IP-VPNは高価で手が出ない。だがインターネットVPNでは安全性が心配――。そこで注目されるのが、事業者網を使ってインターネットVPN並みのランニングコストで運用できる「エントリーVPN」だ。
日本は世界トップクラスのブロードバンド先進国だ。特に、オフィスにおけるFTTH(Fiber to the Home)の普及はめざましく、リーズナブルな月額料金で高速なインターネットアクセスが可能だ。この足回り回線を活用して広域VPNを導入しない手はない。
だが、いざVPNを導入しようとすると、どの方式を利用するかで、かなり悩ましい問題が生じる。最もコストを安く抑えようと考えれば、IPsec VPN(※注1)またはSSL VPN(※注2)ベースのインターネットVPNが最適だが、公衆網を利用するため当然ながら帯域などのパフォーマンスは保証されない。また、耐障害性の問題もある。企業の基幹系WAN回線として利用するなら、IP-VPNの採用が理想である。
※注1:ネットワーク層でパケットを暗号化するプロトコルIPsecを使って仮想網を構築するVPN技術。対応する機器を用意したりシステムなどにIPsecを実装したりする必要がある
※注2:Webブラウザや電子メールなど多くのアプリケーションが対応するSSL(Secure Socket Layer)をリモートアクセス網の構築に利用するVPN技術
そもそもIP-VPNは、主に大企業が利用していた専用線サービスやフレームリレー網に替わる、新たなWANソリューションとして普及した。専用線やフレームリレー並みの閉塞性(安全性)と信頼性を確保し、しかも、これらのサービスに比べればランニングコストは安い。とはいえ、中堅・中小企業にとって、IP-VPNの月額料金は決して安いものではない。信頼性を取るか、それともコストを取るか、難しい選択を強いられる。このような状況の中、新たにユーザーに注目されているのが「エントリーVPN」と呼ばれるソリューションだ。
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