ITILは「終わっていない」
ITIL第一人者に聞く 「ITIL 4に期待できるもの」とは何か(2/3 ページ)
変化を伝える
ITIL 4は、ビジネスをより良くするために何をするのか
ラトクリフ氏:例えば工場で働いていて、製造ラインの仕組みを変えたいとする。その場合、新たな働き方や、その仕組みを成功に導くためにそれぞれが果たす役割を理解させる必要がある。一方的に「そのやり方をやめて、こちらのやり方で始めろ」というだけでは駄目だ。
学者や組織的変化を効果的に進めている先端企業はこれを理解している。だが、平均的なIT担当者はこの種の状況に関する知見がない。
IT担当者は「優れたプロセスが手元にあるので、これをやるだけ」と考える。IT担当者自身は確信があるのかもしれないが、変化は多くの人々に影響する。変化が緊急を要する理由、変化するメリット、変化が人々に求めること、その変化を継続的に改善する方法を十分説明していない。ITIL 4が担うのはまさにこの点だ。運用でのプロセス変更を説明するだけでは不十分だった部分を補っている。
ITの「リーダー」を特定
IT部門で助言の対象になるのは誰か
ラトクリフ氏:まずは戦略家、つまりリーダーを特定することだ。その人物は、CIO(最高情報責任者)を筆頭に、権限のある地位の人物や物事の改善を担う立場の人物になるだろう。以前、管理と指導の違いについて話したことがある。管理とは、やらなければならないことをしっかりと理解し、短期間で定着させることだ。指導とは、物事をどのように改善できるかを考えさせることだ。
では、リーダーシップと改善の主導方法について、ITILではどのように扱われているだろう。それは、一人の人物、つまりCIOを探すだけではない。上級職や権限のある地位に就き、変化を担う人物は、組織的変化が何を意味するかを隅々まで理解する必要がある。つまり「人々を理解し、文化を理解する」。ITIL 4が扱うようになったことはそういったことだ。そのためトレーニングやコンサルティングを提供する企業だけでなく、業界全体にとってITIL 4のリリースは良い機会になるだろう。
初期のITILでは「ビジネスための効果的なプラクティス」を使う、改善するという進め方をしていた。全体のプロセスを見てはいたが、個別にプロセスを考えることはしなかった。価値を上げるという点でビジネスにどのように影響するのか、成功につなげるにはどのように取り組めばよいかは考えなかった。この取り組みを実現するためには、変化の影響を受ける全ての人々に新たな方法がどのように価値を提供することになるかを理解させる必要がある。
ITIL 4は単に表面的な部分をいじくりまわすだけではない。仕事のこうした部分をより効果的な方法で進化、改善しながら進めていけるように、物事の全体をカバーする。
ITIL更新の受け入れ状況
ITIL 4がどのように受け入れられていくか
ラトクリフ氏:既に幾つかフィードバックを得ている。だが、これは全て最高機密なので、詳しく説明するのは難しい。Axelosから委託を受けて、最初のトレーニング講座を提供した。この講座は完成し、ITSMの「Fusion 2018」カンファレンスで特別に招待したITIL実践企業のグループに提供した。受け取ったフィードバックは際立っていた。38人中36人は、ITIL 4が採用し、ITILの方向性に好印象を抱いていた。
Pink Elephantのバイスプレジデントを務めるトライ・デュムラン氏は、トレーナーのトレーニングに携わっている。同氏は考えていることが一つある。それは、実践企業のトレーニングを担当するトレーナーに、前バージョンのITILがあまり触れていなかったことを改めて認識させることだ。ITが価値をもたらす方法やその価値の実際の意味を人々に理解してもらうことに多くの時間を費やす必要がある。システムについて考えることをやめ、ビジネスについて考える時間を増やすことを理解してもらう。
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