仕事用アプリケーションの管理とプライバシーを両立させる
「Android Q」「iOS 13」に新しく追加されたBYOD向け管理機能とは?
BYODを実施するには、IT部門はエンドユーザーのプライバシーとエンドポイントセキュリティを慎重に考慮する必要がある。「Android Q」「iOS 13」で進化したIT部門向けの管理機能について、詳しく説明する。
BYOD(私物端末の業務利用)は端末コストの削減に役立つ可能性がある。ただしBYOD制度を導入する場合、IT部門はデータ漏えいやプライバシーに関わる問題を防ぐ必要がある。
「エンタープライズモビリティー管理」(EMM)システムや「統合エンドポイント管理」(UEM)システムは、モバイルアプリケーションの「ラッピング」または「セキュアコンテナ」と呼ばれる、仕事用アプリケーションを私用のアプリケーションから隔離する機能を搭載している。こうした機能をBYODに生かすこともできる。
これらの機能を利用して仕事用アプリケーションを管理することで、問題が発生する場合もある。IT部門が、端末に対してエンドユーザーが納得できないほど強い管理権限を持ってしまったり、反対に管理権限が弱かったりすることが原因で、自社データの安全性を保証できない可能性がある。エンドユーザーがIT部門に渡したくないデータとして、アプリケーションの利用履歴や端末の位置情報など、プライバシーに関わる情報が挙げられる。
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「Android」「iOS」の管理を考える
「Android Q」「iOS 13」の機能をチェック
2019年にリリースされるモバイル端末用OSである、Googleの「Android Q」(正式名称は「Android 10」)とAppleの「iOS 13」は、BYODにおけるセキュリティとプライバシーを両立させるための機能を大きく進化させている。
Android Qに追加された主要な新機能
GoogleはAndroid Qで幾つかの重要なBYOD向け機能を追加した。IT部門は以下のような機能を通じて、私物端末をより効果的に管理できる。
画面ロックのポリシー設定
IT部門はサードパーティーのセキュリティツールを使って、モバイル端末のロック解除コードの複雑さを指定できる。社内システムやデータへのアクセスを許可する基準として、ロック解除コードの試行回数を独自に設定することも可能だ。
仕事用スケジュールのデータへのアクセス制御
Googleは新しいAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を用意し、エンドユーザーが私用のアプリケーションで、仕事用のスケジュールを表示できるようにした。ただしIT部門は、仕事用スケジュールを私用のアプリケーションに共有することを拒否することもできる。
フォーカスモード
私物端末で仕事をすると、ソーシャルメディアなど私用のアプリケーションの通知に気を取られる可能性がある。アプリケーションの起動を制御する「フォーカスモード」を使えば、作業に集中したいときに、その邪魔になるアプリケーションを選んで一時的に停止させ、通知をオフにできる。そのためそれらのアプリケーションを削除したり、無効にしたりする必要がなくなる。
提供元不明のアプリのブロック
「仕事用プロファイル」は、仕事用のアプリケーションやデータを私用のアプリケーションと分け、安全に管理するための機能だ。ただしエンドユーザーが公式ストア「Google Playストア」以外の、サードパーティーのストアからダウンロードしたアプリケーション(「提供元不明のアプリ」)をインストールすると、仕事用プロファイルを使っていてもマルウェアに感染する可能性が非常に高くなる。Android Qでは、IT管理者は、仕事用プロファイルか個人用プロファイルかに関わらず、提供元不明のアプリを端末にインストールできないように設定できる。
他の機能
エンドユーザーが特定のキーボードを好む場合、IT部門はその私用のキーボード設定を仕事用プロファイルに適用できる。フォーカスモードを活用した自己管理ができないエンドユーザーがいる場合、IT部門は、私用のアプリケーションを使い過ぎないように、アプリケーションごとに1日当たりの使用時間を設定する「アプリタイマー」を利用できる。ただしこの機能はエンドユーザー自身がセットアップしなければならないため、IT部門は、関連ポリシーを受け入れるようエンドユーザーを説得する必要がある。
新機能「User Enrollment」を実装したiOS 13
AppleはiOS 13で、BYOD管理の新しい仕組み「User Enrollment」を導入する。User Enrollmentは、以下のような機能を備える。
管理対象とそれ以外を分けたアプリケーション管理
IT管理者はアプリケーションをインストールできるが、私用のアプリケーションについては基本的には把握できず、制限を掛けることができない。IT部門の管理対象以外の領域では、エンドユーザーが私用のアプリケーションで仕事用ファイルを開けないようにする「Managed Open In」機能が、機密データへのアクセスを制限する。
EMM/UEMシステムによる行き過ぎた管理の制限
iOS 13には、IT部門に管理対象となるデータやアプリケーションを消去する権限を持たせつつも、エンドユーザーの私用のコンテンツについては消去できないようにする機能も加わった。またIT部門は、EMM/UEMシステムによって端末の識別情報、例えばシリアル番号、IMEI(製造番号)などにアクセスすることはできない。エンドユーザーの私用のパスワードやパスコードを調べることも不可能だ。このことは、エンドユーザーが私用のパスワード/パスコードの安全性を確保するのに役立つ。
IT担当者は、エンドユーザーが自分でインストールした私用のアプリケーションを仕事用アプリケーションに変更することはできない。仕事用の情報と私用の情報を完全に隔離するために、仕事用のアプリケーションとデータは、ファイルシステム「Apple File System」でフォーマットされた専用領域に保存される。端末全体にVPN(仮想プライベートネットワーク)を適用することもできない。そのおかげで、エンドユーザーのデータ通信はモニタリングやリダイレクトの対象とならずに済む。
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