「Office 365×仮想デスクトップ」の操作性を改善
「Windows Virtual Desktop」導入が加速? Office 365連携技術をMicrosoftが買収
MicrosoftがFSLogixの買収を発表した。これは仮想デスクトップ環境における「Office 365」の操作性やパフォーマンスを改善する糸口になる。「Windows Virtual Desktop」の改善はすぐにみられるだろう。
Microsoftによるソフトウェア会社FSLogixの買収で、DaaS(Desktop as a Service)である「Windows Virtual Desktop」の導入を検討する企業が増える可能性がある。
FSLogixは、アプリケーションのプロビジョニングとパフォーマンス管理を手掛ける会社だ。Microsoftがこの会社を買収したのは、仮想デスクトップ環境における「Office 365」のユーザーエクスペリエンス向上を図ることが大きな狙いだ。この買収で、「Amazon WorkSpaces」のようなDaaS製品に対するWindows Virtual Desktopの競争力が高まれば、DaaSとしてWindows Virtual Desktopを導入する企業が増えるだろう。
「WindowsとOffice 365におけるユーザーエクスペリエンスとパフォーマンスの、予測可能性を高める卓抜した技術を有する会社――これがMicrosoftのFSLogixに対する認識だ」。Enterprise Strategy Groupのアナリスト、マーク・ボウカー氏はこう解説する。
Microsoftが狙うOffice 365のユーザーエクスペリエンス向上とは
Microsoftは、2018年9月のカンファレンス「Microsoft Ignite 2018」で、「Microsoft Azure」で動作するDaaS、Windows Virtual Desktopを発表した。Windows Virtual Desktopは、Windows 10の仮想デスクトップをMicrosoft Azure上で運用できる。Microsoftによれば、FSLogixの技術は、Windowsの仮想デスクトップを「Office 365 ProPlus」で動作させる際、特に「Microsoft Outlook」とファイル共有サービス「Microsoft OneDrive」のユーザープロファイルを読み込む時間の高速化に役立つという。
「Office 365におけるユーザープロファイルの読み込み速度は、仮想デスクトップインフラ(VDI)と仮想アプリケーションのユーザー、管理者にとっては長くいら立ちの原因になっていた。FSLogixの技術は、このユーザーエクスペリエンスの課題を解決する可能性を持つ。MicrosoftがWindows Virtual Desktopを成功させるには、このユーザーエクスペリエンスの問題は解決しなければならない点だった」。調査会社The Virtualization Practiceのクラウドアーキテクト、ジョー・ハーダー氏はこう語る。
顧客の一部は、今回の買収がWindowsとオンプレミス型である「Microsoft Office」のパフォーマンス向上につながることを望んでいるが、これはFSLogixの買収でMicrosoftが狙う点ではない。
「今回の買収でMicrosoftが照準を定めているのは、同社のクラウドサービスにFSLogixの技術を導入する点だ。すなわちOffice 365のユーザーエクスペリエンスを向上させることだ」と、ボウカー氏は見る。
仮想デスクトップ環境におけるOffice 365のパフォーマンス
FSLogixの主力ツール「FSLogix Apps」は、IT担当者がアプリケーションのユーザーアカウントを生成し、管理する作業を簡素化する多様な機能を持つ。その機能の一つである「FSLogix Profile Containers」は、ユーザープロファイルを個別に切り出してコンテナに保存できる。これによりIT担当者はユーザープロファイルを個別に管理できるため、ユーザーへのリソース割り当てを最適化できる。「Office 365 Containers」では、同様の機能をOffice 365のユーザープロファイルに適用できる。また「FSLogix Cloud Cache Technology」を使えば、ユーザープロファイルを保存したコンテナを、オンプレミスまたはクラウドに配置できる。
MicrosoftによるFSLogixの買収は、Office 365のパフォーマンスを改善する助けになると指摘する専門家もいる。
「Office 365が機能する仕組みが原因で、エンドユーザーが抱える問題は日を追うごとに大きくなる」。CitrixとMicrosoftの技術に関して解説したり、研修で講師を務めたりしているトロンド・エイリク・ハーバースタイン氏はこう語る。「最終的にMicrosoftがFSLogixを買収する気になったのは、FSLogix Cloud Cache Technologyを、Windows Virtual Desktopのパフォーマンス改善に生かせるためだ」
ボウカー氏によれば、Office 365の顧客は接続が悪くなったり読み込みが遅くなったりする問題にしばしば見舞われているという。
「Office 365の導入を検討している企業が、接続や読み込み速度に関する問題に直面すれば、それが理由となりOffice 365の導入を見送る可能性がある。代わりにGoogleの「G Suite」のような同様のサービスを詳しく調べてみようと思うだろう」
こうした問題を抱えるOffice 365を、仮想デスクトップ環境で利用する際はさらに問題が大きくなる。例えばOutlookの受信トレイ検索では、クライアントが検索インデックスを各デバイスに保存している。これが問題の原因になる。ユーザーが別のデバイスから仮想デスクトップにログインする場合、検索インデックスも変わってしまう。同様にキャッシュが原因になる問題も起こり得る。
仮想デスクトップ環境でOffice 365を利用する際のこうした問題を解消するために、顧客はサードパーティー製のツール導入を検討することもある。だが保険会社Die Mobiliarのシステムエンジニア、サッシャ・トーメット氏によれば、その場合はコストがかかる上、運用、管理の複雑さが課題になる。
「サードパーティー製のツールなしでOffice 365を導入した結果、ユーザーエクスペリエンスの悪さを経験している顧客は少なくないと考えられる。特に仮想デスクトップの環境ではその可能性が高まる」。トーメット氏はこう指摘する。
「クラウドで運用するアプリケーションは一般的に不安定になりやすい。クラウドで運用するアプリケーションのパフォーマンス向上は、IT担当者に歓迎されるだろう」と、ボウカー氏は予想する。
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