DaaS vs. VDI
VDIよりクラウド型仮想デスクトップ「DaaS」がオススメな理由
DaaSと呼ばれるクラウド型仮想デスクトップが、VDI(仮想デスクトップインフラ)よりも優れている点は何だろうか。また、サーバのクラウド化を敬遠する筆者だが、DaaSならば大いに導入すべきだという理由とは?
オンプレミス(社内設置型)VDI環境の構築と比べたクラウド型仮想デスクトップホスティングのメリットは、パブリッククラウドについて一般に懸念されている点を補って余りあると思われる。
クラウドサービスは、負担が大きいデータセンターインフラ管理(厄介なシステム運用、パッチ管理、アップグレード、新しい機器の購入など)を回避する方法を企業に提供する。しかし、IT担当者がパブリッククラウドサービスを敬遠する理由も幾つかある。具体的には以下の通りだ。
パブリッククラウドを敬遠する理由
1.大規模障害によるアクセス遮断
米Amazon.comのクラウドサービス「Amazon Web Services」(AWS)で2011年4月にトラブルが発生した際のように、クラウドサービスの障害により、顧客が自社のデータに何日もアクセスできなくなる恐れがある。このAmazonクラウドのトラブル時には、多くの顧客が痛い目に遭った。SLA(サービスレベル保証)が提供されていても、クラウドサービスでいったん障害が発生すれば、多くの顧客が損害を被る可能性があることに変わりはない。特に、顧客が1社のクラウドサービスに全面的に依存し、適切な障害対策を講じていなければ、甚大な損害を受けかねない。
2.機密データの管理
ミッションクリティカルなアプリケーションをクラウドに置くことは、会うこともできない管理者に、会社の機密データへのアクセスを許可し、その管理を任せることを意味する。
3.煩雑なフォーマット変換
クラウドにアプリケーションを移行したくても、単にそのまま移せばよいわけではない。あらかじめ特定のフォーマットにしておかなければならない。また、逆に、クラウドに移行したアプリケーションをデータセンターに戻したくなったら、どうなるのか。クラウドから別の環境に移行するのは、クラウドに移行するよりも高くつく可能性があるという指摘もある。
パブリッククラウドにはこうした懸念点があるが、クラウドがひときわ威力を発揮するサービスが1つある。それがDaaS(Desktop as a Service)だ。クラウドベースの仮想デスクトップを提供するこのサービスでは、VDI(仮想デスクトップインフラ)と比べてコストが低く、複雑さが少ない。
デスクトップをクラウドに置くことは、サーバホスティングよりも容易だ。例えば、サーバはストレージその他のデータおよびアプリケーションソースと結び付いており、移動や再構成が難しい。だが、デスクトップにはそうした問題はない。
また、エンドユーザーは、自宅や宿泊先、コーヒーショップ、空港などで、ノートPCなどのモバイル端末のデスクトップにアクセスするが、それらの管理やセキュリティ確保は難しい。しかし、デスクトップをクラウドに置けば、ITスタッフが十分に管理できる。エンドユーザーがノートPCなどを紛失したり盗まれても、そのユーザーの仮想デスクトップを削除すれば、泥棒は何も手に入れられない(このことはVDIにも当てはまる)。
さらに、ユーザーのノートPCが故障した場合、データをリストアするまでユーザーは仕事にならない。だが、クラウドベースのデスクトップ(やVDI)では、リストアが非常に迅速に行える。
このように、VDIとクラウド型仮想デスクトップが、同様のメリットを提供することは明らかだ。以下では、DaaSについて掘り下げ、サーバホステッドVDIに対するDaaSの利点を見てみよう。
Daas vs. VDI
VDIソフトウェアはIT部門に、自社のデータセンターでデスクトップイメージをホストし、それらをネットワーク経由でリモートエンドユーザーに配信する方法を提供する。このソフトウェアの目的は、ソフトウェアのプロビジョニング、更新、パッチ管理、制御、およびコンピューティングリソースの提供を、集中管理・制御することにある。
DaaSは最新のバズワードであるため、多くのベンダーが、自社の製品はDaaSである、あるいはDaaSを実現するとうたっている。では、DaaSとは何か。VDIとどう違うのか(関連記事:VDIの前に立ちはだかるクラウドベースのアプリとDaaS)。
「DaaS」と「Desktop as a Service」という言葉は、実は米Desktoneが著作権を持っている。Desktoneは、2008年に業界初のDaaSを開発した企業だ。同社は、DaaSはVDIのメリットを全て提供し、初期インフラコストが一切掛からないと強調している。DaaSを利用する顧客は、どこでどのような端末を使っているユーザーにも、迅速にデスクトップをプロビジョニングできる。同社のサービスはデスクトップ当たり月額30ドルからとなっている。
DaaSのデスクトップはリモートデータセンターで稼働するが、プライベートネットワーク接続を介して利用企業のIT環境に接続される。デスクトップへのアクセスは、既存のActive Directoryに基づいて行われる。
私は、パブリッククラウドによるデータセンターサービスをまだあまり支持していないが、デスクトップのクラウド化は大いに理にかなっていると考えている。
パブリッククラウドサービスには一連の懸念点があるが、DaaSに当てはまるものはいくらか少ない。AWSで2011年に発生したようなサービス障害は、クラウドベースのデスクトップにも悪影響を与えるだろう。しかし、導入展開が迅速かつ柔軟に行えるというメリットがあることや、リスクが比較的小さいことから、クラウドデスクトップはやはり非常に魅力的といえる。
学期ごとに多数のコンピュータラボの再プロビジョニングを行わなければならない大学のIT環境を考えてみよう。クラウドデスクトップは、IT担当者の側で選択可能なキャパシティーや構成のオプションがほとんど無限にあることも考え合わせると、こうした環境では、クラウドデスクトップをユーザーに提供するのが賢明な方策だ。
DaaSとは何か
DaaSは、サードパーティーのサービス業者にVDIをアウトソーシングできるサービス。通常、マルチテナントアーキテクチャが採用されており、サブスクリプション方式で販売される。
このデリバリーモデルでは、サービス業者はデータストレージ、バックアップ、セキュリティ、アップグレードを支えるバックエンドシステムを管理する。各顧客の個人データは、ログオン時に仮想デスクトップにコピーされ、ログオフ時に仮想デスクトップからコピーされる。デスクトップへのアクセスは、特定のデバイス、位置、ネットワークに依存しない。
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