レガシーアプリをAzureやAWSに移行する手法
新旧Kubernetesツールを比較 データベースのコンテナ化に必要な機能とは?
Kubernetes用のツールは、データベースのコンテナ化という市場を開拓している。パフォーマンス監視やQoS(Quality of Service)管理などの機能を備えたツールを紹介する。
2018年8月に幾つかの「Kubernetes」用ツールが登場した。これらのツールがターゲットにするユーザーは、レガシーアプリケーションの刷新や、データベースのコンテナ化に着手しようとする企業のIT部門だ。
Robin Systemsは、独自のコンテナオーケストレーション関連の製品を提供している。同社がリリースしたのは、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)のソフトウェアとKubernetesを抱き合わせた製品だ。これはデータベースをコンテナ化するツール、AI(人工知能)関連技術や機械学習を使ったアプリケーション、「Apache Spark」や「Apache Hadoop」のようなビッグデータを活用するアプリケーションのQoS(Quality of Service)を最適化する。Turbonomicは、Kubernetesを最適化する機能をさらに進化させ、マルチクラウド環境でコンテナ管理ができる製品「Self-managing Kubernetes」をリリースした。これはパフォーマンスとコストの最適化を考慮しているため、データベースのコンテナ化にも役立つ可能性がある。
Kubernetes用ツールに加わる新たな機能
こうしたサードパーティー製のKubernetes用ツール群に新たに加わる製品は、純正のKubernetesで実行している機能よりも付加価値を持たせなければならない。Kubernetesの市場が成熟しているため、その難易度は高い。だがこれらの新しいツールは、「データベースのコンテナ化と、そのパフォーマンスに重点を置くという意味で、エンタープライズ市場の時流に乗っている」とアナリストは評価する。
調査会社Gartnerでアナリストを務めるミリンド・ゴバーカー氏は次のように語る。「多くのベンダーは、パフォーマンス監視やQoS管理の側面を軽視している。これは歴史的にそうだった。しかし自動化が進んだ現在では、コンテナを利用する際に以前よりも短時間で重大なミスを起こしてしまう可能性が生じている」
携帯電話事業者T-Mobileのように、既にDC/OS(Datacenter Operating System)を使用してデータベースをコンテナ化している企業もある。だが大半の企業は、コンテナでステートフル(システム状態を表すデータを保持し、処理に反映する方式)アプリケーションを利用する準備ができていない。
「まだステートレス(システム状態を表すデータを保持しない方式)アプリケーションは実現しやすい。だが大半の企業が大量のデータを扱うアプリケーションをコンテナで利用できるようになるまでには時間がかかるだろう」と、調査会社451 Researchでアナリストを務めるジェイ・ライマン氏は語る。
データベースをコンテナ化する、Robin Systemsの高度な仕組み
Robin Systemsのツールの競合となるのは、純正のKubernetesと、ビッグデータを活用するアプリケーションおよびデータベースのコンテナ化に特化したサードパーティー製ツールの両方だ。例えばMesosphereは、この市場においてDC/OSで何年もの実績を積んでいる。他にも、クラウド関連サービスを提供するRed Hatのコンテナアプリケーションプラットフォーム「OpenShift」がある。この市場にRed Hatの製品がなじんできたことを考えれば、OpenShiftを使ったデータベースのコンテナ化もユーザーは検討するだろう。
Robin Systemsの創立者は、「個別のコンテナやワークロードに対して、OpenShiftやDC/OSよりも性能が高いQoSを保証する」と主張する。ソフトウェア定義インフラのあらゆる側面を設計、管理しているためだ。同社はCPU、メモリ、ネットワークとストレージのIOPS(1秒当たりに処理できるI/Oアクセスの数)の割り当てなど、インフラ全体における最小/最大のアプリケーションパフォーマンスを単一の仕組みで保証する。これに対して競合他社では、オープンソースCNI(Container Network Interface)のプラグイン、Red Hatの「OpenShift Container Storage」、Portworx社の永続ストレージ「Portworx」といったツール類と連携している。
Robin Systemsの製品はストレージ層の設計を制御することで、Kubernetesと、Kubernetesに関連するアプリケーションを含むクラスタ全体のスナップショットを取得する。これはOpenShiftやDC/OSでは通常できない機能だ。
自社のKubernetes用のツールが優れた方法を採用していると主張するベンダーは少なくない。既にアプリケーションの開発と運用のために、戦略的にKubernetesに関連するベンダーと組んでいる大企業のIT部門も珍しくない。
ただし生命保険会社John Hancockのような企業は、大量のレガシーアプリケーションを刷新する必要がある。これには「IBM Db2」や「Microsoft SQL Server」などで、製造元のサポートが終了している旧バージョンのデータベースを使ったアプリケーションが含まれる。
John Hancockは金融サービスグループManulife Financialの事業部門の一つだ。同社はIBM Db2のコンテナ化を検討し、Robin Systemsと共同でPoC(概念検証)を実施している。この狙いは開発およびテスト用に、メインフレームのシステムを「Microsoft Azure」に移行することだ。John Hancockは現在、PivotalのPaaS(Platform as a Service)で社内開発したアプリケーションを管理しているが、Microsoft Azureに移行すれば管理がシンプルで安価になると考えている。
「4人掛かりの8カ月でデータベースをコンテナ化するプラットフォームが実現できなければ、うまくいかないだろう」。John Hancockでシステムディレクターを務めるクルト・シュトラウベ氏はこう語る。Robin SystemsのHCIによる手法は、ネットワーキングおよびストレージと、コンテナおよびコンピューティングを組み合わせる。これによって使いやすさと低コストを確保した、レガシーアプリケーションに利用するデータベースのコンテナ化が短期間で実現できる可能性がある。
コンテナの配置に焦点を当てたTurbonomic
Robin Systemsの手法は、OpenShiftやコンテナ管理サービス「Pivotal Container
Service」(PKS)、MesosphereのDC/OSといったPaaSベンダーの製品に真っ向から挑むものだ。これに対してTurbonomicの製品は、「Amazon Elastic Container Service for Kubernetes」(Amazon EKS)、「Azure Kubernetes Service」(AKS)、「Google Kubernetes Engine」(GKE)、PKSといったKubernetes用のツールを補う機能がある。
Turbonomicのツールは、さまざまなサービスに配置されたコンテナを最適化する。市場の潜在的なニーズに応えており、実績があるKubernetes用の各種ツールと直接的に競争関係に陥ることはない。
「Kubernetesのクラスタを管理する機能を提供するPaaSベンダーは複数ある。だが、各コンテナに対して適正にリソースを割り振るようにクラスタ上のコンテナ数を最適化する方法を提供しているベンダーはない」(ゴバーカー氏)
Cloud Foundry Foundationの「Open Service Broker API」のように、複数のクラウドサービスにおけるVM(仮想マシン)の配置を管理するツールは少なくない。ただし、ゴバーカー氏は「そのようなツールは、パフォーマンス最適化の点で特に優れた効果を発揮するわけではない」と語る。
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