「信ぜよ、だが確認せよ」
Windows 10の「May 2019 Update」以降はアップデート時期を自由に選べる
2019年5月下旬公開の「Windows 10」次期アップデートは、IT管理者によるインストールの管理機能が復活する。その重要度について、専門家が解説する。
Microsoftは「Windows 10」の次期アップデート「May 2019 Update」を2019年5月下旬に公開する見通しだ。これにはマイナーな機能アップデートの他に、そのアップデートのインストール方法に関する重大な変更が盛り込まれる。
過去のWindows 10の更新プログラムでは、Microsoftが自動的にデバイスを更新していた。この機能は同OSの最初のリリースに搭載された。Windows 10の次期アップデートでMicrosoftは、インストール管理の権限をユーザーの手に戻す。
「更新プログラムが利用可能になったことを知らせ、われわれのデータに基づいて適用が推奨されるという通知は出す。だがいつ更新を始めるかについては大部分をユーザーに委ねる」。Microsoft副社長のマイク・フォルタン氏はブログにそう記した。
May 2019 Update適用後のWindows 10である「Windows 10バージョン1903」は、当初2019年3月リリースとされていた予定がずれ込んでいる。他にも、音声アシスタント「Cortana」の検索機能と通常の検索機能(Windowsのエクスプローラーの検索機能)の切り離し、新しいライトテーマ(明るめの色を使ったユーザーインタフェース)、IT担当者のためのサンドボックス機能などが加わる予定だ。
IT管理者が権限を取り戻すことの重要性や更新に対する最善のアプローチについて、ITサービス管理会社SolarWinds Worldwideの上級ディレクター兼マネージドサービスプロバイダーエバンジェリスト、デイブ・ソーベル氏に話を聞いた。
―― 最新のWindows 10更新プログラムのインストールを遅らせると決めた場合、IT管理者が考慮すべき注意点は。
ソーベル氏 重大な懸念はセキュリティだ。次に、ソフトウェアをテストして他のソフトウェアと連携できることを確認しなければならない。医療機器を兼ねるコンピュータデバイスの場合は、たとえ基本的な変更であっても一定の水準でテストして、医療サービスを提供する能力に支障が出ないことを確認する必要がある。
配信直後の数日は常に、パッチに関連したブルースクリーンのような重大な問題が話題になるが、そうした問題はいずれ解消される。私は、そうした再起動がいつ起きるかのスケジュール調整や、ベーシックな変更管理のスケジュール調整、そしてその予定をコントロールできることについて考えている。Microsoftがこうした管理権限を、潜在的に必要とするユーザーに委ねたのは喜ばしい。
パッチ管理はシステムの安全を守ることを目的とした、セキュリティに対する多層型アプローチの一環だ。圧倒的な統計が示す通り、不正侵入の被害に遭っているのは、完全にパッチを適用したシステムではない。
―― IT管理者は、一部ファイルやフォルダが削除されてしまうなど、2018年10月のアップデートで発生したような問題について、Windows 10の次期OSアップデートでも懸念すべきなのか。
ソーベル氏 常に注意を怠らず、そうした問題には引き続き目を配った方がいい。私自身、Microsoftを疑いながらも信じることにしている。同社は何らかの問題があることを知っていて、こうした問題に対処し、テストしている。私は(同社が)正しいことをしてくれると信じており、だからこそ自分でこれをコントロールしたいと思っている。
プレビュー版はユーザーがテストするためのものと私は想定している。特にソフトウェア開発者はこのプレビュー版を使って自分たちでテストし、変更点をチェックして、安心して使えることを確認する必要がある。さらに、準備を整えて自社ユーザーのための判断が下せるよう、リリースノートを参照して変更点を確認しなければならない。
―― 最近では月例更新プログラムでも、コンピュータがフリーズする不具合が発生した。更新プログラムを適用すると決めた段階で、確実にシステムを円滑に稼働させるため、IT管理者には何ができるのか。
ソーベル氏 プロセスが必要な理由はそこにある。IT管理者の制御下で配信すれば、そうした問題は把握できる。少数のグループに配信し、テストし、それからもっと幅広く配信する。今回の事案は、問題を引き起こすのがソフトウェアの組み合わせであることを示した。体系的に配信することで、こうした問題を食い止められる。
まさに「信ぜよ、だが確認せよ」という言葉通り、私は出どころを信じながらも、自分の環境でうまくいくかどうかを段階的な配信で見極める。そうすることで、互換性問題があれば発見して対処するか、問題が修正されるまでそれ以上の配信を延期できる。
―― Windows 10は機能的には軽量だが、新しいサンドボックス機能や、CortanaとWindows検索機能の切り離しなどが盛り込まれる。IT管理者にとって特筆すべき点は。
ソーベル氏 これは新しいパッチの典型だと思う。MicrosoftはWindowsに関して継続的な開発の方式に切り替えた。次の大型リリースを待つのではなく、毎回累積的な変更が起きる。興味深い変更点としては、特にCortana検索が挙げられる。
ここには音声に関する同社の戦略の展開を見て取ることができ、その戦略は実用性が高まっている。革新的と思えることは何もない。だがOSを見て革新的だと思ったのは、いつが最後だっただろうか。累積的な更新は総じてうまくいっている。それは成熟した市場であることの証しだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
3
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
4
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
5
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
6
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
「IBM iはDXのボトルネック」は誤解 意外と知らない今風モダナイズの効果
-
9
「朝8時にバッチが終わらない」データ爆発の危機をJPX総研はどう乗り越えたか
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー