バイデン政権下で巨大IT企業はどうなる【中編】
バイデン政権はトランプ政権よりも「GAFA」に“攻撃的”か?
バイデン政権への移行で、巨大IT企業に対する連邦当局の取り締まりはさらに厳しいものになるのか。反トラスト政策と米政治家の思惑を探る。
次期大統領に選出された米民主党のジョー・バイデン氏は、巨大IT企業に対して一層の規制強化を推進するのだろうか。前編「バイデン政権誕生で『GAFAの解体』が進むのか?」に続き、中編となる本稿は反トラスト法(独占禁止法)や関連政策に対する米政治家の動向を取り上げる。
2020年秋の波乱に満ちた選挙とその余波の中で、連邦政府と州政府は巨大IT企業に対して反トラスト法の猛攻を浴びせた。米司法省(DOJ)は11州の司法長官とともにGoogleを提訴し、米連邦取引委員会(FTC)は46州の司法長官とともにFacebookを訴えた。一方、連邦当局は2019年に開始したAmazon.comとAppleに対する反トラスト法捜査を継続している。
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巨大IT企業の市場独占に対する過去の動向
前回の政権交代時に生じた変化
トランプ政権よりも攻撃的? バイデン政権の反トラスト政策
非営利団体Washington Center for Equitable Growthの市場・競争政策担当ディレクターであるマイケル・ケイズ氏は、バイデン政権下で連邦当局が進める反トラスト法の取り組みについて「技術的側面に関しては、彼らが減速すると考える理由はない。問題は、さらに攻撃的になる可能性があるかどうかだ」と話す。ケイズ氏は民主党上院議員エイミー・クロブシャー氏の反トラスト政策顧問を務めていた。
米下院民主党は2020年10月に450ページ規模の報告書を公表して反トラスト法キャンペーンを始動させ、Google、Apple、Facebook、Amazon.comの大手4社(GAFA)について「競合他社をのみこんで押しつぶし、イノベーションを窒息させ、データプライバシーの権利を踏みにじることによって消費者を害する略奪的独占企業」と位置付けた。下院共和党が発表した反トラスト法報告書も、民主党の主張におおむね共鳴していた。
そうした動きは全て、第45代大統領ドナルド・トランプ氏の共和党政権の下で進んでいた。同政権には、IT企業であろうと経済の他の分野であろうと、反トラスト法に関する一貫した政策はほとんどなかった。実際のところトランプ氏は、連邦規制当局の資金を枯渇させ、特に司法省を自身の意志に従ってねじまげようと試み、政敵に対する捜査を指示して選挙不正を主張することにより、反トラスト法執行活動を妨害しようとしたものと考えられる。
今、巨大IT企業を抑え込もうとする者は、バイデン氏を潜在的な同盟相手と見なす。たとえ上院で共和党が多数を維持したとしても、バイデン氏が規制当局の予算と人員を劇的に増やし、議会で厳格な反トラスト法を支持することによって、規制当局による法的措置や捜査を後押しできると期待する。
反トラスト法の専門家でバイデン政権移行チーム側近のビル・ベア氏が2020年11月19日(現地時間)に発表した報告書では、司法省と連邦取引委員会による反トラスト法執行予算をそれぞれ年間6億ドル増額することを求めた。これで巨大IT企業側のロビー活動や弁護団を相手取った、長引く司法闘争を戦う準備は整ったことになる。
後編は、反トラスト政策に対する産業界の見解を解説する。
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