クラウド移行のコストを正確に見積もるには
AWS、Microsoft、Googleの「クラウドコスト計算ツール」を正しく使う方法
クラウドへの移行を計画している企業は、ベンダーが提供するクラウドコスト計算ツールで利用料を見積もり、移行にかかるコストを事前に把握できる。ただし使い方には幾つかの注意点がある。
クラウドサービスは一般的に、複数の地域で異なる規模で運用されている。そのため、さまざまなサービスの組み合わせの影響を把握することが難しい。しかしこの影響を十分理解しないと、企業は予想を超えるコストの大きさに驚くことになる。
Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft、Googleなどの大手クラウドベンダーは、クラウドコスト計算ツールを提供している。クラウドコスト計算ツールに仮想マシン(VM)やアプリケーションインフラ用のストレージなど、リソース要件についての値を入力すると、その数値に応じて価格の見積もりを表示する。クラウドコスト計算ツールは、企業がアプリケーションをクラウドに移行する際の利用料の見積もりに役に立つ。
クラウドの料金は地域によって異なる場合や、長期利用を確約すれば割引が適用される場合もある。そのためクラウドコスト計算ツールの正確性には注意する必要がある。
企業がクラウド移行戦略の一環としてクラウドコスト計算ツールを効果的に使用するために、確認すべきポイントを説明する。
ポイント1.計算ツールに全ての要素を過不足なく入力する
クラウドサービスの実際のコストが、クラウドコスト計算ツールで表示した見積もりを大きく上回るケースがある。それはどういうことなのか。
調査会社Gartnerのアナリスト、クレイグ・ロウェリー氏は、これはクラウドコスト計算ツール側の問題ではなく、むしろユーザー企業側の問題であると言う。企業がクラウドコスト計算ツールに入力する情報が不完全だったり、ピーク負荷対策への想定が過小だったり、将来の成長に合わせたリソース拡張に対する考慮が欠けていたりする問題だ。
クラウドコスト計算ツールの使用は、食事のための買い物リストを作成してスーパーで買い物をするのに似ている、とロウェリー氏は言う。買い物リストを作成すれば、スーパーに行く前に購入総額をほぼ正確に見積もることができる。ただし必要なものを買い物リストに追加するのを忘れたり、予期しない来客のために追加の買い物が必要になったりすることはよくある。クラウドコスト計算ツールの場合でもこれと同様で、変更により当初の予測コストを押し上げることがある。「それはツールを使用する側の誤解や、データの欠落が原因だ」(ロウェリー氏)
ポイント2.ツールで計算できないコスト要因を考慮する
クラウド運用コストの全体像を把握したい場合は、クラウドコスト計算ツールに入力できない外部要因も考慮する必要がある。調査会社IDCのアナリスト、ディーパック・モーハン氏によると、計画の策定や移行作業、アプリケーション管理などの要素は、中核となるクラウドの利用料よりもコストがかかる可能性があるという。クラウドコスト計算ツールを使って、リソースのみに基づいたコスト予測をするだけでは正確に予測できないことがある。常に自社のニーズを意識して、適切な予測モデルを作成することが重要だ。
モーハン氏によると、クラウド利用料以外のコスト要因には、人件費やシステム管理サービス費用、パブリッククラウドへの移行に必要なアプリケーションのリファクタリングなどの費用がある。企業は自社で既に運用しているデータセンターの管理費や、バックアップと復元にかかる費用などの追加コストも考慮する必要がある。
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