IoTが変える大学のキャンパス【前編】
大学がキャンパスの建物管理に「IoT」を生かすべき“これだけの根拠”
大学の設備運用における課題と、その解決策がもたらす大学関係者への影響について、具体的な運用改善事例と共に紹介する。
かつて建物は「動かない大きな構造物」にすぎなかったが、IoT(モノのインターネット)技術のおかげで、組織のニーズを満たす可能性に満ちた「動脈」へと変わりつつある。建物の転換は、高等教育を含む幅広い業界で起きている。大学という概念そのものには「高度な学習と教育のために設計された機関」という意味合いを伴う。つまり教育ツールが詰まった「大学」という枠組みから、建物自体が除外される理由はない。
大学は単なる教育の場を提供するだけの機関ではない。学生の住まいであり、教員やメンテナンス担当者、研究者など幅広い教職員の職場でもある。大学の建物はそうした役割を支えるために欠かせない。その中で働き、学び、居住するために必要なコラボレーションを実現する場だ。
大学の建物が抱える課題
キャンパスを利用する人は、短期的・長期的な目標をかなえるために最適な学習環境を求めている。建物の問題に起因する重大な支障は予期していない。だが現代のキャンパスの建物には、以下の中核的な問題が浮上しつつあり、その多くは認識されていない可能性がある。
- エネルギー料金や運用コストの上昇
- 空間の効率性と拡張可能性
- 日常的な利用者と、外部からの訪問者の行動管理
- 学生のエクスペリエンスと教育成果の向上
- 地理的に幅広く分散する施設管理者とキャンパスの連結
- 確実な安全対策と、安全性に対する懸念の最小化
- 潜在的なセキュリティリスクに対する防御
これに建物の老朽化や予算の縮小にまつわる問題が加わればストレスの原因になり得るが、同時にチャンスも生まれる。これらの課題解決のために適切なネットワーク環境を導入すれば、教育機関はIoTの力を借りて学習環境の効率化を高められるだけでなく、建物を有効活用してインフラをうまく機能させることができる。
チャンスに学ぶ
根本的なレベルで「キャンパスの建物に生命を吹き込む」ためには、
- データ分析とIoTセンサーを使った機器やサービスのパフォーマンスモニタリング
- 常に最適な状態でのシステム運用
- 快適性や安全性といった指標を向上させるための統合的な建物管理技術
が必要だ。IoT技術を使えば建物から付加価値を引き出すこともできるので、例えばどこにどのようなネットワークを配備すればよいかを知るだけで済む場合もある。
建物の重要システムへの適用を目的としたIoT技術の利用は、以下に示すさまざまな立場にある、世界中の大学関係者に影響を及ぼすだろう。
- 学生、教員、外部からの訪問者
- 教育機関は建物の利用者がエクスペリエンスを形成しやすいようにする必要がある。従って、常に快適かつ生産的な学習環境として建物を運用しなければならない。
- 建物運営やサービス技術者などのサービス事業者
- 大学は、統合型のシステムとインタフェースを通じて管理やメンテナンスの効率化と合理化を図るために、サービス事業者によるインテリジェントなキャンパス運営を追究しなければならない。
- 内装設計業者やIT管理者などの契約請負業者
- 大学は、情報をリアルタイムで契約請負業者に提供し、業者がプロジェクトを進行させるとともに、建物の性能を最適化できるようにしなければならない。
- 不動産管理者
- キャンパスの建物は、洞察に満ちたデータを提供し、施設空間の制約や潜在的な拡張可能性について、不動産管理者の理解や管理を促さなければならない。
オーストラリアのメルボルンにあるモナシュ大学は、キャンパスの建物のインテリジェント化を目指し、内部の環境を学生や職員など関係者のニーズに応じて自動的に変えられるようにした。同大学はIoT技術をビクトリア州クレイトンのキャンパスの建物管理効率化に役立てている。結果として、それらの建物は教職員の真の「生きた研究室」や教育ツールへと転換している。
この転換は主に「認識可能な建物」の確立を中心とする。適切なIoT技術の導入によって必要な情報を取得することで、最適な教育成果を引き出すための学習環境を整えられる。こうしたIoT技術の導入は、2030年までに実質的な排出をゼロとする(カーボンニュートラル)目標の達成に向けて、大学が建物を運営する助けにもなる。
後編は、キャンパスの建物にまつわるデータの具体的な活用例と、今後のIoT技術の発展が大学にどう貢献し得るかについて取り上げる。
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IoTが変える大学のキャンパス
学びの場としての大学をより良くするためには、キャンパスを快適な環境に保つことが欠かせない。大学の設備運用における課題と、それを解決するためのIoT(モノのインターネット)技術を紹介する。
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