ITチームに求められる多彩な役割
マルチクラウド戦略は人材が全て エンジニアに求められるスキルは
マルチクラウドを効率的に導入/管理するには、マルチクラウド特有の技術スキルとビジネススキルを兼ね備えたITチームが必要だ。
企業がマルチクラウド戦略を進める時、新たなITマネジメントの課題に直面する。この課題を克服するには、ITチームのスキルセットを進化させる必要がある。
マルチクラウド戦略を進める企業は、ITチームのメンバーに自社のクロスプラットフォームのツールや自動化の経験があるスタッフ、API管理やデータ統合のベストプラクティスを知るスタッフを含める必要がある。
特にクラウドブローカー(複数のクラウドサービスの導入、集約、統合などを推進する役割)が不可欠だ。
併せて読みたいお薦め記事
マルチクラウドへ向かう市場
マルチクラウド時代の課題とは
マルチクラウドの複雑さへの対処
「リソースを別のクラウドベンダーに移行する場合、ベンダー同士の価格差やワークロードの需要を的確に判断する必要がある。これには特別なスキルが必要だ」。こう語るのは、デジタルテクノロジーコンサルティング企業SPRで上級コンサルタントを務めるザック・ローバー氏だ。
「クラウドブローカーに加え、マルチクラウド内のサービスを提供、分類、運用する標準フレームワークの導入も重要だ」。ITコンサルティング企業Aheadの社長を務めるグレッグ・サーザム氏はこう指摘する。
このフレームワークには、ガバナンスの運用を自動化する機能も必要だ。ガバナンスで企業のクラウド導入を厳しく管理できるようにする。クラウドアーキテクトやクラウドプロジェクトマネジャーなど、より包括的な役割を取り入れることも重要だ。マルチクラウドの複雑さを緩和することに役立つ。
「大企業では、クラウドアーキテクトという役割が、これまでよりも一般的になると見ている」と語るのは、アナリスト企業451 Researchでバイスプレジデントを務めるメラニー・ポージー氏だ。クラウドアーキテクトの役割は、クラウドとオンプレミスによる環境間のAPIやデータ統合を推進することだ。
コンピューティングインフラをオフプレミスに移す企業が増えるにつれ、社内のIT機能はリソースのオーケストレーションや統合に移っていくのが一般的だ。このIT機能がマルチクラウド戦略に欠かせない。
「統合機能や集約機能へ向かうことがトレンドになり、IT運用の標準になりつつある」(ポージー氏)
マルチクラウドではさまざまなベンダーとの関係を調整する必要がある。プロジェクトマネジャーのような役割もこのタスクの役に立つ可能性がある。ビジネスプロセスとERPシステムのコンサルティング企業Algorithmで、ビジネスシステムコンサルタントを務めるデイブ・ドジャー氏は次のように話す。「この役割に求められるスキルは、従来のIT担当者とは全く異なる。卓越した技術スキルさえ求められない可能性がある」
「クラウドベンダーを複数利用する場合、企業のIT担当者に求められるのは、IaaS(Infrastructure as a Service)ベンダーから定期的にリリースされる多数の新機能を選別すること。そしてその中から、自社のビジネスニーズや技術ニーズにとって重要な機能を見つけ、磨きをかける能力だ」。こう説明するのは、ITサービスプロバイダーSungard Availability Servicesの主任CTO(最高技術責任者)を務めるトッド・リプケ氏だ。
「IT担当者には、各クラウドベンダーが提供する機能、コストの違い、監視オプション、接続アーキテクチャなど、幅広い観点を持たなければならない」(リプケ氏)
マルチクラウドに求められるスキル
クラウドブローカー、アーキテクト、プロジェクトマネジャーなどの役割の重要性が高まる中、マルチクラウド戦略を進める企業が同じように重要視するニッチなスキルもある。
マルチクラウド戦略でコストとパフォーマンスを最適化するには、さまざまなアプリケーションのワークロードに対する傾向を、オンプレミスとIaaSプラットフォームの両方で分析できるIT担当者が必要だ。
「パフォーマンス分析のデータをマイニングする能力は、マルチクラウドの効率を最大化したり、最適化したりするポイントを見つけることに役立つ。それによりビジネスコストを目に見える形で削減できる」と、SPRのローバー氏は語る。
リプケ氏は「マルチクラウド戦略を進める企業は、最新のコーディングスキル、IaC(Infrastructure as Code)の知識、CI(継続的インテグレーション)/CD(継続的デリバリー)パイプライン、自動テストなどに関する経験を持ったIT担当者を探すだろう」と指摘する。
ポージー氏もこの意見に同意する。そして「マルチクラウド戦略にはコンテナやマイクロサービスのような最新テクノロジーも重要だ」と語る。こうしたテクノロジーは、移植可能な疎結合型のアプリケーションの開発を容易にする。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
9
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
10
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー