサービスマネジメントSaaSの「ServiceNow」で管理し、それぞれのSaaSのデータをIICSで連携できるようにした(写真2)。
IICSの選定ポイントは、社内で利用しているクラウドサービスとAPIなどで連携できる点、ユーザーインタフェースが複数の言語で表示できるため海外でも使用できる点だ。
導入後は、従業員マスターと組織マスターは情報の種類に応じてWorkdayと人事労務管理SaaSの「Workcloud」で管理し、IICSを通して連携しているシステム同士がデータ連携できるようにした。結果、分散していた従業員・組織マスターを一元化できた。中野氏は「IICSを通したシステムの疎結合化の実現や、データサイエンティストでなくてもデータが活用できる環境づくりをしたい」と展望を語る。
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