近年、クラウドコンピューティングの労働市場はクラウド技術と同じくらい急速に進化している。エンジニアのキャリアアップに役立つ5つの必須スキルを紹介する。
企業は2018年、事業規模の大小を問わず、IT技術者を新規に雇用するなり、既存スタッフのスキルを向上させるなりして、注目のITトレンドへの対応を図ることになるだろう。2018年におけるITの主要トレンドには、機械学習やサーバレスコンピューティングなどの最新技術に関するものの他、クラウドインフラの管理のようにより基本的なスキルが関係するものもある。クラウドインフラで特に重要となるのは、ハイブリッドクラウドとマルチクラウドの管理スキルだ。
調査会社451 Researchの主任アナリスト、ジェイ・ライマン氏によれば、パブリッククラウドの導入は向こう数年間で大幅に進むことが予想される。ただし企業は基本的には、パブリッククラウドかプライベートクラウド、またはその組み合わせから、自社のワークロードに合わせて最適な実行環境を選んでいる。
「企業はコストや性能、データ主権、地理的な立地、規制、コンプライアンスの問題などを踏まえ、自社に最適なインフラでアプリケーションとワークロードを実行したいと考えている」とライマン氏は語る。
ただしこうしたクラウドの柔軟性を享受するためには、それなりのコストがかかる。IT部門は、各種クラウドプラットフォームを連携させ管理する作業に長い時間を割かなければならないからだ。そのため多くの企業はクラウドコンピューティング担当のアーキテクトや管理者を採用することになるだろう。求められるのは、複数のクラウドインフラを連携させ、異種インフラ間を移動するワークロードを効果的に管理するスキルだ。
一方、機械学習やコンテナ化、クラウドネイティブアプリケーションなど、より最先端の技術もクラウドコンピューティングの労働市場に大きな変化をもたらしており、その勢いが衰える兆しはない。
クラウドを専門とするITプロフェッショナルはこうした最新技術の台頭に備え、データサイエンスや人工知能(AI)、コンテナオーケストレーションなどの分野でスキルアップを図る必要がある。さもなければ、取り残されることになりかねない。
本稿では、2018年のキャリアアップに役立つであろう、需要の高いクラウドコンピューティングスキル5つを紹介する。
AIと機械学習はもはや単なるバズワードではない。これらの技術はますます多くのITプロジェクトにおいて、中心的な役割を担いつつある。
調査会社IDCは、コグニティブ(認知)コンピューティングとAI技術に対する全世界の支出は年率50%の勢いで増加し、2021年の市場規模は576億ドルに達すると予測している。企業がAIを活用できる分野は、自動顧客サービスエージェントから医療診断や治療まで多岐にわたる。
この市場でシェアを獲得すべく、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft、Googleなどの大手クラウドプロバイダーは、機械学習やAIを活用した新サービスを矢継ぎ早に展開している。企業がこうしたサービスを効果的に活用するためには、新しいクラウドコンピューティングスキルを持つ人材が必要だ。
クラウドベースのAIサービスには、Googleが公開したオープンソースの機械学習ライブラリ「TensorFlow」やMicrosoftのクラウドサービス「Microsoft Azure」で提供される機械学習サービス「Azure Machine Learning」などがある。今後は、こうしたサービスに関する深い知識に加え、データサイエンスの高度なスキルを持つ人材が多くの企業で必要とされることになるだろう、と調査会社Forresterの主任アナリスト、デーブ・バルトレッティ氏は指摘する。
「企業がアプリケーションをデータセンターからパブリッククラウドに移す主な目的の1つは、各所から集まってくる膨大な量のデータセットに対し、AIとデータ分析を活用することだ」とバルトレッティ氏は語る。ここ5年ほどデータサイエンスのスキルには高い需要があるが、今後は大量のデータセットをパブリッククラウドに移す企業が増加し、データサイエンススキルを持つ人材のニーズは一層高まることが予想される。
2017年が予兆だったとすれば、データサイエンススキルの需要は2018年に大いに高まるはずだ。求人情報サイトGlassdoorが2017年に発表した「Best Jobs in America(米国で最もよい仕事)」のランキングでも、データサイエンティストが1位となっている。このランキングは、「求人件数」「平均給与」「仕事への満足度」の3要素に基づいて得点を算出している。
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