“クラウド破産”の理由と対策【後編】
“クラウド破産”を防ぐには? 利用料金を予算内に収める選び方
想定外に高額になりがちなクラウドサービスの利用料金。予算内に収めるためには、どのような観点でクラウドサービスを利用し、選べばよいのか。
企業がクラウドサービスを導入するときに、検討すべき事項が利用料金だ。前編「」はクラウドサービスの中でも、ハードウェアをサービスとして利用できる「IaaS」(Infrastructure as a Service)とミドルウェアをサービスとして利用できる「PaaS」(Platform as a Service)を想定し、利用料金が想定よりも高くなりがちな理由を整理した。後編はこうしたクラウドサービスの利用料金を想定内に収めるために、利用時や選定時に注意すべき点を紹介する。
クラウドサービスの利用料金を適切に見積もって想定内に収めるには、まずは利用料金が高騰する要因を理解することが大事だ。データセンター間の通信やAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)の呼び出しなど、利用の実態を把握しづらい課金要素が、利用料金を上昇させる要因の一例として挙げられる。
クラウドサービスの利用料金を想定内に収めるには
特定のクラウドサービスに対して、その外部のシステムからデータを取り込む「インバウンド通信」と、クラウドサービスの内部から外部のシステムにデータを送る「アウトバウンド通信」にかかる利用料金も把握しておいた方がよい。コンシューマー向けのキャンペーンサイトなど、想定外に大量のアウトバウンド通信が発生し得る用途でクラウドサービスを利用する場合は、アウトバウンド通信が安価なクラウドサービスを選ぶことを安田氏は勧める。
その他にも、アプリケーションの負荷に応じて自動的にITリソースの拡張と縮小を実施するオートスケール機能を利用する場合は、ITリソースが自動で拡張するとともに利用料金も増加することが一般的なため、注意が必要だ。こうした料金体系を踏まえた上で、動かすアプリケーションの特性に合わせてクラウドサービスを選ぶのがよい。
各ベンダーの課金要素を理解する
クラウドサービスの代表格と言えば「Amazon Web Services」(AWS)だ。AWSからの移行ニーズを狙って、AWSと同様のサービスをそろえているクラウドサービスは珍しくない。ただし「料金体系は、必ずしもAWSと同じとは限らない」と安田氏は説明する。
「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)や「Alibaba Cloud」「Google Cloud Platform」(GCP)といったAWS以外の主要なクラウドサービスは、一部サービスでAWSとは異なる料金体系を採用している。例えばDWH(データウェアハウス)をクラウドサービスとして利用できる「クラウドDWH」であれば、GCPの「BigQuery」はクエリ(データ操作)に応じて課金する。AWSのクラウドDWHである「Amazon Redshift」は、クエリを課金の単位にしていない。
必要なときに必要な分だけ支払って使えることが、クラウドサービスのメリットだ。このメリットを十分に生かしつつ利用料金を想定内に収めるには、仮想マシンのメモリ容量や仮想CPU数、ストレージ容量といった表面的なスペックだけで利用料金を見積もるのではなく、データの入出力量やアプリケーションとの相性など、隠れたコスト要素を理解することが必要だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
“クラウド破産”の理由と対策
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
4
「IBM iはDXのボトルネック」は誤解 意外と知らない今風モダナイズの効果
-
5
「朝8時にバッチが終わらない」データ爆発の危機をJPX総研はどう乗り越えたか
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
AI導入後に発覚する「社内文書を読めない」問題 情シスは何を直せばいい?
-
8
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
9
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
10
IT製品の導入に関するアンケート「PC&デバイス」編
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
5
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
6
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー