HTML5対応のWebブラウザを活用
Chrome、IEの中でExcelが動く? VDIシンクライアントの可能性とは
HTML5対応のWebブラウザをVDIのシンクライアントとして使う場合、どのようなメリットとデメリットがあるのだろうか。
出来が良くシンプルで普遍的。しかも管理にそれほど手間が掛からないシンクライアントはどんな仮想デスクトップインフラ(VDI)を運用する組織にも歓迎される。HTML5はそうした条件を満たすのに最も近い存在かもしれない。
HTML5対応のWebブラウザは有望なVDIクライアントであり、多様な端末に存在している。幾つかの機能を加えれば、そうしたWebブラウザは仮想デスクトップを運用するための素晴らしいクライアントになり得る。
現代のほとんどのVDI製品では、HTML5対応のWebブラウザをクライアントとして利用できる。どんなHTML5対応のWebブラウザでも、HTML5の標準機能である通信規格「WebSocket」や任意のグラフィックスを描画できる「Canvas」を使ってシンクライアントとして機能させることができる。HTML5対応のWebブラウザをクライアントとして利用する場合の主な利点は、かつてのブラウザクライアントと違って、コンピュータに拡張機能やプラグインをダウンロードする必要がないことだ。必要なものは全て、HTML5対応のWebブラウザに組み込まれている。
HTML5対応のWebブラウザを使った仮想デスクトップは、WebブラウザとURLさえあれば簡単に導入できる。ユーザーが新しいタブを開いてログオン用のURLを入力すれば、10秒足らずでクライアントPCから仮想デスクトップにアクセスできる。分かりやすい使用事例には、公衆の場に設置されているインターネット接続のための端末である「インターネットキオスク」や、従業員の私物端末をVDIクライアントとして使うケースが挙げられる。
どこにでも存在するHTML5対応のWebブラウザ
ではHTML5対応のWebブラウザはどのような端末に搭載されているだろうか。まず、デスクトップPCやノートPC用では複数の選択肢がある。下記のWebブラウザはHTML5をサポートしている。
- 米Googleの「Google Chrome」
- 米Microsoftの「Internet Explorer」
- 米Appleの「Safari」
- 米Mozilla Foundationsの「Mozilla Firefox」
モバイル端末もChromeやSafariなどでHTML5に対応している。他にもGoogleの「Chrome OS」を導入したノートPC「Chromebook」やデスクトップPC「Chromebox」といった端末でも利用できる。もしAppleがBluetoothマウスのサポートを追加すれば「Apple TV」でもHTML5を介してシンクライアントの役割を果たせるようになる。
HTML5対応のWebブラウザ搭載の端末は非常に安価で、低価格のシンクライアントにも匹敵する。安いシンクライアントは安く導入できるだけあって、管理ツールの出来が悪く、IT管理者が大量のバグや頻繁な更新に対応しなければならないことがある。私が最近手掛けたシンクライアント機能のアップデートでは、ユーザーが作業しようとしている間に突然クライアントがクラッシュすることがあった。
シンクライアントではそうした問題のため結果的に、長期的なコストがかさみかねない。Chromeboxのようにシンプルな端末は、低価格シンクライアントの優れた代替になり得る。
HTML5クライアントの難点
Webブラウザは完璧なVDIクライアントではない。あらゆる機能強化を施したVDIベンダーのディスプレイプロトコルは使っておらず、最高のグラフィックス性能も発揮できない。最適化されたディスプレイプロトコルがないために、HTML5を介したアクセスでは専用クライアントに比べて多くの帯域幅を必要とする。もちろん、広域ネットワークやモバイル網の普及は助けになる。
ずっと昔、私は無線通信方式「GSM」対応の携帯電話を使って9600bpsで米Citrix Systemsのサーバデスクトップにアクセスしていた。今では世界中のほぼどこの都市でも自分のスマートフォンで数Mbpsのスループットを安定して利用できる。モバイルユーザーにとっても自宅で仕事をするユーザーにとっても、現在は帯域幅が豊富で値段も安い。
HTML5を介したシンクライアントでは、他のVDIクライアントに含まれるようなデバイスリダイレクト機能も提供されていない。現在のHTML5には、USBデバイスをリダイレクトするためのフレームワークが存在しない。VDIを運用する組織を除き、Webサイトから直接USBデバイスへのアクセスを必要とするユーザーは存在しない。
一方で、もし必要とするのがファイル転送のみであれば、ほとんどのHTML5対応のWebブラウザはVDI製品からのサポートによって、これに対応している。
WebブラウザはどんなVDI製品にとっても理想的というわけではない。特にセキュリティやコンプライアンスに重点を置く環境にはそれがいえる。だが最近のブラウザ技術の進歩と帯域幅の可用性向上に伴い、デスクトップ仮想化環境でHTML5対応のWebブラウザの利用が優れた選択肢になる場面は数多くある。いろいろなシンクライアントの種類があるが、Webブラウザベースのオプションは私物端末の業務利用(BYOD)や会社支給の端末、個人的に利用するモバイル端末にとって優れた1つ選択肢になる。
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