一番危険なユーザーからシステムを守る最善策
シンクライアント端末で築く“セキュリティ最終防衛ライン”
軍事作戦でもITセキュリティ対策でも最も危ういのは“人”が関与する部分だ。どんなに強固な城壁を築いても高度な仕組みを導入しても使うユーザーに悪意があれば無意味だ。その弱点を守る有効な戦術とは。
シンクライアントは仮想デスクトップインフラ(VDI)を運用する組織において、ユーザーが直接操作する端末(最近では“エンドポイント”と呼ぶことも多くなった)として役に立つ。それは、ユーザーの操作に起因するセキュリティリスクに対する“防衛ライン”が加わるからだ。
セキュリティの観点から考えると、シンクライアントやゼロクライアント端末をデスクトップ仮想化のために使うことは、主にエンドユーザーがエンドポイントOSに直接的にアクセスできないというメリットがある。
エンドユーザーとネットワークエンドポイントは、従来のクライアント/サーバ型コンピューティングのセキュリティ対策において最も弱いところだった。
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シンクライアント、ゼロクライアントの特徴と動向を復習する
エンドユーザーが無許可のソフトウェアや感染の可能性があるソフトウェアを自分のデスクトップPCにインストールしたり、システムファイルを削除したり、取り扱いに注意しなければならないデータをリムーバブルストレージデバイスにコピーしたり、悪質なWebサイトにだまされる被害に遭ったり、というケースに対して、多くのセキュリティ関係者は実際に対応した経験があるか、少なくとも対応した知り合いの話を聞いたことがある。シンクライアント端末やゼロクライアント端末を使うことで、このような問題はうまくすれば解消するか、少なくとも大幅に減るのが一般的だ。
シンクライアント端末は、ストレージ容量と演算処理能力を制限し、データセンターのサーバにネットワークで接続して機能するエンドポイント端末だ。ゼロクライアント端末はさらに1歩先を行き、ローカルにストレージデバイスを搭載しない。一般的なシンクライアント端末やゼロクライアント端末では、ユーザーがデスクトップOSにローカルアクセスできず、リムーバブルメディアからソフトウェアをインストールしたり、取り扱い注意のデータをリムーバブルメディアにコピーしたりすることもできない。シンクライアント端末もゼロクライアント端末も本体搭載インタフェースとしてUSBや光学ドライブを用意しないものも多く、その場合はリムーバブルメディアも使用できない。シンクライアント端末は一般的に改ざんにも強く、マルウェアに感染する確率も極めて低い。
とはいえ、「Dell Wyse」を出荷している米Dellなどのシンクライアント端末ベンダーは、「ウイルスとは無縁」とアピールしているものの、シンクライアント端末を使えばマルウェア感染のリスクを完全になくすことができるとは限らない。例えば、ユーザーが有害なWebサイトを閲覧すれば、感染する可能性はある。ただ、感染した影響を受けるのはシンクライアント端末そのものではなく仮想デスクトップOSだ。シンクライアント端末が有害なWebサイトと直接的に接触することはなく、従ってシンクライアント端末は感染の危険にさらされない。
もちろん、シンクライアント端末やゼロクライアント端末をデスクトップPCと比較するとデメリットもある。だがその中にセキュリティ問題は含まれない。それ故に、セキュリティを重視するケースにおいて、そのデメリットは致命的な問題とはならないだろう。
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