ブロックチェーンはプロトコル
ブロックチェーンには企業利用に必要な機能が欠けている
CIOはまだブロックチェーンについて十分に理解しておらず、混乱が見られる。企業の情報基盤として利用するために必要な機能が欠落している。ブロックチェーンに対するGartnerの姿勢はいまだに慎重だ。
ブロックチェーンの利用計画がある、またはその途上にあるCIO(最高情報責任者)は全体の11%にすぎない。これは調査会社Gartnerが示した見解だ。同社によると、プロジェクトの大半は初期試験の段階を乗り越えることができないでいるという。
Gartnerでシニアリサーチディレクターを務めるアドリアン・レオ氏は次のように話す。「ブロックチェーンのプラットフォームと技術の市場はまだ黎明(れいめい)期だ。製品コンセプト、機能セット、アプリケーションの主要要件など、重要なコンポーネントについて業界のコンセンサスが取れていない。当社は、今後5年以内に単独で優位を占めるプラットフォームは登場しないと想定している」
Gartnerの調査で、ブロックチェーンがビジネスアプリケーションかどうかについて、ITリーダーの間に混乱があることが判明している。ブロックチェーンは完全なアプリケーションとは言えない。そうなるには、ユーザーインタフェース、ビジネスロジック、データ永続化、相互運用メカニズムなどの機能が必要だ。
「ブロックチェーンは、完全なアプリケーション内で特定のタスクを実行するプロトコルと捉えるのが分かりやすい。プロトコルがeコマースシステム全体やソーシャルネットワークの唯一の基盤になり得るとは誰も考えないだろう」
ITリーダーが抱えるもう一つの課題は、現状のブロックチェーンにはレコードを削除する機能がないことだ。完全なデータ管理には削除機能が必要になる。「CIOは、自社のブロックチェーンプロジェクトにおけるデータ管理要件を評価する必要がある。従来のデータ管理ソリューションをそのまま利用する方がふさわしい場合もある」と同氏は話す。
Gartnerによると、CIOはブロックチェーンの限界を完全には理解していないという。例えば、多くのCIOはスマートコントラクトの利用は解決済みの問題だと思い込んでいると同社は指摘する。
スマートコントラクトは、ブロックチェーンを表す最も強力な側面と見なされている。だが、スマートコントラクトにはスケーラビリティと管理に課題があるとGartnerは警告する。
スマートコントラクトは、概念的にはストアドプロシージャに似ていると考えられる。ストアドプロシージャは、リレーショナルデータベースの特定のトランザクションレコードに関連付けられる。
ただし、集中管理型データベースシステムのストアドプロシージャとは異なり、スマートコントラクトはピアツーピアネットワークの全ノードで実行される。Gartnerによると、これがスケーラビリティと管理の容易性に課題をもたらすという。この課題はまだ完全には対処されていない。
スマートコントラクトには今後も大きな変化があるだろう。CIOは完全導入を計画するのではなく、まず小規模な試験利用を実施する必要がある。Gartnerは、この分野でのブロックチェーンは今後2~3年にわたって成熟を続けると予想している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly日本語版
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
9
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー