「2024年ISDNデータ通信終了とEDI移行」まる分かりガイド【第2回】
インターネットEDIへの移行は2023年までに完了しないと困る“切実な理由”(2/2 ページ)
インターネットEDIへの移行には時間がかかることに注意
INSネットのディジタル通信モードが終了して補完策に切り替わる2024年1月より前に、通信速度低下の問題が発生する可能性がある。NTT東西は2023年1月から、NTT東西以外の通信事業者の通信網からNTT東西のPSTNへの通信網を、IP網に順次移行する。そのため、NTT以外の通信回線を利用している取引先との通信は、2023年から遅延が発生する可能性があるのだ。 ただし2022年の後半あたりから動き始めれば十分間に合うわけではない。花澤氏は「インターネットEDIへの移行は想像以上に時間がかかる」と警告する。
自社のEDIシステムの刷新以上に時間がかかるのが、取引先との接続テストだ。インターネットEDIに切り替えた後も、従来通りきちんと接続できて業務プロセスを滞りなく実行できるかどうか、全ての取引先についてテストする必要があるからだ。「このテストは1日につき2~3社できれば精いっぱいでしょう」と花澤氏は見積もる。例えば100社とEDIで取引しているとしたら、テストは40~50日かかる計算になる。しかも、一度のテストだけで終わるとは限らず、何度か再テストを繰り返すことも少なくない。そのため「実際にはその2~3倍の日数がかかります」というのが、同氏の見方だ
EDIシステムの切り替えで注意すべき点は他にもある。INSネットのディジタル通信モード終了の時期が近づけば近づくほど、EDIシステムの刷新に乗り出す企業が増えるため、一時的にベンダーのEDI技術者が足りなくなることが予想される。せっかく自社で時間と予算を確保できても、ベンダーが技術者を確保できないがために、サービス終了期限に切り替えが間に合わなくなってしまう可能性があるのだ。
こうした事情を鑑みると、インターネットEDIへの移行には極力早く着手するのが無難だ。
業界団体のEDI標準化の動向を確認しよう
インターネットEDIへの移行を検討する際は、まずは自社の取引先や、自社が所属する業界におけるインターネットEDIへの対応状況を把握するところから始めよう。EDIの「端末側(受注者)」の立場にある企業は、基本的には「センター側(発注者)」が採用するEDIの仕組みに合わせる必要がある。そのため、まずはセンター側にインターネットEDIへの対応状況を問い合わせ、既に対応していれば同じ仕組みを採用する。もし今後対応を予定している状況ならば、センター側と歩調を合わせながら同じ仕組みを導入するのが基本的な進め方だ。
一方、センター側の企業は自社の裁量でインターネットEDIを導入できるものの、センターごとに異なる仕組みが乱立する状況は避けた方がよい。端末側の企業はセンターごとに異なるシステムを導入しなくてはならず、大きな負担を強いることになるためだ。このように取引先ごとに固有の回線や端末が必要になる状態を「多端末現象」と呼び、EDIの弊害として古くから問題視されてきた。そのため現在は業界団体ごとにEDIの標準規格を定めている。業界ごとに程度の違いはあるものの、その標準規格がそれぞれの業界で広く普及している。現在はインターネットEDIの実証実験やガイドライン作成といった標準化作業を、それぞれの業界団体が進めている。まずは自社が所属する業界団体にインターネットEDIの対応状況について問い合わせるところから始めるといいだろう。
参考までに、一般社団法人情報サービス産業協会(JISA)は「EDIタスクフォース」を設置し、EDIユーザーや各業界団体に対して、INSネットのディジタル通信モード終了の影響に関する情報を提供している。JISAは2018年5月にインターネットEDIへの移行に関するさまざまなドキュメントを公開した。中でも多くの業界で採用されることが予想される「全銀協標準通信プロトコル(TCP/IP手順・広域IP網)」に関するガイドラインは今後のシステム移行の助けになるだろう。
参考
固定電話網のIP網移行によるEDIへの影響と対策(一般社団法人情報サービス産業協会)
全銀協標準通信プロトコル(TCP/IP手順・広域IP網)は、インターネットを使ったセキュアなデータ交換に欠かせないデータ暗号化の方式に関して、特に規定を定めていない。そのためさまざまな暗号化方式と組み合わせて運用できるが、JISAのガイドラインは「SSL/TLS」を推奨している。「SSL/TLSは特定の製品やサービスに依存することなく、相互接続性も高いため、EDIでの利用に最も適しているとJISAは考えています」と花澤氏は説明する。固定電話回線やISDNでEDIを利用してきた企業は、これまで盗聴などのリスクをほとんど心配する必要はなかった。しかしインターネットではセキュリティ対策に気を遣う必要がある。「こうした意識の切り替えも、インターネットEDIへの移行に際して重要なポイントです」(同氏)
「2024年ISDNデータ通信終了とEDI移行」まる分かりガイドについて
2024年初頭にISDNの「ディジタル通信モード」が終了となる。「ISDNのデータ通信が終了」または「固定電話のIP網移行」といった言葉を目にした読者もいるだろう。ISDNはEDI(電子データ交換)においても通信回線として広く利用されており、自社のEDIが要件に該当していた場合は何らかの対処が必要となる。この連載は、ISDNデータ通信の終了がEDI利用にどのような影響があるか、今後の移行に当たって対策すべきポイント、新システム選定のコツなどについて解説する。
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「2024年ISDNデータ通信終了とEDI移行」まる分かりガイド
2024年初頭にISDNの「ディジタル通信モード」が終了となる。「ISDNのデータ通信が終了」または「固定電話のIP網移行」といった言葉を目にした読者もいるだろう。ISDNはEDI(電子データ交換)においても通信回線として広く利用されており、自社のEDIが要件に該当していた場合は何らかの対処が必要となる。この連載は、ISDNデータ通信の終了がEDI利用にどのような影響があるか、今後の移行に当たって対策すべきポイント、新システム選定のコツなどについて解説する。
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