フラッシュドライブの信頼性向上【後編】
SSDのエラー発生率増大と解決、予防保全の実現
SSDの故障率が増大する条件の特定とその回避策の実装までの流れを解説する。業界がどのようにSSDを改善してきたのかがよく分かる。
前編( Computer Weekly日本語版 9月2日号 掲載)では、SSDの課題が検証されてきた歴史を再確認した。
後編では、セルの摩耗だけでなくPCIeバス経由でのデータ転送で生じる問題とSSDの展望を紹介する。
研究者によると、チップに障害が発生することにつながる兆候を見ると、どのモデルでも不良チップの3分の2は不良ブロック数がしきい値(5%)に達した後不良になったという。興味深いことに、この研究当時、ブロックの5%以上で障害が起きた不良チップはメーカーの仕様に違反したチップだったと研究者は記している。
この研究では、ドライブの20~63%で最初の4年間に最低1回修復不可能なエラーが発生している。そうした修復不可能なエラーがそのドライブで最も一般的な非透過的エラーにつながると結論付けている。
Googleのデータセンターでこの研究が行われる1年前、カーネギーメロン大学とFacebookの研究者がSSDの信頼性を調査している。この研究では、PCI Express(PCIe)バス経由で転送されるデータが多くなるほどバスの使用電力が多くなり、SSDの温度が上昇することが報告された。温度が高くなるほど故障率も高くなり、この傾向はデータ転送速度を下げるスロットル技法を採用していないSSDに最も顕著に現れることが分かった。
Seagate Technology、カーネギーメロン大学、チューリッヒ工科大学が2018年に公開した論文「Errors in Flash-Memory-Based Solid-State Drives: Analysis, Mitigation, and Recovery」(フラッシュメモリベースのSSDのエラー:分析、緩和、修復)では、ストレージ密度が高いほどエラーの発生率が高くなり障害が多くなると強調されている。
この論文の研究者は次のように警告している。
「ストレージ密度を高めるために、SSDの基盤となるNANDフラッシュメモリをスケーリングするにつれ、セルのビット自体でエラーの発生率が高まり、それによってSSDの寿命が短くなる」
従来のHDDアレイよりもSSDの信頼性が高いのは間違いない。「これまでは、HDDアレイのHDDを交換しようと思ったら1日5000ポンド(約69万円)の費用をかけてエンジニアを雇い、新しいHDDを使ってアレイのマッピングをやり直す必要があった」と話すのはNutanixでシニアシステムエンジニアリングディレクターを務めるロブ・トライブ氏だ。
同氏によると、SSDのファームウェアが絶えず書き込みサイクルを監視し、障害が見つかったら多くのエラーが生じているメモリブロックを使用対象から外すという。ITの自動化が進むにつれ、SSDのファームウェアが提供するメトリクスをOSが十分に利用しなくなっていることをトライブ氏は認めている。
信頼性は、入出力操作(ドライブへの読み取りと書き込み)の失敗によって測定される。今後はSSDのファームウェアが利用され、システムがSSDの摩耗を綿密に追跡監視し、将来的には予防保全できるようになるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly日本語版
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
“攻撃者優位”なサイバーセキュリティ、全ての「穴」をふさぐ方法とは? -
製品資料
実際に悪用される脆弱性は4%前後 優先的に対処すべき脆弱性を把握するには? -
製品資料
HubSpotの機能を拡張する法人データ活用法 -
製品資料
面倒で非生産的な「名寄せ」作業 高精度&高効率に実施するには? -
製品資料
名刺管理には「その先」がある 成果のでない営業活動から脱却する秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
ISMSの“コンサル丸投げ”が招く数千万円の無駄 NTTドコモビジネスの脱出劇
-
2
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
3
Netflixのバックエンドは「ほぼJava」 3000超のアプリを支える開発基盤の裏側
-
4
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
5
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
6
月額91.3万円のAIエンジニア システムアーキテクト級に並んだ単価の中身
-
7
ストレージへの高い投資対効果を目指す「ETERNUS DX S2」シリーズ
-
8
「IoT通信環境の構築・運用」に関するアンケート
-
9
IT業界で相次ぐ人員削減の“隠された理由”
-
10
ライオンが挑む「守りのIT」脱却:Google Cloudで加速させるデータ駆動型経営
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
財務・会計はAI活用でどう変わる? 調査で見えた変革の道筋
-
3
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
4
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
「結局、一部の人しか使わない」 AI活用が業務に定着しない根本的な理由
-
7
コスト分析で見る「デバイス復旧」の代償 損失額から導きだされた投資戦略とは
-
8
Macの安全神話は崩壊? 最新の脅威動向から見えた攻撃のトレンドと有効な対策
-
9
ゼロトラストにおける「IDaaSの課題」と補完すべき重要機能とは?
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー