EYの最高変革責任者が語る
企業が実践すべき、デジタルトランスフォーメーションを推進するための3つのヒント
デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するには、ITインフラの拡充だけでは不十分だ。企業がDXを推進するための3つのヒントを、Ernst & Young(EY)のグローバル最高変革責任者が提案する。
大手レガシー企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)計画を進めるには、ほぼ確実に新しいITインフラが必要になる。しかしErnst & Young(EY)でグローバル最高変革責任者(CIO)を務めるジェフ・ウォン氏によれば、DXを成功させるには、ITインフラとテクノロジーだけでは不十分だという。DX計画の成功は、デジタルエコシステムを構築することと、その育成に適した人材を見つけることにかかっている。
この3部構成のインタビューシリーズの前編「会計事務所が最新テクノロジー戦略に10億ドル投資する理由」では、ウォン氏がEYのテクノロジーに投資する理由と、同社が実施している、テクノロジーを利用して大規模企業に問題解決方法を提供するビジネスについて語った。中編「テクノロジーに10億ドル投資する会計事務所 STEM人材をどう採用し育成するか」では、EYがDXのために、採用活動から従業員教育まで、人事戦略をどのように変えたかを聞いた。
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デジタルトランスフォーメーションを進める
IT部門が担う役割
後編の本稿では、ウォン氏がEYでの経験を生かして、DXに向けた計画を構築するための3つのステップを提案する。同氏は、経営幹部がDXへの道筋を最初から完全に把握する必要はないと考えている。ただしデジタル戦略が明確になったら、社内の推進役と、社外の賢明なアドバイザーを見つけることが必要だという。同氏はインタビューで、DXを成功させるには、こうした「エコシステム」にもう1つ不可欠な要素があると指摘している。
編集注:このインタビューは抜粋になります。
ステップ1:着手
――DXに向けた計画の立案を担当する経営幹部にアドバイスはありますか
ジェフ・ウォン氏(以下ウォン氏) 大事なのは着手することだ。当社ではマサチューセッツ工科大学(MIT)の協力を得て、人工知能(AI)について簡単な調査をした。ビジネスリーダーに自部門でAIにどの程度取り組み始めているかを質問したところ、72%が少なくとも何らかの取り組みを始めている答え、28%が何もしていないと答えた。心配なのはその28%だ。
DXを進めるのに最も重要なことの1つが、着手することだ。AIやブロックチェーンのような新しいテクノロジーを導入する場合でも、デジタル組織になろうとする基礎的な事柄を進めるときでもそれは変わらない。まずは始めることが大切だ。計画が不完全でも、全手順を正確に把握していなくても、歩き始めることが重要だ。歩きながら考えればよい。
ステップ2:社内外のエコシステムを築く
ウォン氏 エコシステムを築くこと、これは今の時代には特に重要なステップだ。課題とその解決策となり得る要素を把握するため、社内にエコシステムを構築する。変革の過程を盛り上げ、加速するためのエコシステムを立ち上げる。重要なのは、変革や異なる取り組み方を推進する、文化的な機運を育てることだ。社外にもエコシステムを構築する。世界ではどれほどの勢いで物事が変化しているかを知るには、社外にもエコシステムが必要だ。テクノロジーの点だけでなく、顧客の期待という点からも変化を把握するためだ。
私は、規制機関、その他の政府関係者、学者、他の大企業のR&D(研究開発)チームと話をする。オックスフォード大学のスタートアップ支援施設Oxford Foundryの諮問会議メンバーでもあり、大学の講義にも時間を費やしている。EYでは、こうしたことをあらゆるレベルでグローバルに行うことで、堅固なエコシステムを構築している。変化を推進するには社内外のエコシステムが重要になる。
ステップ3:多様性をデジタル変革計画の基礎にする
ウォン氏 3つ目は、多様な見方を促すことだ。これは3つのステップの中でも極めて重要だと考えている。変革について考えるときは、チームに多様性を持ち込むようにする。多様性はチームに新たな意見をもたらす。
昔ながらのやり方にこだわっていると、顧客やクライアントに代わって難しい課題の答えを見つける際に、最適な答えを導き出す可能性が低くなる。適切な答えや最善の答えは、さまざまな点から熟慮することで導かれる。つまり多様性を進めることが極めて重要だ。そのため当社のチームは意図的に多様な編成にしている。物理学者、天体物理学者、暗号作成者、トポロジスト、プロジェクトマネジャー、設計者、開発者をチームに加えている。監査業務に30年携わっている人材や、税務に30年携わっている人材もいる。当社の各サービス系列が連携するのは、競争上の優位性や強みをもたらす多様な視点を得るためだ。多様な視点は、こうした進化の過程で失う恐れのある、極めて重要なものだと考える。
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