最新のクラウドセキュリティツールを導入していても、エンドユーザーとITチームの両者によるヒューマンエラーが原因となり、企業がさまざまな種類のサイバー攻撃を受ける可能性がある。
ハッカーは常にITシステムの脆弱(ぜいじゃく)性を探し求めており、企業は警戒する必要がある。データを保護し、脅威を検出するためのツールは多数あるものの、これらのツールを駆使しても対処できないクラウドセキュリティリスクが1つある。それは、人的な要因だ。
エンドユーザーとITチームは完璧とはいえない。両者ともフィッシング攻撃を受けやすく、機密情報を社外で使用したり、セキュリティサービスを不適切に導入したりするなど、ありがちな間違いを犯す可能性がある。さらに、クラウドセキュリティのベストプラクティスは、できるだけ迅速かつ効果的に業務を完了したい、という従業員の要望としばしば矛盾することが多い。
「ほとんどの従業員は適切なセキュリティの手続きを踏みたいと考えているが、必ずしもセキュリティツールは直感的で使いやすいものではない」と、Gartnerのプラクティスリーダーであるジェレミー・バーグマン氏は語る。
クラウド上の人的なリスク要因に対処するために、組織はセキュリティツールの限界を理解し、セキュリティ意識の高い職場環境を作り出す必要がある。
フィッシング攻撃は、個人を欺いてWebサイトのリンクや直接の返信メールを介し、機密情報を暴露するように仕組まれている。多くの場合、一見するとソフトウェアは合法的に見えるため、従業員は攻撃者の犠牲となり、ITシステムへの攻撃者の侵入を許してしまうことになる。
さらに、モバイルデバイスやクラウドの登場に伴い、大量の企業データも社外保管に移行している。これに伴い、ユーザーが家庭、地元のコーヒーショップ、ホテルなど、ネットワークが盗聴される可能性がより高い場所から機密情報にアクセスすることがますます一般的になっている。
情報を安全に保護するためには、データ漏えい防止サービスを使用すると良い。このサービスはアカウント情報などの機密を含む文書を識別し、従業員に潜在的なクラウドセキュリティリスクを知らせるものだ。場合によっては、これらのツールは特定のオフサイトデータへのアクセスも防止する。この分野のベンダーには、CA Technologies、Cisco Systems、Digital Guardian、Veracode、Symantecなどがある。
ITチームも同じくヒューマンエラーを起こしやすい。例えば、パッチ管理は積年の課題だ。ITチームは、緊急を要する他の業務が原因で、更新プログラムの適用が遅れることがある。ただし、パブリッククラウド環境であれば、クラウドプロバイダーがこれらのアップデート作業に責任を持つため、リスクを最小限に抑えることができる。
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