iOSおよびAndroidアプリを調査した結果、いまだに「驚くほど多くのアプリケーションの安全性が非常に低い」ことが分かった。安全なアプリがないに等しい状況でデータを守るにはどうすればいいのか。
Positive Technologiesがモバイルアプリケーションのセキュリティについて最新の年次報告書を公開した。それによると、データを盗み出すために攻撃者が被害者のスマートフォンに物理的にアクセスする必要はほとんどなくなっているという。
同社が公開した報告書「Vulnerabilities and threats in mobile applications, 2019」(2019年版モバイルアプリケーションの脆弱[ぜいじゃく]性と脅威)は、「iOS」および「Android」向けのモバイルアプリケーションが専門家によってテストされ、ほとんどの場合、モバイルアプリケーションの最も一般的なセキュリティ欠陥はセキュリティが確保されていないデータストレージにあることを明らかにした。
セキュリティが確保されていないデータストレージが脆弱性として特定されたモバイルアプリケーションは76%に上る。中には、ハッカーがパスワード、財務情報、個人データ、通信内容を盗み出せるケースもあった。
この調査では、iOSアプリケーションよりもAndroidアプリケーションの方が重大な脆弱性が若干多く存在することが明らかになっている。ただし、この報告書を執筆した専門家は両OSに大差はなく、モバイルアプリケーションのセキュリティレベルはほぼ同じだとしている。
見つかった脆弱性の89%は、マルウェアによって悪用される可能性がある。端末がroot化またはjailbreakされると、感染のリスクが跳ね上がる。だが、マルウェアはそれ自体で権限を昇格できることもこの調査では示されている。被害者の端末に侵入したマルウェアは、ユーザーデータにアクセスするためにアクセス許可を求めることができる。その許可が与えられると、データを攻撃者に送り出す。
Positive Technologiesでサイバーセキュリティレジリエンス部門の責任者を務めるリーアン・ギャロウェイ氏は次のように話す。「2018年にユーザーの端末にモバイルアプリケーションがダウンロードされた数は2050億回を上回る。開発者は、ユーザーに円滑で快適なエクスペリエンスを提供するためのソフトウェア設計には念入りな注意を払っている。だが安全性の問題に取り組むことに熱心な開発者は極めて少ないため、驚くほど多くのアプリケーションの安全性が非常に低い」
「データを盗み出す際に、スマートフォンに物理的にアクセスする必要はない。アプリケーションがスマートフォンの機能やデータへのアクセスを要求する場合、スマートフォンユーザーはこれを詳しく調査することを推奨する。アプリケーションがデータに本当にアクセスする必要があるかどうか疑わしい場合は、要求を拒否すべきだ」(ギャロウェイ氏)
ユーザーはテキストメッセージやチャットアプリケーション内の不明なリンクは開かない、サードパーティーのアプリストアからアプリケーションをダウンロードしないなど、慎重になることで身を守ることができるとギャロウェイ氏は言う。「用心するに越したことはない」と同氏は補足する。
この調査では、開発者がホストし、情報の保管、処理、同期などを行うサーバ側アプリケーションもモバイルアプリケーションと同様に脆弱であることが示されている。
保護レベルが不十分、または非常に不十分なサーバサイドコンポーネントは約43%あり、重大な脆弱性が含まれるコンポーネントも33%あったという。サーバ側でよく観測された重大性の高い脆弱性は、不十分な承認と情報漏えいだった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
今や誰もが入手可能となったフィッシングツール。そこにAIの悪用が加わり、フィッシング攻撃はますます巧妙化している。本資料では、20億件以上のフィッシングトランザクションから、フィッシング攻撃の動向や防御方法を解説する。
セキュリティ対策チームの57%が人材不足の影響を受けているといわれる昨今、インシデントや脆弱性への対応の遅れが、多くの企業で問題視されている。その対策として有効なのが「自動化」だが、どのように採り入れればよいのだろうか。
年々増加する標的型攻撃メール。この対策として標的型攻撃メール訓練を実施している企業は多い。こうした訓練では一般に開封率で効果を測るが、実は開封率だけでは訓練の効果を十分に評価できない。評価となるポイントは報告率だ。
従業員の情報セキュリティ教育は、サイバー攻撃や人的ミスによる情報漏えいから自社を守るためにも必要不可欠な取り組みだ。新入社員の教育を想定し、伝えるべき内容や伝える際のポイントを解説する。
2024年の情報漏えい事故の傾向では、攻撃者による大規模攻撃の他、社員や業務委託先のミス・内部犯行によるケースも多く見られた。インシデント別の要因と対策とともに、今後特に重要になるセキュリティ意識向上のポイントを解説する。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。