いまビジネスで使うならどちらがいい?
Android vs. iOS ここ数年で評価が急上昇したモバイルOSはどちら?
モバイルデバイスの管理者にとって、OSやデバイスの保有を含めたモバイル導入の選択肢は多岐にわたる。本稿ではそうした状況について解説する。
組織にとってAppleの「iOS」とGoogleの「Android」という2つのOSは、モバイル導入の有効な選択肢となっている。
確実なセキュリティとUI(ユーザーインタフェース)を重視する組織は、そうした条件を満たすiOSに目を向けるだろう。一方、それよりも柔軟性が高いOSと手ごろな価格のデバイスを求める場合、必要とされるのはAndroidだ。モバイルの導入を管理するIT担当者は、最新バージョンの「iOS 12.2」「Android Q」でβテストをして、自分たちの組織にとってどちらが最善かを判断する必要がある。
本稿では調査会社IDCのカンファレンス「IDC Directions」から、企業におけるAndroidとiOSの強みと弱み、使用事例、私物デバイスを業務に利用する「BYOD」か、従業員にデバイスを選ばせる「CYOD」かの選択、「サービスとしてのデバイス」のトレンドについて、IDCの上級調査アナリスト、ブライアン・バセット氏が解説した内容を紹介する。
現代の企業でモバイルデバイスに関する最大のトレンドは?
バセット氏:われわれが注目している大きなトレンドの1つが、企業利用におけるAndroidだ。以前Androidは安全ではなく、あらゆるOEM(相手先ブランドによる生産)やソフトウェアベンダーが混在して非常に断片化しているという評判だった。
この数年でGoogleはAndroidの管理機能である「Android Enterprise」「Android Enterprise Recommended」を通じ、法人ユーザー向けAndroidの標準化に相当力を入れてきた。Androidデバイスの定期的なセキュリティアップデートでGoogleのお墨付きを得たハードウェアベンダーが増えつつあり、そうしたベンダーが人気となっている。
Androidデバイスは価格帯が幅広く、ハードウェアの制約も少ない。耐久性の高いデバイスや専用デバイスの分野で急成長している。従来そうしたデバイスに搭載されていたレガシーOSの多くはライフサイクルが終わりに近づいているが、Androidはそうした老朽化した技術の代替になれるほど十分に成熟している。
Androidデバイスには標準化のプラットフォームがあることから、ユーザーのモバイル化が進んでいない場所へモバイルを導入する組織にとっては、iOSデバイスよりも導入しやすいだろう。
iOSの問題は、OSが1種類しかないことである。それは結構だし、それでうまくいく企業もある。だが、カスタマイズを前提としたニッチな用途への導入の場合、カスタマイズできるOSが要る。冷凍庫や危険な環境でも使用できるカスタマイズOSを搭載したデバイスが必要だ。現時点でAppleの照準はそこにはない。
「サービスとしてのデバイス」のトレンドをどう位置付けるか
バセット氏:サービスとしてのデバイス(Device as a Service)に注目している企業は少なくないが、通信事業者の存在が制約となっているケースが多い。会社でデバイスを入手することはできても、データプランは通信事業者を通す必要があるためだ。
マネージドサービス(管理サービス)ベンダーが、こうした通信事業者の制約に捉われずに必要なデバイスを入手できる「付加価値サービス」を提供している。顧客がマネージドサービスとして現在使っている有料のエンタープライズモバイル管理(EMM)プラットフォームとこれを連動させている。
サービスとしてのデバイスは、単純に従業員にモバイルデバイスを持たせるだけにとどまらない。モバイルデバイスは非常に私的なものであり、定期的に交換するのであれば、例えば「大幅な値引き価格で新しいデバイスが入手できる」といった付加価値がなければならない。通信事業者は既に、それをある程度実践している。サービスとしてのデバイスに関心がある企業は、IT経費をシンプル化でき、柔軟にデバイスを増減させたいと考えている。
BYODはまだ使えるか
バセット氏:BYODはコスト削減になる。デバイス管理ツールである「Apple Device Enrollment Program」(Apple DEP)やAndroid Enterpriseの「ゼロタッチ」機能を使えば、IT部門がデバイスを大量に登録し、EMMポリシーを徹底させ、ユーザーが箱を開けないうちから必要なアプリケーションを全て搭載しておくことが容易になる。基本的には、ユーザーがデバイスの電源を入れると起動してログインし、使える状態になる。IT部門がセキュリティポリシーを自動的に強制できるので、IT部門がやるべき仕事は減り、ユーザーは高度なセキュリティに守られたデバイスを入手できる。
だがBYODにやや陰りが生じている。BYODの需要は確かにあるがセキュリティが手薄になり、管理もやや難しいことから、縮小しつつある。そもそもBYODが注目されたのは、従業員がデバイスの種類を選択できるからだった。自分のデバイスを選ぶCYOD方式では、従業員に与えられた選択肢の中からユーザーが自分のデバイスを選択できる。自分が選んだデバイスを無料で利用できるのに、私物のデバイスを仕事に使う理由があるだろうか。
CYODは、BYODと会社の責任の中間にうまく位置付ける。BYODの存在理由はコストにある。現在、米国企業の約33%がBYODをサポートしている。全従業員のためのデバイスを購入せずに済むのであれば、コスト面で明らかなメリットがある。さらにナレッジワーカー(知識労働者)や経営陣が会社のデバイスを使うことには大きな意味があるだろう。
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