ワークロードのクラウド移行に当たっては多くの課題が残っている。これらを解決して効率的に運用するには何が必要なのか。Gartnerの調査によると、ハイブリッドクラウドに乗り出した企業が求めたツールがある。
前編(Computer Weekly日本語版 7月17日号掲載)では、ハイブリッドクラウドを管理する上でのさまざまな課題を浮き彫りにした。
後編では、クラウドファーストのためのアプローチ方法やプロセス管理ツールなどについて解説する。
クラウドに移すべきワークロードの見極めについては、まだ相当の課題がある。IDCが指摘するような変化は、思考を根本から変えた。かつて主要組織のほとんどは、クラウドへの移行に極端な抵抗感を持っていた。それが今や「クラウドファースト」がトレンドになった。
新しいアプリケーションの場合、課題もあるが問題はない。だがレガシーソフトウェアはどうか。ウェインズ氏は、移行への道には困難が山積していると見る。「既存アプリケーションの場合、第一に『何があるのか』が分からない場合も多い。オンプレミスインフラとソフトウェアの全体像を描くのは難しい。そこで自動ディスカバリーツールが必要とされる」
だがそれは、プロセスの始まりにすぎないと同氏は言う。
「インベントリ情報を収集したら、アプリケーションをリファクタリングするのか、それともリフト&シフトするのかを決める必要がある。リファクタリングする場合、マルチクラウドテンプレートのオプションを検討することが望ましいかもしれない。次に、既存ワークロードをクラウドリソースの適切なサイズと種類にマッピングして、そのコストを算出するコスト管理ツールが必要になる。最後に、クラウドワークロードのデプロイと管理、ガバナンスのため、クラウド管理能力を必要とする」
そうしたプロセスの管理には、どのようなツールがあるのか。Gartnerの前出の報告書「Critical Capabilities for Cloud Management Platforms」で取り上げられたFlexera、Morpheus Data、Scalr、Embotics、CloudBolt Software、HyperGrid、ServiceNow、Micro Focusなどの各社は、ハイブリッドクラウド管理のためのさまざまな機能を提供している。報告書によれば、知名度の高いIT管理ツールの中には、重要な機能が欠如しているものもある。一方でフル機能を提供する新興企業は、業界でほとんど注目されてこなかった。
管理ソフトウェアで長年の経歴を持つBMCは、2本立てのアプローチを取っている。タルボット氏は言う。「適切な場面では、われわれはBMC製品を拡張してクラウド用の機能を提供してきた。その好例として、パフォーマンス管理製品の『TrueSight Operations Management』とキャパシティー管理製品の『TrueSight Capacity Optimization』は、オンプレミスとプライベートクラウド、パブリッククラウドを横断する機能を提供している。マルチクラウドとクラウドネイティブ特有の課題に対応する製品も導入した」
2018年にRightScaleを買収したFlexeraには、そうした従来型ツールの経歴がない。クラウドネイティブサービスの台頭を前提とすると、問題なのはCIOがどの程度の自動化を導入できるかだと同社は見る。「企業は継続的デリバリーとデプロイの自動化および自己修復オペレーションによって、アプリケーションデリバリーの技術プロセス自動化を進めてきた」。ウェインズ氏はそう説明する。
このアプローチは一歩先へ進める必要があると同氏は言い添えた。「今やそうした機能を拡張し、事業価値のために最適化することが必要になった。自動化ツールはクラウドとオンプレミスワークロードのガバナンスやコスト管理を支援できる」
Gartnerの調査によると、企業はマルチクラウドに踏み出すに当たり、クラウド環境を横断する自動化、ライフサイクル管理、ブローカリング、ガバナンスを実現するツールを求めている。
クラウドを巡る展望の変化は今後も多くの課題を投げ掛ける。その順応を支援してくれる幅広いツールを企業が必要とすることは明らかだ。この重要な分野を無視できるCIOは誰一人としていない。
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