「ノートPCの限界」が変わる
Intelの次世代PC計画「Project Athena」とは? 水準はどこまで高まるか
ノートPCの品質を引き上げることを目指すIntelの複数年計画「Project Athena」は、バッテリー駆動時間や通信機能の向上に重点を置いている。同社の取り組みに対して、アナリストの見解は慎重だ。
Intelは「Project Athena」(コードネーム)という取り組みによって、PCのスペックを底上げし、ノートPCの使用体験を向上させることを目指している。アナリストや業界専門家は、この取り組みは重要だという見解で一致しているが、Intelの計画がどこまで実現するかについて懸念も示している。
「この取り組みは、さまざまな技術に関してスペックの基準を設定しようとしている」と、コンサルティング会社TECHnalysis Researchの創業者でチーフアナリストのボブ・オドネル氏は指摘する。「Project Athenaで掲げられていることの一部は、一部のベンダーが既に実現している。ベストプラクティスを広く確立するのは良いことだ。ただしIntelは、取り組みが尻すぼみにならないように注意する必要がある」(オドネル氏)
Intelは2019年初めにProject Athenaを発表。2019年5月から6月にかけて開催されたカンファレンス「COMPUTEX TAIPEI 2019」で詳細を明らかにした。Project Athenaは、ノートPCや2-in-1デバイス(タブレットとしてもノートPCとしても利用できるデバイス)の機能向上を推進する取り組みだ。バッテリー駆動時間の延長、より高速な応答、接続性の向上、充電の高速化、より安全なログインなどが目標に挙げられている。同社は、複数年にわたって展開するこの取り組みを指針として、PC業界がイノベーションを進めることを期待している。
「私のProject Athenaの解釈は、『Intelは、デスクトップ環境の信頼性や接続性を、薄型のモバイルデバイスでも実現したいと考えている』というものだ」と、調査会社Forrester Researchのアナリスト、アンドルー・ヒューイット氏は語る。ただしIntelがパフォーマンスや応答性、バッテリー駆動時間、接続性に関して掲げている基準は「ベースライン(基本的な水準)を規定するものだ」とヒューイット氏は指摘する。
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狙いはノートPCの限界を引き上げること
それでもバッテリー駆動時間はユーザーにとって悩みの種であり、こうした日常的な問題が改善されれば大きな恩恵があると、Constellation Researchのアナリストを務めるホルガー・ミュラー氏は指摘する。「バッテリー駆動時間は、全てのモバイルデバイスの大きな問題だ。業界は、1回の充電で8~10時間フルに使える仕事用のノートPCを作るのに苦労している」(ミュラー氏)
IntelはProject Athenaを発表した際、モバイルデバイスの進化に向けたこの取り組みの第1段階で取り組むテーマには、こうしたベースラインの改善が含まれると述べた。Intelは次の段階で何を取り上げるかは明らかにしていないが、アナリストは、デバイス間の連携強化やノートPCの性能向上が、次の最前線になりそうだと考えている。
「次のステップは、さまざまなデバイスを切り替えて使うときのもろもろの不便さを軽減することだ」と、ヒューイット氏は推測する。それに続いてProject Athenaで取り上げられる大きなテーマは、ノートPCの能力を強化し、モバイルワーカーがこれまでできなかったことを可能にすることではないかというのが、同氏の見方だ。
ヒューイット氏は、低いデータ伝送速度での画像認識の実行や、貧弱な通信環境での大規模データセットの分析など、今日のPCでは困難なことがProject Athenaのテーマとなるだろうと考えている。「強力な処理能力を要求するこうした用途を実現するには、人工知能(AI)ベースの大規模な処理をモバイルPCで可能にする画期的な技術が必要になる」(ヒューイット氏)
こうした画期的な技術の実現は、まだ遠い先である可能性がある。ただしエンドユーザーのためにベースラインを改善することには期待が持てると、オドネル氏は語る。「Intelは、自社とパートナーの優れた技術を結集し、組み合わせてパッケージ化したものを『Project Athena対応』と銘打って、あるいは将来的に正式なブランドを作ったらそれを冠して、マーケティングしようとしている。非常に標準化されたやり方であり、全体的なユーザー体験を確実に向上させるやり方だ」(オドネル氏)
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