コスト削減と自動化を推進する
サーバレスで「労働時間の4割がインフラのお守り」という常識が変わる
IaaSとPaaS分野で「サーバレスコンピューティング」が注目されつつある。Gartnerのアナリスト、アラン・チャンドラセカラン氏のインタビューを基に、この技術が企業にもたらすメリットを説明する。
調査会社Gartnerのアナリスト、アラン・チャンドラセカラン氏によると、IaaS(Infrastructure as a Service)とPaaS(Platform as a Service)分野のトレンドの一つが「サーバレスコンピューティング」だ。同氏が米フロリダ州オーランドで開催された年次イベント「Gartner Symposium/ITxpo 2018」で語った内容によると、サーバレスコンピューティングとは、インフラのプロビジョニング(配備)や運用、管理をユーザーから全く見えないようにする考え方だ。IaaSとPaaSの橋渡しとしても、サーバレスコンピューティングは機能するという。
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本稿は、チャンドラセカラン氏へのインタビュー内容をまとめた。同氏は、企業に対する社内開発者の影響力が高まっていることなど、サーバレスコンピューティングが関心を集める要因に加え、サーバレスコンピューティングのコスト面での潜在的メリットと、開発者の生産性/スケーラビリティ向上の可能性について語った。
―― なぜサーバレスコンピューティングへの関心が高まっているのですか。サーバレスコンピューティングのメリットとは何ですか。
チャンドラセカラン氏 サーバレスコンピューティングへの関心を高めている要因は2つあると考えている。1つ目は、企業内での開発者の影響力や勢力が高まりつつあることだ。インフラの変更を望む開発者は多くない。2つ目は、ここ5~10年でイノベーションが進み、ソフトウェアによってITインフラの構成や運用が自動化されつつあることだ。そのためIaaSやPaaSのユーザーが運用管理する必要性が少なくなってきている。
企業が実感できるサーバレスコンピューティングのメリットの一つは、開発者の生産性に関係する。Gartnerが開発者を対象に実施した多くの調査では、開発者はインフラの問題やインフラプロビジョニングの待機に労働時間の30~40%を費やしていることが明らかになった。サーバレスコンピューティングの導入によって、開発者はこうしたインフラの管理や運用に時間を費やすことなく、コードの作成に専念できる。
スケーラビリティの考え方も変わる。サーバレスコンピューティングによって、スケーラビリティはITインフラの構造から、ソフトウェアの機能やコード設計に関係する概念になる。パブリッククラウド環境にサーバレスコンピューティングを導入している場合、インフラのスケーラビリティは無限になる。このときスケーラビリティの制限になるのはITインフラの設定ではなく、アプリケーションの設計になる。
サーバレスコンピューティングはコスト削減の効果もある。サーバレスコンピューティング環境では、アプリケーションの機能を動かすコードの実行中のみ、クラウドのITインフラをプロビジョニングする。コードの実行が完了すると、プロビジョニングを自動的に解除する。つまりコードの実行に合わせて、インフラのサイズを適切に設定することになる。コードの実行が終われば、それ以上インフラリソースに課金されることはない。このことはコスト削減の点で非常に重要だ。
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