「サイバーセキュリティ保険」を賢く契約する【前編】
いまさら聞けない「サイバーセキュリティ保険」とは? メリットと課題を解説
「サイバー攻撃は経営に直結する重大なリスクだ」という認識が広がりつつある中、にわかに注目を高めているのが「サイバーセキュリティ保険」だ。どのような保健なのか。契約前に確認すべき注意点とは。
企業のサイバーセキュリティ戦略の一環として契約が広がりつつあるのが、サイバー攻撃の被害を受けた企業に対し、被害を総合的に補償する損害保険である「サイバーセキュリティ保険」だ。サイバーセキュリティ保険の売り手と買い手は同じ目標を共有している。それは「サイバー攻撃や、それによる実害の発生を阻止する」ことだ。サイバーセキュリティ保険を扱う保険会社は侵害に伴う保険金支払いを避けたいと考え、保険の契約企業は侵害を受けたくないと考える。
サイバーセキュリティ保険会社は、契約企業にサイバーリスクの軽減方法を紹介し、プロアクティブ(積極的)な予防策の実施に対するインセンティブも提供している。契約企業はサイバーセキュリティ保険が掲げる基準に従うことで、セキュリティ体制を効果的に再構築したり、改善したりできる。
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連載:「サイバーセキュリティ保険」を正しく理解する
サイバーセキュリティ保険によって得られるメリットとは
企業がセキュリティ対策やコンプライアンス(法令順守)体制の構築を進める上で、サイバーセキュリティ保険は幾つかのメリットをもたらす。例えばデータ侵害に見舞われると、企業の評判が損なわれる他、高額な罰金を科される可能性がある。強力なプランのサイバーセキュリティ保険に加入していれば、サイバースペースで常に起こり得るこうした予想外の災難に対処するのに役立つ。
サイバーセキュリティ保険の補償は、データ侵害の発生に伴うコストの支払いに役立つ。こうしたコストには、
- データ侵害の通知プロセス
- 事後のフォレンジック捜査
- 弁護士の雇用
- 書面によるデータ侵害の通知
- クレジットモニタリング(クレジットカードの不正使用の監視)
- 評判回復サービス
にかかるコストに加え、規制に基づく罰金や損害賠償などが含まれる。
サイバーセキュリティ保険のマイナス面も考慮すべし
想定以上の時間と費用をサイバーセキュリティ保険にかけることで、マイナス面が生じる場合もある。例えばサイバーセキュリティ保険に投資したことにより」「セキュリティが確保されている」という錯覚に陥る場合がある。こうした錯覚に陥ることは「ペルツマン効果」と呼ばれる。
サイバーセキュリティ保険の契約に伴い、従業員のサイバーセキュリティ意識が甘くなり、サイバーセキュリティ保健の基準に準拠する取り組みが粗雑になることもある。これは従業員の間で「攻撃に見舞われても、保険で保護される」という認識が広がってしまうからだ。
データ侵害などのサイバー攻撃に対処する汎用(はんよう)的な手段は、まだ十分に開発されていない。サイバーセキュリティ保険の一般的な補償対象も、まだ非常に限られている。その上、サイバーセキュリティ保険のプランは多種多様だ。
サイバーセキュリティ保険会社はサイバー攻撃が発生した場合に、契約企業が選定すべきセキュリティ製品のベンダーとして、お気に入りのベンダーしか挙げない可能性がある。侵害後のデジタルフォレンジック(データを基にサイバー攻撃の痕跡を探し出すこと)や法的アドバイスに関しても、契約企業はサイバーセキュリティ保険会社が選んだ企業のものしか利用できない可能性もある。
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「サイバーセキュリティ保険」を賢く契約する
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