「従業員25人追加雇用」のコストを削減
医療機関が「RPA」を導入した理由 紙のタイムカード処理を15分から30秒に
ニューヨークプレスビテリアン病院は、それまで手作業だったタイムカードの打刻漏れチェックと給与支払プロセスを自動化するために「RPA」を導入した。その効果とは。
ニューヨークプレスビテリアン病院は、コロンビア大学(Columbia University)とコーネル大学(Cornell University)の2つの医学部と提携する「アカデミックメディカルセンター」に分類される施設だ。同施設はそれまで手作業だった勤怠管理と給与支払プロセスの一部を「ロボティックプロセスオートメーション」(RPA)製品のソフトウェアロボットに置き換えて自動化した。
グループ全体で約2万人の従業員と約2600床の病床を抱える米国有数の医療機関であるニューヨークプレスビテリアン病院。事務処理量は膨大で、勤怠管理には膨大な時間と多額のコストを費やしていた。RPAベンダーWorkFusionのRPA製品を導入して給与支払プロセスに適用した結果、ニューヨークプレスビテリアン病院はコストと人的資源を節約することに成功した(図1)。
RPAは医療機関の勤怠管理をどう変えたか
ニューヨークプレスビテリアン病院において、労働時間とコストに関する最大の問題を抱えていたのは勤怠管理の部署だった。具体的には、打刻漏れのあるタイムカードへの対処だ。同院の従業員が出勤時間の記録を忘れると、事務担当者による確認が必要になる。「勤怠管理のようなプロセスには、付随する作業や機能がたくさんある」と語るのは、同施設でシニアバイスプレジデントと最高トランスフォーメーション責任者を兼務する医学博士ピーター・フライシャット氏だ。
WorkFusionの同名製品を導入する以前、ニューヨークプレスビテリアン病院は打刻漏れのあるタイムカード問題に対処するためにフルタイム勤務の従業員を25人追加雇用する必要があると見積もっていた。フライシャット氏によると、勤怠管理は手動で、紙のタイムカードを使っており、1枚のタイムカードの処理に10~15分の時間がかかっていたという。
ニューヨークプレスビテリアン病院はまず、このプロセスをデジタル化し、紙のタイムカードを基本的に電子版に置き換えることにした。その後WorkFusionの協力を得て、電子版タイムカードの打刻漏れのチェックを自動処理するソフトウェアロボットを構築した。
RPA製品の導入が完了するまでに約3カ月の期間を要した。ニューヨークプレスビテリアン病院はこの結果、打刻漏れのあるタイムカードに対処する大量のソフトウェアロボットを手に入れた。このソフトウェアロボットは15~30秒で1枚のタイムカードの打刻漏れを処理する。その結果、同施設は従業員を25人追加雇用する必要がなくなり、既存の従業員は勤怠管理に費やしていた多くの時間をより生産的な作業に充てられるようになった。
「このような類の作業は多数存在する」とフライシャット氏は語る。ニューヨークプレスビテリアン病院はWorkFusionのRPA製品だけでなく、他ベンダーが提供する医療業界向けのRPA製品を使用して、他の勤怠管理や保険請求に関する作業を自動化している。
給与支払におけるRPA
ニューヨークプレスビテリアン病院はWorkFusionのRPA製品を使用するに当たり「特に大きな課題に直面することはなかった」とフライシャット氏は話す。WorkFusionのRPA製品は堅牢(けんろう)なセキュリティを備えた強力なITインフラをベースに構築されており、同施設が必要としたRPA製品の機能は十分備えていた。
当初WorkFusionのRPA製品導入に関してニューヨークプレスビテリアン病院が抱えていた最大の任務は、RPAに対する認識を高めることだった。「医療業界はRPA全般に関する知識が絶対的に不足している。いまだにRPA製品は、一般的に使われている製品ではない」(フライシャット氏)。医療業界ではRPA製品の導入が始まったばかりだが、普及が加速するのは時間の問題だと同氏はみる。
RPAに対する認識を高めるために、ニューヨークプレスビテリアン病院は豊富な知識のあるスタッフを雇用し、スタッフ向けのトレーニングコースも用意した。これを先導したのは人事チームの責任者だ。このコースではRPAの基本を扱い、従業員がRPAの基礎知識、RPA製品の仕組み、RPA製品の使い方を学べるようにした。「これは文化の創造で、医療分野で技術を導入するプロセスを作るための取り組みだ」(フライシャット氏)
給与支払プロセスでRPA製品を使用することについて従業員の反応は好意的だという。反復的な作業はソフトウェアロボットに任せて、自分たちは重要度の高い作業に専念できるからだ。「これは素晴らしい機会。ぜひともRPA製品を使うべきだ」とフライシャット氏は話す。
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