警察によるAI活用の今
踊るAI大捜査線 事件はAIが解決する
多種多様な分析、機械学習、自然言語処理といったAIテクノロジーが警察で使われている。顔認識ツールや自動文字起こしツールがその例だ。どのように使っているのか。
ロボット警官が登場するのは恐らくまだ先の話だろう。だが、連邦、州、地方の法執行機関は、分析と人工知能(AI)のテクノロジーを日常的に利用し、犯罪防止や犯罪者の追跡、逮捕に役立てている。
法執行機関では、今のところ、分析と機械学習のモデルを用いて証拠動画の中で容疑者を自動特定するツールや、特定の地域での犯罪の可能性を予測するツールにAIテクノロジーを主に活用している。こうした手法はある程度の成功を収めている。だが、同時に大きな懸念も幾つか引き起こしている。
米メリーランド州ボルチモアは犯罪発生率が高い都市だ。ボルチモアの法執行機関は多様なAIツールとテクノロジーを利用して犯罪防止に役立てている。2015年から2018年にかけて同市の警察本部長を務めていたケビン・デイビス氏によると、これらのテクノロジーは比較的新しいものだが、有用であることは実証されているという。デイビス氏は現在、米ボストンのセキュリティテクノロジーベンダーArmored Thingsでセキュリティ管理最高責任者を務めている。
ボルチモアは監視カメラ、有志が設置するカメラ、顔認識、自動車ナンバー自動読取システム、無線LANなどを利用して「以前なら決して集めることができなかったデータを入手している」とデイビス氏は話す。
デイビス氏によると、これがときに問題を生み出すことがあるという。
ボルチモアで使われているAI
ボルチモアには有志による監視カメラが約1000台設置されている。そこではこのテクノロジーを人間が監視しているという。
2019年6月に米ワシントンDCで開催されたAI関連カンファレンス「AI World Government」では、法執行機関におけるAIテクノロジーは熟練の警官の任務を完全に自動化できるわけではなく、人間による監視が必要だとデイビス氏は述べた。
「主観が入らないようにするには、テクノロジーがテクノロジーを監視するのが望ましい」とデイビス氏は語る。人間がテクノロジーを監視すると、自身の経験や裁量を当てはめてしまうためだ。「テクノロジーが自身で環境を調べ、異常を特定できる日が来ることを期待している」(同氏)
このような状況は理想だが、法は主観的要素を含む可能性がある。「将来的にもプロセスに人間が参加しないことは、ほぼ実現不可能だ」ともデイビス氏は語る。
AIに関する問題
法執行機関のツールに利用されるAIテクノロジーに問題があることも判明している。機械学習モデルにおける不測のバイアス(偏見)は、法執行機関が使用する一部のAIテクノロジー、特に顔認識ソフトウェアにおける大きな欠陥だとアナリストから常に指摘されている。
例えばAmazon.comの子会社であるAmazon Web Servicesが提供する画像分析ツール「Amazon Rekognition」は、女性と肌の色が濃い人々の認識精度について、他の人々よりも低い疑いがあることが調査によって明らかになった。2019年5月、Amazonの株主が米国公安部への販売を中止するよう求めている。
専門家が匿名で参加するソーシャルネットワーク「Blind」が最近実施した調査によると、大手テクノロジーベンダーの従業員は法執行機関システム用のAIソフトウェアを開発する意欲を持っているが、誤用も懸念しているという。
3826件の一意の回答が寄せられたこの調査では、MicrosoftとAmazonの従業員の半数以上、そしてGoogleとSalesforceの従業員の約半数が、法執行機関向けのAIソフトウェアを開発する意欲があることが分かった。また、顔認識などのAIテクノロジーの誤用を懸念する回答者の声も多かった。
自動文字起こし
法執行機関が使用するAIテクノロジーは顔認識だけではない。
音声の録音や動画撮影関連のソフトウェアベンダーVIQ Solutionsは、世界中の法執行機関と定期的に連携している。カナダのミシサガに本社を置く同社は、インフラとなるクラウドサービス群に依存しない準自動文字起こしシステムなど、さまざまなシステムを法執行機関に供給している。
VIQ Solutionsの代表取締役兼CEOのセバスチャン・パレ氏によると、同社の文字起こしソフトウェアは機械学習と自然言語処理を使用して、警察官の音声を自動的に文字に起こすという。音声は通常、録音された事情聴取やボディーカメラから取得される。
人間の記者と編集者の力をこのソフトウェアに組み合わせれば、「所要時間は短くなり、精度は一貫して90%を超える」(パレ氏)と同氏は話す。「世の中にはさまざまなデータが至る所に存在する」(同氏)
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