2017年度の比較表を大公開
徹底比較:Amazon、Azure、Google、IBMの機械学習機能 現時点の勝者はいるか
クラウドベンダーの機械学習機能を巡る戦いが激しさを増している。本稿では主要クラウドベンダー4社が提供する機械学習機能の比較表を掲載する。最適なプラットフォームを決める際の参考にしてほしい。
データサイエンティストが機械学習モデルを構築し、運用するためのツールは多数存在する。だが適切なツールを選ぶには難しい判断が幾つも伴う。
下記の表では、Amazon Web Servicesの「Amazon Web Services」(AWS)、Microsoftの「Microsoft Azure」(Azure)、Googleの「Google Cloud Platform」(GCP)、IBMの「IBM Cloud」といった人気の高いクラウドサービスの機械学習機能を、機能や価格別に分類した。ただし、機械学習では多くのオープンソースソフトウェア(OSS)ツールや、掲載した以外のベンダーの製品も提供されているので注意が必要だ。本稿では機械学習のライフサイクル全体をサポートする商用クラウドサービスのみに注目した。機械学習のライフサイクルとは、データの取得からモデル開発、運用までを指す。
機械学習プラットフォーム市場は活気を帯びてきており、多くの主要ベンダーがシェアの獲得を目指している。調査会社Forresterの予測では、この市場は2021年まで年間成長率15%で拡大していくという。
2017年前半には複数のクラウドベンダーが自社のサービスを強化している。機械学習への着手を目的としたシンプルなクラウドプラットフォームが用意されるようになった。また、こうしたプラットフォームで開発するモデルは即座に運用環境に移行できるようにもなっている。
たが、こうした機械学習プラットフォームにはそれぞれ欠点もある。各プラットフォームにはベンダーに縛られるという大きなリスクがある。機械学習では、ユーザーのデータを広い範囲のクラウドプラットフォームに配置するよう求めるのが一般的だ。企業のデータを全てベンダー1社のクラウドに配置すると、他の作業に別のベンダーのサービスやOSSツールを使いづらくなる。
クラウドサービスの機械学習機能を比較
この表は、主要クラウドベンダーの機械学習機能の重要なポイントについて比較している。
| サービス名 | Amazon Machine Learning | Google Cloud Machine Learning | IBM Watson Machine Learning | Azure Machine Learning |
|---|---|---|---|---|
| 概要 | 大部分が自動化されたプラットフォーム。AWS内に格納されたデータに機械学習アルゴリズムを適用する | 最先端アルゴリズムへのアクセスをユーザーに提供する。こうしたアルゴリズムは検索をはじめとする業界最高峰のアプリケーションにGoogleが使用するものだ。ユーザーが独自のモデルを構築することもできる | REST APIコネクターを通じてモデルを運用環境に導入することを重視する | ユーザーが自身のデータに適用できる事前定義済みアルゴリズムを多数提供する。他のオプションに比べて自動化される部分が少ない |
| インタフェース | ・AWSマネジメントコンソール ・AWSコマンドラインインタフェース |
・gcloud ml-engineを使用してGoogleの「TensorFlow」プロセスを制御するコマンドラインインタフェース | ・IBMのグラフィカル分析ソフトウェア「SPSS」をフロントエンドとして使用可 ・ユーザーがサードパーティーのデータサイエンスアプリケーションでモデルを構築できるAPIコネクター |
・Microsoftの「Azure Machine Learning Studio」のドラッグアンドロップ環境 ・RとPythonのコーディング用パッケージ |
| アルゴリズムとモデリング手法 | ユーザーが組み込みのアルゴリズムを自身のデータに適用できる。以下に例を挙げる。 ・回帰分析 ・二項分類 ・多項分類 |
ユーザーが独自のモデルを最初から構築するか、以下の用途がサポートされた事前トレーニング済みのモデルを使用できる。 ・動画分析 ・画像分析 ・音声認識 ・テキスト分析 ・翻訳 |
ユーザーは、REST APIコネクターを利用し、任意の言語で独自のアルゴリズムを構築できる。またIBMの「Data Science Experience」ワークベンチプラットフォームを使って、OSSの「Apache Spark」のMLib(機械学習アルゴリズムのライブラリ)とリンクする計画がある。本稿執筆時点での実装状況はクローズドβ版だ | ユーザーは事前に作成されたアルゴリズムを自身のデータに適用できる。以下に例を挙げる。 ・スケーラブルブーストディシジョンツリー ・ベイシアンレコメンダーシステム ・ディープニューラルネットワーク ・ディシジョンジャングル ・分類 また、以下のアルゴリズムもサポートする。 ・多項分類と二項分類 ・回帰クラスタリング |
| 自動アルゴリズムの推奨有無 | ○ | ○ | × | × |
| データの配置場所の要件 | データは、Amazon Machine Learningサービスで使用する前に、AWSのストアに格納する必要がある | Googleの「Google Cloud Storage」にデータを格納し、この場所でモデルを準備する必要がある | データは、IBM Cloudに格納し、この場所でモデルを準備する必要がある | 小さなデータはAWSなどのサードパーティーからインポートできる。ただし、数GBを超えるデータセットはAzureに存在する必要がある |
| 価格 | ・データ分析とモデル構築は1時間当たり0.42ドル ・予測料金:バッチ予測は1000件当たり0.10ドルで、100の位以下の端数は切り上げる。リアルタイム予測は1件当たり0.0001ドルで、0.01ドル以下の端数は切り上げる。また、リザーブドキャパシティーについては、プロビジョニングされた10MBのメモリごとに、1時間当たり0.001ドルが課金される |
・モデルトレーニング:米国では、機械学習トレーニングユニット(コンピューティングリソースの尺度)ごとに1時間当たり0.49ドル。欧州とアジアでは0.54ドル ・予測料金:米国では、予測1000件当たり0.10ドルに加えて、1ノード時間当たり0.40ドル。欧州およびアジアでは0.11ドル/0.44ドル。 ・事前トレーニング済みモデルに対するAPI呼び出しの料金は、使用する機能に応じて大きく変わる |
・サービスインスタンス当たり10.00ドル(インスタンス当たり20モデルを実行) ・分析およびモデル構築については、計算時間当たり0.45ドル ・予測料金は、リアルタイム予測/バッチ予測1000件当たり0.50ドル ・無料バージョンでは、最大2モデルをサポートする単一のサービスインスタンス、1カ月当たり5000件の予測、5時間の計算時間が利用可能 |
・Azure Machine Learning Studioの月ごとのユーザー当たり9.99ドルに加え、Studio実行時間(コンピューティングリソースの尺度)当たり1.00ドルが掛かる ・開発用途と個人用途に、機能が制限された無料バージョンもある ・予測分析アプリケーションをWebサービスとしてデプロイできる。レベル別の価格は月当たり100ドル、1000ドル、1万ドルの3通り |
| 追記事項 | AWSに格納されたデータの追加料金は別途課金 | GCPのアカウントが必要 | 新しいモデルの作成にはIBMの「IBM SPSS Modeler」またはData Science Experienceが必要。また「IBM Bluemix」アカウントが必須 | 有料バージョンにはAzureアカウントが必要。無料バージョンは「Microsoftアカウント」のみで利用可能 |
| その他の考慮事項 | 自動データ変換ツールが付属している | ほとんど抽象化されていないためプログラマーが制御できる。だが技術に詳しくないユーザーは学習に時間がかかる可能性がある APIコネクトを通じて背後で機械学習を利用するアプリケーションを構築することを主な目的に調整されている |
視覚的なインタフェースによって、モデルの内部動作についてユーザーが得られる洞察が限定される可能性がある |
機械学習プラットフォームはまだ成熟していないため、最善のサービスを最終的に開発するベンダーを見分けるのは難しい。ユーザーは、いずれかのプラットフォームを採用して全データを提供する前に、各ベンダーの長所と短所を把握する必要がある。機械学習プラットフォームを巡る戦いは今も続いている。この戦いの中でプラットフォームを選別するのにこの比較表を活用していただきたい。
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