サーバ今昔物語【第1回】
「サーバが不安定になると自分も不安定になった」 安定稼働までの長い道のり(1/2 ページ)
サーバと共に社会人生活を過ごした著者が語るIAサーバ進化の歴史。そこから何が見えるか。
サーバに関する最近のトレンドといえば、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)が代表的だ。オールインワンという特徴だけではなく、さまざまなオプションが付き、ビジネスでの利用範囲が広まっている。
IT担当者にとって、仮想化基盤導入の選択肢が増えるのは喜ばしい。だが結局、どの機能や性能が必要なのか判断が難しくなるというジレンマもある。
そこで本稿では「温故知新」という言葉に倣い、サーバがまだ不安定で安定稼働せず、サーバとともに自分自身が不安定になっていた頃を思い出してみる。サーバの機能や性能を判断するヒントをサーバの歴史から探ってみようというわけだ。これまでどのような需要に対して、どのような機能や性能が追加されてきたのかを知ることで、現在のトレンド、今後の動向が見えてくるだろう。
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メインフレームからIAサーバへ
1950年代のサーバ事情は「メインフレーム」中心で、各ハードウェアベンダーが自社でCPUやOSを開発していた。価格も機種によっては数億円など非常に高く、企業にとって“コンピュータは高根の花”という時代だった。
1960年代後半に「UNIX」が登場し、OSを共通化するオープンシステムの発想が生まれ、コンピュータ調達の価格的障壁は徐々に下がっていった。
PCは1980年代にIBMから「PC/AT互換機」が登場し、PCのデファクトスタンダードとして扱われた。同じ規格のハードウェアが普及することで表計算やワープロのソフトウェアも普及しやすくなり、PCは1人1台利用する時代へ向かっていった。
サーバのオープンシステム化が進み、PCがオープンな規格で進化する過程で、サーバの技術とPCの技術が交わった運命的ともいえる組み合わせが誕生する。これが「IAサーバ」だ。この流れに呼応するかのように、サーバベンダー各社は積極的にIAサーバを市場投入し、サーバ導入を検討する企業が採用しやすいコストになった。そのような背景を受けて、1990年代は本格的なIAサーバの時代に突入した。
IAサーバの内部は、Intel互換CPU、メモリ、HDD、電源モジュール、ファンモジュール、外部接続用の各種インタフェースなどで構成されている。(図1)
誕生当時のIAサーバは、PC/AT互換機と同等のコンポーネント(部品)を利用していたこともあり、「PCサーバ」とも呼ばれていた。1サーバ当たり1つのOS、1つのアプリケーションという組み合わせが基本で、企業はアプリケーションごとにサーバを増やしていった。
CPUとメモリ、HDDの成長
CPUベンダーは高速処理のために、自社製品のクロック周波数を上げていった。しかし、1つのCPUでの成長の限界が見え出したため、2000年代には1つのCPU内にCPUコアを複数個搭載し、分散処理させる方式を採用するようになった。CPUは、さらなる高速化に向けて進化し続けているといえる。
メモリとHDDも大きな成長をした。「ムーアの法則」が示すようにメモリの集積度は3年で4倍に増加し、現在ではモジュール1個当たりの容量が数十GBに達することも珍しくなくなった。HDDの容量も増加を続けており、現在では1ドライブ当たり数百GBから数十TBが一般的だ。
HDDは駆動部品が多いこともあり、筆者の経験上ではサーバ内コンポーネントの中で障害発生率が最も高かった。この課題の解決策として発達した技術がRAID(Redundant Arrays of Independent Disks)だ。RAIDは、複数のHDDをコントローラーで制御して、1つのHDDに障害が起きても他のHDDでデータを保護する仕組みだ。
名脇役の磁気テープ
IAサーバの名脇役ともいえる磁気テープ装置についても触れておこう。
バックアップを取得するテープメディア規格は、DDS(Digital Data Storage)からDLT(Digital Linear Tape)へ、さらにLTO(Linear Tape-Open)へと進化を遂げている。これらはHDDの大容量化・高速化に追従する形で、それぞれの規格の中で限界まで成長し、限界を迎えたところで新たな規格が登場するという進化を繰り返している。
DDSの規格(DDS-1)ができた1989年当時は、容量は圧縮時2.6GB、非圧縮時1.3GBだった。最新規格のLTO-8は圧縮時30T(テラ)B、非圧縮時12TBである。圧縮時のみを比較しても、約1万1500倍にもなる(注)。
※注:ストレージ業界では慣例として容量計算に「SI接頭辞」(1TBであれば1000GB)という考え方を用いる。メモリの計算などで用いられる「2進接頭辞」(1TBであれば1024GB)とは異なる。
コラム:音楽市場の負け組がデータ保存で“華麗なる転身”
DDSは1989年にデジタルデータ保存用として商品化されたが、そもそもは1987年に規格制定されたDAT(Digital Audio Tape)、つまり「音楽鑑賞用テープメディアの転用」からの普及だった。
当時、DATベンダーがDATの再生機器を普及させるために、キラーコンテンツとして、著名なアーティストの音楽アルバムのリリースに合わせて、DAT版もCDショップの店頭に並べて大々的なプロモーションをしていたと記憶している。
DATは先に流通していたCDとの優位性を出せず市場に浸透しなかったが、DDSとしてデータ保存用途で生き延びたことは華麗なる転身の成功事例といえる。
話をIAサーバに戻すと、IntelのCPU新製品リリースに合わせてサーバベンダー各社がモデルチェンジすることや、CPUの供給価格がサーバの提供価格に大きく関係することは今も昔も変わらない。
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サーバ今昔物語
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