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シンクライアントを導入すべき? 業界別にみるメリットとデメリット
シンクライアントがあれば、幅広い組織や業界が恩恵を受けられる可能性がある。シンクライアントのメリットとデメリット、そして業界ごとの理想的な用途について解説する。
従業員が仕事をこなすための端末として、PCは必ずしも最も安価で安全なツールとは限らない。もう1つの選択肢であるシンクライアントは、さまざまな業界の企業に大きな恩恵をもたらし得る。ただしシンクライアントは本質的なデメリットも伴う。
シンクライアントハードウェアは、パワフルなターミナルサーバにネットワークで接続されたベーシックなコンピュータのことで、ユーザーは普通のPCと同じようにシンクライアントを使用できる。ただ、ファイルとアプリケーションは全てサーバに保存される仕組みだ。
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モバイルデバイスをシンクライアント端末にする
シンクライアントのメリット
シンクライアントはそれほど高性能のハードウェアを必要としないことから、PCに比べてコストは抑えられる。一般的には比較的古いプロセッサと最低限のメモリが搭載され、HDDは搭載していないものもある、このベーシックなハードウェアは、PCのハードウェアより何年も長持ちする傾向がある。
もちろん、シンクライアントの種類によってコストには幅がある。小型のPCに似たデスクトップバージョンもあれば、工場での利用を想定した大型のタブレットのようなマシンもある。ノート型のシンクライアントも、特に「Google Chromebooks」のようなマシンは人気が高い。そうしたモバイル端末は強力なプロセッサを必要としないことから、電力消費も少なく、従って一般的なノートPCに比べてバッテリー持続時間も長い。
大規模単位で導入すれば、電力を削減できるメリットもある。一般的なPCの消費電力は最大で250ワット、ワークステーションではさらに大きい。これに対してシンクライアントは20~40ワットしか消費しないこともある。ユーザーが増えるほど、削減できる電力量は増える。
シンクライアントハードウェアではファイルが内蔵のHDDではなくサーバに保存されるため、本質的にセキュリティ面での安全性が高い。たとえシンクライアントが紛失したり盗まれたりした場合でも、ファイルはそこには保存されていない。加えて、それぞれのファイルにアクセスした人物は簡単に特定でき、誰がファイルを開いたり手を加えたりしたのかの特定も容易にできる。
真のシンクライアントでは、ベーシックなOS以外のソフトウェアは全てサーバに保存される。つまり、IT部門はそれぞれのクライアントコンピュータに手を加えることなく、ソフトウェアの新バージョンを手早く簡単にインストールできる。
課題
かつてのシンクライアントは一部のUSB周辺機器に問題があった。これはキーボードやマウスといったベーシックな周辺機器ではなく、スキャナーや外付けHDD、スマートフォンなどの問題だった。
しかしここ数年で、Citrix SystemsやDellなどシンクライアントソフトウェアを手掛ける企業は、USBアクセサリーへの対応強化に力を入れてきた。IT部門にとっては、この分野でユーザーのニーズに合ったクライアント/サーバ用のソフトウェアを選ぶことが重要になる。加えて、ハードウェアは十分な数のポートを搭載していなければならない。
帯域幅とネットワーキング速度も問題になる。シンクライアントは全ての動作においてサーバへのアクセスを必要とすることから、速度は重要だ。理想としては1000BASE-Tを検討すべきだが、組織によっては100BASE-Tで済む場合もある。一方で、10Gbpsを必要とする組織もある。数十台、あるいは数百台のクライアントが全て同じネットワークを使った場合、この問題は増幅される。従って、企業は安定したネットワークを用意して、シンクライアントによって引き起こされる速度の低下を防がなければならない。
モバイル性は独自の複雑性を呼び込む。クライアントは4G LTE、またはWi-Fiに接続できる職場を必要とする。実世界でLTEに期待できるのは45Mbps程度で、理想的なイーサネットの速度を大幅に下回る。IEEE 802.11acは実世界環境で200Mbpsを実現するが、場所によってはWi-FiとLTEの両方に悪影響を及ぼす。ユーザーがLTEに依存しなければならない場合、シンクライアントは慎重に選ばなければならない。それでも、多数のコンピュータが狭い場所にひしめき、全てがWi-Fiに接続する場合、入念なネットワーク計画を必要とする。そうした状況ではイーサネットの方が望ましい場合もある。
もう1つ避けなければならないのは、必要なクライアントソフトウェアが利用できないシンクライアントハードウェアを選ぶことだ。クライアントソフトウェアでは一般的に、それほど高性能のハードウェア条件は求められないものの、無視することはできない。問題を防ぐため、バイヤーはまずソフトウェアを選んだ後に、ハードウェアを選ぶ必要がある。
多くの組織では、従業員に「Microsoft Office」などの業務用ツールを使わせる必要がある。シンクライアントとサーバでこれにアクセスすることは可能だが、従業員が使う全てのアプリケーションについて、ライセンスを取得する必要がある。
シンクライアントがそれほど高性能のハードウェアを必要としないのは、全てをサーバに負担させていることによる。従って、そうしたサーバにとってはその負荷に耐えられることが必須となる。サーバの処理能力が不足すれば、全員に問題が発生する。従ってバイヤーは、自分たちの組織でどの程度の処理能力が求められるのかを慎重に見極めなければならない。
シンクライアントの用途
シンクライアントがあれば、幅広い組織や業界が、さまざまな方法で恩恵を受けられる。
恐らくシンクライアントの影響力が強まっていることを示す最善の実例としてChromebookは教育用コンピュータの市場で独占的な存在になった。こうした安価なノート型端末では、Webブラウザにアクセスすることしかできない。だがそのブラウザを通じてGoogleの業務用ソフトウェアにアクセスできる。全米の教室で児童や生徒がシンクライアントを使って課題をこなしており、学校区にとってそうした端末にかかる経費は、同じ台数の標準的なPCに比べるとはるかに少ない。
大手法律事務所もコスト削減や効率性を求めてシンクライアントを導入しているが、セキュリティ面での安全性は真に魅力が大きい。文書はサーバに保存され、ローカルのマシンには保存されないため、そうしたファイルにアクセスするユーザーは全てコントロールして把握できる。たとえ端末が盗まれたとしても、盗んだ相手は機密文書に一切アクセスできない。
通信会社は一般的に、本社や支社および現場で数千人の従業員を雇用している。IT部門は遠隔操作で全てのシンクライアント上のソフトウェアを一元的に管理して、アップデートをインストールできる。建物内で使われているシンクライアントだけでも十分に、電力使用を削減できることもある。
シンクライアントは粉じんの多い環境でも、一般的なPCよりも耐久性が高い。これは物流にとって大きなメリットがある。HDDも冷却ファンも搭載していない端末は、貨物輸送や倉庫での耐久年数が何年も長い。従ってバイヤーは、ユーザーが使う場所に応じて適切な設計のシンクライアントを選ぶ必要がある。
シンクライアントは農業ビジネスにとっても大きなメリットがある。農家が4G LTE経由でサーバに接続する安価で軽量なノート型端末を活用すれば、作物生産高のモデリングや、殺虫剤のカバー範囲追跡といった高度なツールを利用できる。
クライアント/サーバ方式のセキュリティの恩恵を受けられるもう1つの分野が医療・ヘルスケア業界だ。患者は自分の診療記録の秘密が保持されることを求める。そうした記録を全て中央の1カ所に保存することは、それを保証するための最善の策だ。同時に、医療従事者はシンクライアントをさまざまな方法で利用して、病室から在宅医療の現場まで幅広い場所で、適切なデータにアクセスできる。
金融サービスにとっての課題は、増え続けるデータに十分対応できるだけの処理能力をコンピュータに提供することにある。数年ごとに大量のPCをアップグレードするよりも、数台のアプリケーションサーバにそうしたアップグレードを適用すれば、そのメリットを直ちに組織内の全てのシンクライアントに拡大できる。
高価なPCには、POS端末を運用するのに必要とされる以上の処理能力が搭載されており、シンクライアントは小売業者にとって理想的といえる。さらに良いことに、一元管理できるというメリットもある。IT部門は簡単に、幅広い地域に分散した店舗を横断するサポートが提供でき、遠隔操作で新店舗をネットワークに加入させることもできる。
サービス業界のシンクライアントは、客室のスマートTVの形態を取り、客がサービスを注文したりインターネットを利用したり、チェックアウトの手続きをしたりといった用途で利用できる。大手ホテルチェーンの場合、全世界に分散するコンピュータを一元管理できるといったメリットもある。
製造業専用に設計された頑丈なシンクライアントハードウェアもある。そうした端末は従来型のPCに比べ、粉じんや極端な温度、衝撃、振動への耐久性が高い。
航空宇宙業界では、グラフィックス処理能力の高いコンピュータに頻繁にアクセスして、CADの設計図を参照・編集する必要がある。全従業員に標準的なPCと高額なGPUを支給するよりも、シンクライアントを使えばグラフィックスアプリケーションをサーバで実行できるメリットがある。
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