やっと浸透し始めた「小売×AI」、次に待つ課題は?歩みは遅いが着実に

小売業でのAIテクノロジーの導入は比較的遅かったが、着実に進みつつある。小売業者がAIテクノロジーのメリットに向き合い、競争相手のEコマースの現実を理解するようになったことが背景にある。

2019年10月04日 05時00分 公開
[Mark LabbeTechTarget]

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画像 小売業者はFyusionの3Dモデリングなど、AIテクノロジーの利用を増やし始めている《クリックで拡大》

 Eコマースは、スマートフォン時代のデフォルトのショッピング手段になっている。従来の形態で小売業を営む企業の間にも、顧客を魅了して確保する新しいテクノロジーや広告形態に目を向ける動きが広がっている。

 小売業界では、分析、人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)ソフトウェアを手軽に利用して、満足度の高いオンラインショッピングエクスペリエンス、個人に的を絞ったスマートフォンアプリケーションやマーケティングキャンペーンを作成するようになっている。また既存の労働力を補強するため、基本的な仕事をする店舗用ロボットを導入している小売業者もある。

 小売業界が、医療や金融などの業界に後れを取るのは珍しいことではない。特にAIテクノロジーを導入する取り組みの進捗(しんちょく)は遅い。

後れを取る従来型の小売業界

 実店舗で事業を営む小売業者は、優秀なエンジニアやデータサイエンティストを見つけるのに苦労する。そう語るのは、小売業者向けデータ管理ツールベンダーのAptosで小売イノベーション部門のバイスプレジデントを務めるニッキ・ベアード氏だ。

 このことが小売業者を難しい立場に追い込む。優秀なAI人材の大半が、大手テクノロジー企業や金融サービスなどの他業界に流れてしまっているためだ。

 優秀な人材に限りがあるだけではない。小売業者はブラックボックスのAIモデルには以前から慎重になっている。AIモデルは複雑で、正確な仕組みを理解するのが困難または不可能だ。そのため、小売業者には事実上、完全な説明なしにAIモデルのデータや予測結果を利用することが求められている。

予測可能性の低下がAI活用を後押し

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