導入してから後悔しないために
VDI導入を正当化するために持ち出される5つの俗説
VDIは、決して“魔法のつえ”ではない。導入してから後悔しないために、VDIを正当化するのに持ち出される5つの俗説を取り上げ、その誤りを指摘する。
多くの企業が、「VDI(仮想デスクトップインフラ)はデスクトップ管理の問題を解決する」と考え、この技術に投資しているが、この技術は決して“魔法のつえ”ではない。しかし、このことが明らかになっているにもかかわらず、いまだにIT担当者はVDIに対する過大評価に基づく根拠を掲げて、この技術への投資を正当化している。
これでは、買ってから後悔する羽目になるだろう。事前によく調べていないのかもしれないが、本当にそうなのかどうかは分からない。いずれにしても、VDIに関しては、投資を正当化するために、この技術をたたえるお決まりの説明が繰り返されている。そこで本稿では、現行のITサービス提供方式を全面的に代替するものとして、VDIのアプローチを正当化するために持ち出される5つの俗説を取り上げ、その誤りを指摘する。
俗説1:VDIこそ切り札
IT部門は、ビジネスユーザーにアプリケーションやデータを提供する環境のライトサイジングを求められている。一部のIT担当者にとっては、「VDIは、この課題を解決する唯一無二の切り札」ということになる。
だがVDIは、アプリケーションやデータをエンドユーザーに提供する方法の1つにすぎない。こうした方法の選択肢は他にもたくさんある。ローカルインストールや、各種の配信メカニズム、例えば、アプリケーションのストリーミング配信、アプリケーションの画面転送、ホスティングサーバにストリーミング配信され、その上で実行されているアプリケーションの画面転送、デスクトップセッションの画面転送などだ。これらはそれぞれ異なるユーザーエクスペリエンスを提供し、それぞれ管理モデルとコストモデルも異なる。
「VDIこそ切り札」という思い込みは、問題の立て方に起因している。IT担当者が追求すべき問題は、「ビジネス機能を実現する最良の方法は何か」であり、「われわれの課題に対処するために使える技術は何か」ではないのだ。
俗説2:アプリケーションを配信するにはVDIが必要
VDIベースのデスクトップは、アプリケーション画面転送など他の配信メカニズムと比べて、一部のアプリケーションを管理しやすい。しかし、今ではほとんどのアプリケーションが、ほとんどのデスクトップ配信モデルでかなりうまく動作する。このため、アプリケーションセットを提供する上で、VDIは必ずしも必要ではない。
必要なのは、各種のアプリケーション配信の仕組みを理解した経験豊富な技術者だ。「管理しやすい」という理由だけで他のアプローチよりもVDIを選ぶというのは、なかなか通用しない。コストの差がまだ大きいからだ。
俗説3:セキュリティの集中管理にはVDIが不可欠
データセンターにデータを集約することは、セキュリティ対策に必ず役立つ。ユーザーがデータセンター内のデータにアクセスする仕組みを作れば、オフライン時のデータ漏えいリスクが軽減される。
だが、VDIだけがこの仕組みを実現できると考えるのは間違っている。前述したさまざまなアプリケーション配信のインフラの多くは、まさにこうした集中管理を可能にする。
これらのインフラでは、画面転送の対象となるデスクトップやアプリケーションは、いずれもデータセンター内にある。ホスティングサーバやデスクトップにストリーミング配信されるアプリケーションも同様だ。これらのアプローチはいずれも、ビジネスに欠かせない安全なアプリケーションアクセスとデータアクセスを、本格的なVDI環境のオーバーヘッドなしで提供する。
俗説4:VDIによってデスクトップが不要に
「VDIがデスクトップを不要にする」というのは、VDIに関する誤解の最たるものだろう。これは全くのでたらめだ。
従来のデスクトップ提供モデルでは、各ユーザーがPCを持つ。このモデルに代えてVDIを導入しても、エンドユーザーがコンピューティングデバイスを必要とすることに変わりはない。そのデバイスはシンクライアントやゼロクライアントかもしれないし、PCである可能性もある。いずれにしても、デスクトップは引き続き使われることになる。
俗説5:VDIによってデスクトップ管理が容易に
最後に取り上げる俗説は、「VDIがデスクトップ管理を容易にする」というものだ。
VDIでは、管理者は中央の単一のイメージをベースに全てのデスクトップを作成、配信できる。これらのデスクトップクローンは、ユーザーがログアウトすると消滅し、ユーザーがログインするたびに、最新のイメージをベースに作成される。
しかし、アプリケーション配信を自動化するために、アプリケーションをパッケージ化する必要があることを考慮しなければならない。そのパッケージ化のプロセスには、時間と労力がかかる。スキルと経験も必要だ。VDIのコアイメージは、適切にパッケージ化されたアプリケーションと組み合わせることによってのみ、ユーザーの要件に応じて、デスクトップ管理を容易にする完全に自動化された方法で配信できる。
また、アプリケーションをパッケージ化すれば、任意の配信インフラで配信できる。例えば、ローカルデスクトップにストリーミング配信してローカルにインストールされるようにすることや、プレゼンテーションサーバにストリーミング配信すること、さらには、デスクトップインスタンスにジャストインタイムでストリーミング配信し、後でアプリケーションの画面転送が行われるようにすることなどが可能だ。
IT部門が抱えるデスクトップ管理の問題のポイントは、こうしたアプリケーションのパッケージ化が簡単にできることにある。
それでもわれわれは、VDIはアプリケーションとデータをユーザーに安全に提供するための強力なデスクトップ配信メカニズムだと考えている。しかし、サーバホステッドVDIは、この目的を達成するためのさまざまなアプローチの1つにすぎない。残念ながらVDIは、「牛刀をもって鶏を割く」という面がある。
従って、VDIを選択する前に、まずアプリケーションをパッケージ化するとよい。これは厄介な作業であり、嫌になるかもしれない。しかし、アプリケーションをパッケージ化すれば、自動化という点で絶大なメリットがある。すなわち、ユーザーの要件に見合った任意の方法でアプリケーションを配信できるようになる。そして、IT部門にとって根本的なビジネス課題、つまり、「どうすれば、ビジネス機能を最も効果的に実現できるか」という課題を直接解決することが可能になる。
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