ITILは「終わっていない」
ITIL第一人者に聞く 「ITIL 4に期待できるもの」とは何か(3/3 ページ)
ITの価値の定義
「ITの価値」はどう定義するのか
ラトクリフ氏:とても扱いにくい課題だ。プロジェクトごとにじっくりと考える必要があるだろう。ITの価値とはIT部門の壁に「これが価値を意味するものだ」と図にして貼り出すようなものではない。価値は、サービスやアプリケーションによって異なる。提供先の顧客グループによっても変わる。また、価値を定量化する方法によっても異なってくる。価値を定量化する方法の一般的な説明や定義を用意することはできるかもしれない。だが、価値を文章にすることはできない。価値とは空気のようなものだ。そこにあることは分かるが、それを実際に目で見る方法は分からない。
ITの価値が状況に応じて変わることが重要なのか
ラトクリフ氏:価値を文章にすることはできないが、細かい開発に取り掛かる前に、顧客と話し合わなければならない。顧客にとって最も有益なことは何かを話し合う。話し合った結果をアジャイルの発想で都度確認しながら繰り返し実行する。進める中でそれ以上の価値を提供しなくなったら取りやめることを話し合う。
そのため、アジャイルの手法についても取り上げているし、リーン思考についても取り上げている。リーン思考は、余分なものを外し、無駄のない進め方をするための考え方だ。開発者やIT担当者が、ビジネスに対して実施していることについて「コスト効果が高く価値のあること」なのかを確認するのに役立つ。
だが、ITでは変化が激しいため、こうした判断は難しくなる。ある顧客グループは、サービスやアプリケーションのある面に価値を見いだし、別のグループは別の面に価値を見いだすかもしれない。それは、それまでの顧客の経験や知識のレベルや、サービスの使い方に左右される。
ITの価値やその価値が組織的な変化にどのように関係するかを判断するには、IT部門の担当者間の優れたコラボレーションが必要になる。DevOpsを実現する、と言い換えてもいい。何か違うことをするたびに価値に関する議論が必要になる。こうした話題を解決するために、ビジネス部門の担当者や他のサプライヤーとの適切な関係管理も必要になる。
そのため、優れたコミュニケーション、コラボレーション、協力の姿勢が必要になる。つまり、顧客の声が重要なツールになることを理解することが重要だ。そうすれば、価値がある行動を確認できる。勝手な推測や、思い込みによる暴走もなくなるだろう。
「ITILは終わった」という批評家に反論はあるか
ラトクリフ氏:それが公正なコメントかどうかは分からない。ITILはもう必要ないと発言すれば簡単に注意を引くことができると考える人がいるのだと思う。ITILが最新の開発作業を取り入れずに放置されているのではないだろうか。
だから、そういう人には私はこう言うだろう。「恐らくITILに求めることは既に利用しており、これ以上注意すべきことはないと言っているのだろう。だが、ITILは意識の奥底に深くとどまっているはずだ」
人々は新たなITIL導入についてはそれほど注意を払わないのかもしれない。それは、ITILに目を向けたとき、次のように考えるためだ。「DevOpsはどこに表現されているだろう。現在提供されているアプリケーションやサービスの種類についてはどこで取り上げられているだろう」。これは20年前の古きメインフレームの世界によく似ているように思える。当時の人々の大半はメインフレームで仕事をしていた。だから、人々がメインフレームにはもう価値がないと言うことについては容易に想像できる。
だが、それが事実だとは思わない。ITIL 4は、アジャイル、DevOps、ITガバナンスとリーダーシップ、戦略などをまとめて具体化することから、他のフレームワークや技法を使用するのに役立つだろう。「ITサービスの品質を提供するための前提条件を念頭において、こうした技術を全てまとめ、活用できるようにしよう」と私は伝えたい。
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