IT関連の経費の中で、クラウドにかかる無駄な支出がかなりの割合を占めている。管理者は発想を変え、不要な出費を減らすために管理ツールの活用も検討すべきだ。
企業のクラウドコンピューティング関連予算は増えているが、その多くは無駄になるだろう。
企業によるパブリッククラウドIaaSの利用は拡大を続けている。TechTargetが実施した2018年版のIT優先度調査「IT Priorities Survey」では、2018年度に予算を増やすと回答した企業の中で、54%がクラウドサービス予算を増やすと答えた。しかし、調査会社IDCのアナリスト、スティーブン・エリオット氏は、クラウドコンピューティングのコスト管理に頭を悩ませ、新しいクラウドプロジェクトの適正料金を予測できずにいる企業は多いと指摘している。
「多くの企業は適切な使用量を予測できず、予想より多く支出している」(同氏)
同氏によれば、コスト増大の原因の1つにシャドーITの存在があるという。ハードウェアの購入や設置と違い、クラウドサービスは簡単に導入できてしまう。そのため支出の予測と追跡が難しく、クラウドコンピューティングのコスト把握を困難にしている。結果として、想定外にクラウドの請求額が増えることがある。
医療関連の新興企業Qcentiveで情報技術担当ディレクターを務めるビル・ガリクセン氏は次のように話す。
「1年ほどの間は、AWSの費用は比較的低く抑えられていた。ところが突然、毎月の支払いが倍増した。スタートアップの当社にとって、月々5〜6万ドルもの出費は大きな打撃だ」(同氏)
同氏はAWSの費用を減らそうと考え、その内訳を詳細に調べた。まず、AWSの公式ツールを使って使用量の縮小に取り組み、不要なインスタンスや不要になったプロトタイプが残っていないかをチェックした。
「しかし、それだけでは本質的な解決にはならないと実感した。結局のところ、インスタンスを実行した時間の分だけ支払いが発生する。だから、インスタンスを停止することが最大のコスト節約になる」(同氏)
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