NASからSANへ乗り換えるべき7つの兆候【中編】
「NAS」をやめて「SAN」に移る目安とは? 可用性、信頼性、データ保護の問題
中堅・中小企業が「NAS」から「SAN」に移行するかどうかを見極める判断基準として、「可用性」「信頼性」「データ保護」の視点がある。事業継続性のリスクを排除するという観点で注目すべき「移行の目安」とは。
中堅・中小企業が、ストレージシステムを現在利用中のNAS(ネットワーク接続ストレージ)からSAN(ストレージエリアネットワーク)に移行するタイミングを見極めるには、ストレージシステムが示す「7つの兆候」がヒントになる。前編「中堅・中小企業が『NAS』から『SAN』に乗り換えたくなる性能、拡張性の理由」に続き、中編となる本稿は3つ目と4つ目の兆候を解説する。
- NASでは必要な性能が得られなくなった
- さらなる拡張性が必要になった
- 可用性と信頼性を揺るがす問題が頻発している
- NASがデータ保護の要件を満たさなくなった
- NASがアプリケーションのニーズを満たさなくなった
- 仮想化技術の導入でインフラの運用や処理負荷が高まった
- リソースの集約と有効活用のニーズが高まった
兆候3.可用性と信頼性を揺るがす問題が頻発している
ストレージシステムが突然ダウンする事態はどの企業も避けたいはずだ。特にエントリーレベルのNASには、1つないし複数の単一障害点(SPOF)が存在するものがある。NASがダウンすると、それを利用するアプリケーションや処理が停止したり遅延したりして、業務の生産性に悪影響を及ぼす可能性がある。電源に冗長性を持たせたNASであっても、可用性と信頼性に関しては、こうした特性がアーキテクチャに組み込まれているSANにはほぼかなわない。
NASの可用性に問題が生じている中堅・中小企業は、NASからSANへの移行を真剣に検討すべきだ。SANは複数のスイッチで相互接続されたコンピュータおよびストレージアレイで構成されている。SANはミッションクリティカルなシステムを想定して設計されており、ストレージアレイのトラブル時に別のストレージアレイへと自動的に切り替えるフェイルオーバー機能に加え、冗長性を高めるさまざまな機能を備えている。例えばSANはスイッチやサーバに障害が発生した場合、自動的にこれらを迂回(うかい)してデータをやりとりすることで、サービスの中断を回避することが可能だ。
兆候4.NASがデータ保護の要件を満たさなくなった
バックアップやリカバリーといったデータ保護は、あらゆる組織にとって大きな関心事になっている。これは中堅・中小企業も例外ではない。データの損失は生産性を低下させ、自社の評判を損なう。データ保護および保持義務を定めた法規定を考慮しても、問題を放置すれば重大な事故を引き起こす恐れがある。NASの中には、複数のHDDを組み合わせて1台のHDDのように運用可能にする「RAID」(Redundant Arrays of Independent Disks)構成が取れるだけのHDDを積載できるものもあるが、一般的にローエンドNASはこうした構成が取れない。
中堅・中小企業の場合、データ保護の要件を満たすために絶対にSANが必要なわけではない。とはいえSANはストレージを集合的リソースとして扱い、一元的に運用管理するので、中堅・中小企業は大抵、SANを導入することでデータ保護機能も実現できることになる。管理者は複数のストレージを単一のシステムとして運用でき、データの複製と保護が容易になる。
SANはディザスタリカバリー(DR:災害復旧)機能を備え、コンプライアンス(法令順守)に役立つ。バックアップ、スナップショット(差分データの保持)、クローン(複製)といった機能を通じてデータの冗長性も確保する。
後編は5~7番目の兆候である「NASがアプリケーションのニーズを満たさなくなった」「仮想化技術の導入でインフラの運用や処理負荷が高まった」「リソースの集約と有効活用のニーズが高まった」を取り上げ、考察する。
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