AIで作るスマート政府機関【前編】
RPAやチャットbotは「お役所仕事」をどこまで改善できるか
AIテクノロジーの活用を進めているのは一般企業だけではない。政府機関も利用を進めており、既に具体的なメリットを得ている。米国での事例を紹介する。
世界各国の政府機関は、その規模を問わず、人工知能(AI)テクノロジーの可能性を急速に実感するようになっている。政府機関は、各種のワークフローや処理にAIテクノロジーを取り込もうとしているだけでなく、事業と個人双方の一般市民を対象に、AIテクノロジーに関する投資や調査に少なからぬ労力を費やしている。
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政府・公共機関によるAI活用
AIが変える業務プロセス
botを利用した政府機関の効率向上
政府機関とのやりとりには時間がかかることが一般的だ。多くの事務処理が必要で、従わなければならない規制や政策がある。このような状況を考えれば、事務処理や手続きに関する問題、ボトルネック、非効率な状況を解消するために、政府機関が多様な方法でAIテクノロジーを導入するのも当然のことだろう。政府機関はインテリジェントなbotを導入して、積極的にAIテクノロジーを使い始めている。
バックオフィスの多くのプロセスは、AIテクノロジーの恩恵を受けている。情報の記録、データ入力、事務処理手続き、政策や法的要件への準拠といった作業には、相当量の人手と時間が費やされている。ロボティックプロセスオートメーション(RPA)をはじめとするオートメーションテクノロジーは、このような仕事に人間が費やす時間を減らす目的で導入されている。
全米科学財団(NSF)、米内国歳入庁(IRS)、米連邦政府一般調達局(GSA)といった米国の政府機関は、RPAとAIテクノロジーの使用によって、既存の労働力を強化し、職員の貴重な時間を節約して、捻出した時間を付加価値の高い作業に使えるようにしている。政府機関はAIシステムを使用して、コンテンツをデジタル化し、フィールド、テーブル、ボックスといったドキュメントの構造と要素を特定し、データを検出/抽出して、承認プロセスに沿ってドキュメントの処理を進めている。
政府機関は、botを使用して一般市民とのやりとりも強化している。職員のサポートを必要としない問い合わせには、カスタマーサービスチャットbotが24時間体制で対応することで、カスタマーサービスのエクスペリエンスを向上させている。法人登記の方法やサービスの申し込み方法、Webサイトの操作方法といった情報を提供するbotは、その好例だ。このbotは職員による電話対応時間を削減し、ユーザーにリアルタイムで情報を提供できる。ユーザーは通常の業務受付時間を待って、コールセンターに電話で問い合わせる必要がない。
地方自治体でも広がるAIの使用
連邦政府によるAIテクノロジーの導入に加えて、地方自治体や州政府もAIテクノロジーの恩恵を受けるようになっている。米カリフォルニア州サンディエゴ郡保安官事務所は、「Coptivity」というAIテクノロジーベースのシステムを使用して、容疑者への接触前に容疑者に関する詳しいレポートを保安官代理に送信している。これまで警察官は、手作業で車のナンバープレートを照会していた。Coptivityによって、素行調査といった総合的な情報を確認できるようになり、より準備が整った状態で市民に接することが可能になっている。
都市部では渋滞緩和にAIテクノロジーを利用するようになっている。米ペンシルベニア州ピッツバーグ市は、AIテクノロジーを使用して移動時間や車両停止の回数といったドライバーの待ち時間全般を削減することを目的とし、車の行き来を自動的に最適化および制御するソフトウェアを構築した。カーナビゲーションシステムを開発するWazeと、自動車走行データの分析システムを手掛けるWaycareの協力を得て、米ネバダ州の運輸局はラスベガスで交通量の多い州間高速道路15号線の衝突事故を削減することに成功した。ドライバーから集めたデータと予測分析を使用することで、事故の可能性を事前に把握し、衝突事故の可能性や減速の必要性をドライバーに通知し、必要に応じてドライバーに進路を変更させることができる。
AIテクノロジーは刑事司法制度にも恩恵をもたらしている。具体的には、公選弁護人をサポートしたり、より適切な保釈金の金額を決めたり、適切な判決を下したりするのに役立っている。現在は小規模で使用され、多少の議論も巻き起こしているAIテクノロジーは、犯罪者に判決内容が言い渡される方法に興味深い変化をもたらす可能性を秘めている。
米国では公選弁護人の肩に多くの作業負担がのしかかっている。増加の一途をたどる山積みの事務処理がある上、膨大な量の情報に目を通さなければならない。オープンソースプロジェクトの「Tubman Project」は、AIテクノロジーを採用したツールを提供して、公選弁護人の事務所作業を自動化および強化し、弁護人が大量の仕事をうまく処理できるようにサポートすることを目的としている。
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AIで作るスマート政府機関
政府機関も一般企業と同じようにAIテクノロジーを利用し始めており、既に効率が向上したことを実感しているところも少なくない。実例を基に、政府機関によるAIテクノロジー活用の可能性を探る。
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