新型コロナが企業にもたらす5つの脅威【前編】
コロナ禍で深刻化する「サイバー攻撃」「AIの誤作動」にどう備えればよいのか
テレワーカーを狙う攻撃やAI技術の発展を受け、企業はサイバー攻撃やAIエンジンの誤作動を懸念しています。これらの脅威の危険性を具体に解説します。
国際刑事警察機構(インターポール)が2020年8月に公開した報告書によると、同年1~4月に同機構の民間パートナー組織が観測した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連の脅威は
- スパムメッセージが約90万7000通
- マルウェアによるインシデントが737件
- 悪意のあるWebサイトのURLが約4万8000件
でした。これらの攻撃は電力会社やガス会社などの重要インフラ企業に加えて、その他の大手企業や政府も標的にしています。同年1~6月には複数の大手企業が認証情報や機密データ、財務記録などを盗まれ、大規模なデータ侵害の被害に遭いました。
こうした中、世界の経営者は何が起こることを想定し、どうリスク管理をしているのでしょうか。Citrix Systemsが実施した未来の労働環境に関する調査「Work 2035」の中で、2019年から2020年にかけて欧米のビジネスリーダー500人以上を対象にアンケートを取った結果を基に、企業が直面する重大な技術的脅威5つをまとめました。
- サイバー攻撃とデータ侵害
- AI(人工知能)エンジンの誤作動
- AI技術に対する政府の規制
- ブロックチェーンの停止
- クラウドサービスの停止
脅威1.サイバー攻撃とデータ侵害
調査の結果、サイバー攻撃とデータ漏えいが企業の重要課題であることが明らかになりました。調査に回答した欧米のビジネスリーダーのうち93%が、2035年までにサイバー攻撃とデータ漏えいが大きなリスクをもたらすと考えています。
COVID-19拡大に伴うテレワークの急速な普及により、従来のセキュリティの概念が覆されました。従業員が自宅で仕事をすることが当たり前になると、必然的に業務で使うデバイスも、業務データも社内LANの外にあふれるようになります。「社内LANの内部さえセキュリティ対策を万全にしておけばよい」という、これまでの常識が通用しなくなったのです。
企業が特に注意しなければならないのは、家庭用インターネット回線を利用して私用デバイスで業務するテレワーカーを狙う攻撃です。こうした攻撃に対処するために、企業は「ゼロトラストセキュリティ」の採用を検討すべきタイミングに来ています。ゼロトラストセキュリティは、エンドユーザーの認証情報、アクセスする時間帯、デバイスが接続しているネットワークなど複数の基準を使用してエンドユーザーが誰かを特定するセキュリティアーキテクチャです。
ゼロトラストセキュリティにより、企業は攻撃者によるなりすましを防止しやすくなり、業務データへのリモートアクセスの安全性を確保しやすくなります。ゼロトラストセキュリティは多要素認証(MFA)およびシングルサインオン(SSO)と組み合わせることで、より強固なセキュリティを実現します。
脅威2.AIエンジンの誤作動
今回の調査では、機械学習などのAI技術が企業にビジネス上の問題をもたらす要因となっていることも明らかになりました。調査対象のビジネスリーダーの91%が2035年までに、AIエンジンの誤作動を修正するために労働者のダウンタイム(業務中断)が発生し、ビジネスに損害を与えると考えています。
AI技術をビジネスに取り入れることで、企業は従来人手で実行していた反復的な業務を自動化できる可能性があります。今回の調査では、回答者の77%が「AI技術が意思決定プロセスを大幅にスピードアップし、将来的にさらに生産性を向上させる」と考えています。
企業は、AI技術が未完成である点に気を付ける必要があります。AI技術をビジネスに取り入れると、未熟な技術に業務が依存することで、技術が変化するたびに業務フローやシステムを修正しなければならない落とし穴を生む恐れがあるためです。ビジネスを発展させるためにAI技術を利用した企業が、競合他社のビジネスを阻害する動きを取るといった、敵対的なAI技術の利用にも注意しなければなりません。
後編は、残る3つの脅威を紹介します。
Work 2035について
本調査は2部構成です。第1部でCitrix Systemsは、2035年における労働の将来像や、人と技術の関係性の変化について、ビジネスリーダーへの調査結果と組み合わせた未来のシナリオを立案しました。コンサルティング会社Oxford AnalyticaおよびMan Bites Dogによるシナリオ立案では、学界、シンクタンク、多国籍企業の役員会から招いたリーダーとの討論や、将来の労働に関する専門家を交えたインタビューと意見交換を実施しました。これらの結果を基に、「人手の代替となる労働力」対「技術による労働者の能力の拡張」、「集中型労働」対「分散型労働」という労働における2つの軸を推定しました。併せて2035年の労働に関する4つの異なるシナリオを作成しました。
第2部では企業のリーダーや従業員を対象に調査を実施し、仕事の将来像を明らかにしました。この調査は2019年と2020年に調査会社Coleman Parkes Researchが、大企業、老舗企業、中堅企業で働く500人以上のビジネスリーダーと1000人の従業員に対してインタビューしたものです。
2020年4月には、300人のビジネスリーダーを対象に、COVID-19のパンデミック(世界的流行)をどのように対処しているのか、パンデミックが仕事の将来に対する見解にどのような影響を与えているのかについて、追加調査を実施しました。
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新型コロナが企業にもたらす5つの脅威
技術の発展や業務形態の多様化に伴い、企業に迫る脅威も変化しつつある。Citrix Systemsが2020年に実施した調査結果を基に、気を付けるべき5つの脅威の危険性と対策を紹介する。
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