マンガで解説:ありすぎて泣けるIT課題
現場によるRPA開発時に必要な知識とは? 先に知っておくと役立つポイント
業務自動化を実現するRPAツールは、現場を理解している作業担当者自身が開発するのが理想的。ノンプログラミングで開発できるRPAツールでも、事前に覚えておくと役立つノウハウがあります。
「ロボティックプロセスオートメーション」(RPA)ツールは、人が行っていたPCを使用した作業をソフトウェアロボット(以下、RPAロボット)で代行することによって業務の自動化を可能にすることから、近年、注目を集めています。そして、ほとんどのRPAツールには「Microsoft Excel」の「マクロの記録」機能と同じように、人が実施した操作を記録する機能があり、一から処理を記述する必要がありません。こうした機能があることからRPAベンダーは「RPAツールなら情報システム部門に頼ることなく、現場でのRPAロボット開発が可能になる」とうたっています。
RPAは現場主導の導入が最も効率的
確かに現場で実施しているPCの作業をRPAロボットに代替させることがRPAツール導入の目的ですから、実際に現場で作業をしている担当者がRPAロボットを開発できれば最も効率的であることは間違いありません。
では現場の担当者がRPAツールの使い方を習得することができれば、現場においてRPAロボット開発が可能になるのでしょうか。残念ながら、RPAツールの機能を学習する以外にも、RPAロボットを開発するためにさまざま知識やスキルを習得する必要があります。
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RPA開発に必要な知識やノウハウは何か
プログラミングの考え方
まずプログラミングの基本的な知識は習得しておく必要があります。RPAツールがノンプログラミングで開発可能なソフトウェアであるといっても、
- 変数
- 条件分岐
- ループ処理
- エラー処理
といったプログラミングの考え方を理解していなければ開発することは困難です。RPAツールはノンプログラミング開発を可能にするために、よく使用される処理を「部品」として用意しており、基本的にはそれらの部品を組み合わせるだけでRPAロボットを開発できるようになっていますが、部品を組み合わせて処理として実行させるためには、プログラミングの考え方を知っておかなければならないのです。特にエラー処理については、どのようなエラーを想定してどのような処理をするかを判断できるようになるためには、ある程度ノウハウの蓄積が必要となります。
業務フローをRPA向けに再設計するスキル
RPAロボットは、人と同じように判断して処理ができるわけではありません。従って、RPAツールで処理できるように、業務フローを設計するスキルも必要になります。例えば社内からの依頼と社外からの依頼で異なる処理をする必要がある場合、人が処理するのなら、送られてきた情報を総合的に判断して「その依頼は社内からか、または社外からか」を区別できるため業務フローでは、社内の場合と社外の場合という基準でフローが分岐します。ところがRPAロボットの場合は、どの情報(社員番号やメールアドレスなど)を使用して「社内からかの依頼か、社外からの依頼か」を判断するか、といったRPAで判断できる基準を決めておき、その基準でフローを分岐させる必要があります。もしもRPAロボットで判断が不可能な場合、その作業をRPAロボットの処理の前後に集中させ、その処理は人が実施するようにするなど、業務フローの大幅変更が必要となることもあります。
RPAならではのノウハウ
さらにRPAツール独特の処理に関わるノウハウについても学ぶ必要があります。例えば多くのRPAツールには、RPAロボットに操作の対象を特定させるために、PCの画面を画像イメージとして認識させ、特定画像の表示時に処理を実行させる画像マッチング機能が実装されています。非常に便利な機能ですが、画像マッチングとして設定した時の画像イメージとRPAロボットで動作させた時の表示が必ずしも一致するとは限りません。そのため、RPAロボットが画像を認識できずに処理が止まる場合があります。このような場合の対処方法として、例えばあらかじめ、処理対象のアプリケーションのウィンドウサイズを最大化しておく処理をRPAロボットに組み込むことで画像の位置ずれを防いだり、RPAツールの設定で画像の認識率を調整したりする、といったノウハウを習得する必要があります。
こうしたスキルを現場担当者が習得し、現場でRPAロボットの開発ができるようになったとしても、運用体制をどうするかという課題が残ります。現場担当者はRPAロボットの開発が主要な業務ではありません。異動することも退職することも起こり得ますので、適切に引き継ぎがなされなければ、そのRPAロボットはどんな処理をしているか誰も把握していない「野良RPAロボット」となってしまうでしょう。
上述したようにRPAツールを使ったRPAロボットの開発には、RPAツールの使い方以外にも身に付けるべき知識やスキルが多数あるのが実情です。現場主導でRPAロボットを開発することが最善であることには間違いはありませんが、現場に一任してしまうとこれらの知識やスキルの習得が障害になって開発を断念してしまう可能性もあります。現場の開発をサポートするRPA担当者を配置するなどの対策を考えておくべきでしょう。
現場がRPA導入の投資対効果を算出することが重要
最後にRPAツールはそれほど高額なソフトウェアではありませんが、だからといって投資対効果が見込めないまま導入するわけにはいきません。同じ処理を多人数で実施する部署がある企業ならば、RPAツール導入による投資対効果は比較的出やすいものです。しかし1人の従業員がさまざまな仕事を少しずつ受け持っている中小企業では、業務の1つをRPAで代替しても投資対効果が出るほど、そもそもの業務量があまり多くありません。そのため、
- 小さな業務を集めて1台のPCでRPAロボットの処理をさせる
- 部門間にまたがった処理を1つのRPAロボットとして処理する
などの工夫が必要になってきます。
中小企業ではこうした工夫が必要になるために、RPAツール導入ありきで考えるのではなく、まずは業務の洗い出しをしてRPAロボットによる処理が可能かどうか検討し、投資対効果が見込めると判断した上でRPAツールを導入する、というステップをしっかり踏むことが肝要です。
筆者プロフィール
コラム:村山 聡(むらやま・さとし)
1971年愛知県生まれ、名古屋大学経済学部卒、中小企業診断士。IT企業在職中に、単一業種においてキャリアを積んでいくことに疑問を感じ、どんな業界、職種でも通用する知識を得るべく中小企業診断士を取得。複数社を経て、現在の勤め先にてコンサルタントとして、データを活用した業務効率改善に取り組む。
作画:士業娘
高度な専門性を駆使して、企業・社会を支えるプロフェッショナル「士業」。「士業娘」は士業を女性キャラクター化し、その日常を緩く紹介するプロジェクト。
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