Amazon、Google、Microsoftの三つどもえが続く
IaaSプロバイダー抗争に再び火を付けたクラウド“秒課金”モデル
2017年9月、Amazon、Microsoft、Googleがクラウド価格モデルを一斉に変更した。これにより、再びクラウド価格に注目が集まり、どのベンダーがユーザーに最高の価値を提供するかという議論が再燃した。
最大手クラウドプロバイダーの顧客獲得戦略は、いつも価格競争に行き着く。数年前、Amazon、Microsoft、Googleの間で著名なクラウド価格競争が勃発したのはGoogleの「Google Cloud Platform」(GCP)が、ハイパースケール企業2社に対して低価格を武器に市場に参入したときだった。大げさな宣伝合戦や次々繰り広げられる議論の大半は沈静化したが、価格は下落を続けた。だが2017年8月、これらのベンダーがユーザーのコスト削減を目的にクラウド価格モデルを新たに増やしたことで、このクラウド価格競争が新たな局面に入った。
他社を一歩リードしようとする戦いの新たなラウンドの口火を切ったのはAmazon Web Services(Amazon)の「Amazon Web Services」(AWS)だ。2017年9月第4週、Amazonはそれまでの1時間単位の課金を取りやめた。これは以前から待ち望まれていたことだが、GCPとMicrosoftの「Microsoft Azure」(Azure)で利用できる1分単位の課金に対抗するためだ。Amazonは、一気に1秒単位の課金へと踏み切った。だが結局、数日後にはGoogleがこれに追従することになる。Googleは当時、1時間単位で課金していたある無名のベンダー(暗にAWSを示唆)のユーザーに比べれば、自社の顧客がこの変更から受ける影響は少ないと感じると述べている。
2017年9月末、Microsoftは負けじと「Azure Reserved VM Instances」を発表した。これは、ユーザーが1年または3年分の容量を事前に購入することで、オンデマンド価格よりも最大72%削減できるというものだ。このモデルはAWSの「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)のリザーブドインスタンスを模して作られたものだ。だが、明らかにMicrosoft色が加えられており、「Azure Hybrid Use Benefit」を組み込んでWindows ServerのライセンスをAzureに委譲するユーザーにはさらに大きなディスカウントを提供する。
「クラウド価格を巡る競争は、削減額を直接競う方法から、ワークロード設計のさまざまな方法をユーザーに提供する方向に向かっている」とアーカイブストレージ企業Sonianの創業者件CTOのグレッグ・アーネットは話す。同社のサービスはAWS、Azure、GCPと連携する。
「どこかの時点で価格は底値に達する。さらなる削減を可能にするクラウドの使い方を見つけるには、ソフトウェアの設計と開発の方法に一層の創造性を持たせる必要があると感じる」(アーネット氏)
Microsoftは、企業への販売に使用するクラウド価格モデルが他社とは異なるため、この分野ではライバル企業に後れを取ることもある。だがAWSとGCPのオプションを見たMicrosoftの顧客は、Azureで同様のオプションが利用できない理由を知りたがっていると話すのは、451 ResearchのCloud Price Indexの責任者を務めるオーウェン・ロジャーズ氏だ。
「ほとんどの場合、Microsoftはクラウド経済の問題への取り組みが非常に遅い。Azureはクラウド経済に関してGoogleやAWSに追い付こうとしているようだが、GoogleとAWSもまた、柔軟性を高める努力をしている」(ロジャーズ氏)。
Microsoftが急ぎ足で価格オプションを導入したことにも、GoogleとAmazonが1秒単位の課金へと踏み切ったことにも、その背景にはユーザーに絶えず価値を提供することへのプレッシャーがあるとロジャーズ氏は話す。
「1秒単位の課金に移行しても、特に仮想マシン(VM)を絶えず運用しているユーザーには、今のところ影響はないようだ」とロジャーズ氏は話す。ただし将来、コンテナで実行されるワークロードや、サーバレス機能を中心に構築されるワークロードのように、短時間しか存続しないワークロードをユーザーが利用するようになると、利益を見込めるようになると同氏は見ている。
他社を模した更新は価格以上のものをMicrosoftにもたらす
この種のディスカウントは新しいものではない。最終的にMicrosoftが2017年5月に追加したオプションは、AWSとGCPが数年前からスポットインスタンスとして備えている。AWSは、EC2リザーブドインスタンスプログラムを大々的に構築してきたため、複雑すぎるという危惧も生まれている。Googleは継続的に使用するユーザーには一連のディスカウントを用意していたが、2017年前半にはリザーブドインスタンスの考え方を加えた。
Microsoftの他社を模した更新はクラウド価格モデルだけではない。2017年9月、Microsoftは年1回の主要ITカンファレンス「Microsoft Ignite」に合わせて、重要な機能の普及の後れを取り戻す方向へと転換した。新しいツールには、他社のクラウドプラットフォームでよく使用される機能を含む「Azure Data Box」があり、ユーザーは最大100TBのデータをプライベートデータセンターからクラウドにメール送信できる。また、Microsoftは回復性と高可用性の強化を求める顧客向けに、もう1つのメジャーアップグレードとして、1つの地域に利用可能なゾーンを複数追加している。このサービスは現在2地域(米国東部と西ヨーロッパ)で利用でき、2017年の年末までに、米国、ヨーロッパ、アジアの追加ゾーンでプレビュー提供をする。
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