収益サイクル管理やIoTで成果
医療機関が「RPA」を導入すべき用途とは? 医療事務の専門家に聞く
ロボティックプロセスオートメーション(RPA)は、医療を含めたさまざまな業界で活躍し始めている。本稿は医療分野におけるRPAの用途について、医療事務の専門家が説明する。
専門家によると、ロボティックプロセスオートメーション(RPA)は多くの業界で用いられる可能性があるという。RPAのソフトウェアは、他のソフトウェアの処理を実質的に自動化する。機械学習をはじめとする人工知能(AI)機能を搭載するRPAソフトウェアもある。医療機関を含め、主にルール駆動型の反復的なバックオフィス業務にRPAソフトウェアが使用されている。
米国の非営利医療機構Ascension Health Alliance(Ascension)も、バックオフィス業務のみにRPAソフトウェアを使用している。ただしAscension Ministry Service Center(注1)のエグゼクティブディレクターを務めるA.J・ハンナ氏は、医療分野でのRPAには他の用途もあると考えている。例えば収益サイクル管理やモノのインターネット(IoT)などだ。
※注1 Ascensionに人事サービス、サプライチェーンサービス、財務サービスを提供している組織。
ハンナ氏に、医療分野におけるRPAの用途や、さらなる活用の可能性について話を聞いた。
――医療分野にとってRPAがどのように重要なのか、そしてRPAが現在よりも大きな役割を果たすようになると考える理由は何でしょうか。医療分野におけるRPAの最も重要な用途についての考えをお聞かせください。
A.J・ハンナ氏(以下、ハンナ氏) 現在のような通常のバックオフィス機能だけにとどまらず、RPAが医療現場に広まる可能性は非常に高いと思っている。私が考える最も重要な用途は収益サイクルの管理だ。
私は約15年間、保険金請求会社に勤めていた。ご存じの通り「コード」は変更されるものだ。例えば、世界保健機構(WHO)が定める国際疾病分類(ICD)コードの改訂やコード定義の変更、医療費請求のためのコード変更といった具合に。この変更に対処する場合、大人数の従業員を教育するよりも、反復的な業務や似たような業務を得意とする、RPAのソフトウェアロボット群を教育する方が簡単な場合もある。大きな可能性があると考えているのは、変更への対処能力だけが理由ではない。収益サイクル管理プロセスにルールベースの業務が多数存在しているためでもある。
分野によってはRPAのソフトウェアロボットが、医療記録をある程度比較しながら確認できるようになるだろう。医療記録の状態の違いを分析し、こうした違いについて何らかの分析ができるテクノロジーが頭角を現してきている。EMR(電子医療記録)に応用されるRPA関連のテクノロジーは増えると考えている。
RPAに関しては、臨床業務の面で人間にどう役立つのかを実際に研究し始めている者が少しでもいるのかどうかは分からない。当機関では、今まさにこうしたことに取り組んでいるところだ。臨床部門と協力しながら、臨床環境でもRPAを効率的に使えそうな方法を調査している。
――医療業界ではRPAがどの程度普及するでしょうか。
ハンナ氏 実際にあらゆる種類の組織から、さまざまな要求が来ている。医療機関から確実に聞かれるのは導入プロセスについてだ。どのようにベンダーを選び、導入したのかを聞かれる。こうした傾向は業界全体に広がっていくだろう。
それがどんな種類であれ、ビジネスプロセスの外部委託サービスを利用している医療機関は、間違いなくRPAについて調べ始めている。臨床現場にはAIシステム「IBM Watson」の事例が幾つかある。そういう医療機関は、いくらか詳細なデータマイニングを実行するために、MD Anderson Cancer Center(MDアンダーソンがんセンター)のような組織と連携してきた。
今後は、医療機関が最優先事項として注目していること以外からの動きが起きると考えている。つまり医療機関は他の種類のテクノロジーについても調査するようになる。効率の高め方や、現在の取り組みに対してより優れた洞察を獲得する方法を把握するためだ。
――医療向けIoTはRPAの優れた用途になるでしょうか。
ハンナ氏 それは間違いないだろう。ナレッジベース、データ、プロセス、容量は、時間とともに急激に増える。RPAのようなツールは、扱っているシステムの年代のせいで以前なら利用できなかったような方法で、新たなデータの洞察を生み出していくことになる。
このような自動化の取り組みから、本当に新しいデータストリームが生み出されている。そうしたデータを取得して有意義な方法で使用できる組織が、最大の成功を収めることになるだろう。
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